学びの現場から

西南学院の大学・各学校・園・保育所では、
学生、生徒、児童、園児の成長のために
教職員が一丸となり、より良い教育を目指して
日々さまざまな取り組みを行っています。

今回は特別編として、2022年春から内容が拡充された「金融教育」の授業をレポートします。

投資って、怖いイメージ?
正しい知識を持って将来への備えを

2022年4月からの高等学校学習指導要領改訂によって、「金融教育」の内容の改善と充実が図られました。これを踏まえ、西南学院高等学校では金融業界の第一線で働くプロフェッショナルを特別講師に迎え「家庭基礎」内で特別授業を実施。1年生を対象に、詐欺や犯罪に巻き込まれないための金融知識や将来に向けての資産形成についての授業を行いました。

写真:映像教材を交え、投資の定義などを分かりやすく説明。「投資は自分の将来を想像することから始まる」と学ぶ機会に
映像教材を交え、投資の定義などを分かりやすく説明。「投資は自分の将来を想像することから始まる」と学ぶ機会に

これまで、働いて稼いだお金を預貯金として蓄財することが将来の備えとして最適といわれてきた時代もありました。ところが「人生100年時代」とされる今、労働収入だけでは限界があるため、預貯金だけではない資産形成の重要性が高まっています。「投資」と聞くとネガティブなイメージを持つ人が多いかもしれませんが、それは投資での失敗談が大きく報じられやすく、正しい知識を学ぶ機会が限られているから。授業では、大きく損をする確率が比較的低い、長期間かけて行う積み立て投資や分散投資について取り上げました。

写真:お金は感謝の気持ちの対価として受け取れるという話から、将来どのような人になりたいかを考える時間も
お金は感謝の気持ちの対価として受け取れるという話から、将来どのような人になりたいかを考える時間も

さらに、一定の条件下で20歳から60歳まで月1万円を積み立て投資した場合の40年後の期待値は2,600万円で、同条件で40歳から60歳まで月2万円を積み立て投資しても1,000万円程度にしかならないといった具体的な例を取り上げる場面も。リアルな数字を前に、生徒たちは将来に向けて早めに取りかかることの優位性や時間の持つ力を実感しました。また「投資」といってもお金を扱うものだけではなく、自分自身を磨いて経験やスキルを財産に変えていく「自己投資」も投資の一つであるといった話から、「恵まれた環境で学べることへの感謝を忘れずに」という話にも発展。生徒たちは、時折、先生から出されるお金に関するクイズなどにも挑戦しつつ、真剣な表情でうなずいたり熱心にメモを取ったりしていました。

授業後は「投資のイメージが変わった」「これからの勉強のやる気につながる」といった前向きな感想がたくさん聞こえました。

写真:壇上でなされる話に目と耳を向け、真剣にメモを取りながら授業を受ける生徒たち
壇上でなされる話に目と耳を向け、真剣にメモを取りながら授業を受ける生徒たち

正しい知識を学び感謝し、
感謝される人になってほしい

事前に先生方から「お金の大切さとともに周囲に対する感謝の気持ちを持つ大切さも伝えたい」とリクエストを受け、キリスト教を教育の柱とする西南学院らしさに卒業生として共感と懐かしさを覚えました。投資には一獲千金のイメージがありますが、楽をして儲かる話はありません。また、「ありがとう」の気持ちを交換する一つの方法がお金です。西南学院の後輩たちには、これからも正しい知識を身に付けながら自己投資によって自分を高め、人に感謝し、感謝される人になってほしいです。

画像:花城大地さん

特別講師
株式会社アーリークロス

花城(はなしろ) 大地(だいち)

さん

西南学院中学校 2005年卒業
西南学院高等学校 2008年卒業

人生を豊かにするため知識を蓄え
自分で考える力を大切に

2022年4月から成人年齢が引き下げられました。つまり、今の10代は早いうちから一人で生活していくための準備や暮らしへの考えを整えることが求められます。今回の特別授業では、投資に限らず知識を身に付けると将来の選択肢が増え、視野が大きく広がることを学べる非常に良い機会だったと思います。投資については、メリットとデメリットを理解した上で「やる」「やらない」「いつから始めるか」を自分で考えることが大切ですね。

画像:宇野 亜実さん

西南学院中学校・高等学校
家庭科教諭

宇野(うの) 亜実(あみ)

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