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弁護士のための継続学修セミナー「聴覚障害者のいる法廷での弁護士の活動と手話通訳」

  3月28日(水)、福岡県弁護士会館(福岡市中央区赤坂)にて、九州弁護士会連合会と法科大学院の運営協力に関する連絡協議会が主催する「弁護士のための継続学修セミナー」が開催され、「聴覚障害者のいる法廷での弁護士の活動と手話通訳」と題して、西南学院大学法科大学院が講座を提供しました。メイン会場のほかに、遠隔TVシステムを利用して、各単位会の弁護士会館をつなぎ、配信されました。

 はじめに、宇加治恭子委員長より「本セミナーは九弁連所属の弁護士に対する教育支援として行っている。聴覚障害者が当事者や証人、裁判員等になる事件においては、法廷でのやり取り等に際して、手話通訳が必要となる。本講習により、配慮や注意しなければならない点などを実践的に学んでいただく機会にしていただきたい」と説明しました。

 次に、本学教員である横尾亘准教授は、「法廷でのスキルアップや障害者への配慮を身に付けた法曹養成のため、「刑事模擬裁判」や「民事模擬裁判」の授業に手話通訳士会に参加いただき2011(平成23)年度より実施している。」旨説明し、実際の授業風景を映像で流しました。

 続いて、福岡県手話通訳士会前会長の角光邦子氏は「法廷での会話はすべて手話で正確に伝える必要がある。『火をつける』『人を刺す』という表現一つでも、ニュアンスの違いで裁判員に影響を与えるため誤訳になる危険性を排除するためには、事前の打ち合わせが欠かせない。また、話が早すぎて手話がついて行けない状況がないように関係者の配慮が必須。通訳士の集中力が維持できるのは15分から20分程度で交代するため、人数が必要であるが、手話通訳士の試験は難関で人材不足である。」と説明し、具体的な表現の違いを手話で分かりやすく示しました。

 参加した方からは、「弁護士として注意しなければならない事が学べた」「いつ、このような場面に遭遇するかわからないため、事前に知ることができてよかった」「刑事裁判の事例であったが、民事裁判や接見での場面を想定した状況についても知りたい」などの意見が出されていました。

(写真)福岡県手話通訳士会前会長 角光邦子さん

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