学びの現場から

西南学院の大学・各学校・園・保育所では、
学生、生徒、児童、園児の成長のために
教職員が一丸となり、より良い教育を目指して
日々さまざまな取り組みを行っています。

今回のテーマは「読書習慣」

写真左:藤川千穂さん、写真右:西田晋慈さん

西南学院中学校・高等学校
国語科教諭・司書教諭

藤川 ( ふじかわ ) 千穂( ちほ )

西南学院小学校
司書

西田( にしだ ) 晋慈( しんじ )

言語能力を高めて考える力を育む読書習慣

写真:「ブックトーク」で友人が紹介する本とコメントに興味津々な様子で耳を傾ける生徒たち
「ブックトーク」で友人が紹介する本とコメントに興味津々な様子で耳を傾ける生徒たち

―藤川 読書習慣を身に付けることにはさまざまな意義があると思いますが、小学校では特にどのような点に注目していますか。

―西田言語能力を高めてくれる点ですね。語彙の量を増やすには話し言葉だけでなく書籍などで使われる書き言葉に触れる機会を増やすことが大切といわれています。語彙が増えると学力向上はもちろん、表現力の基礎にもなります。また、物語を読むことで思考力や想像力が鍛えられたり、多様な感情に触れられたりするのも読書の魅力です。特に、ネガティブな感情を追体験することは他人の気持ちを理解して寄り添う心を養うきっかけになるので、児童たちには積極的に本を読んでほしいと思っています。

―藤川 ネガティブな感情は、気が付けば心の中に生まれるものなので、それにどう向き合うかを考える力も、読書で身に付けることができますよね。また没頭できるのも読書の醍醐味だと考えています。今の時代、良くも悪くも常に情報に触れ、誰かとすぐにつながることができますが、本の世界に集中し、あえて孤独になることも有意義な時間だと思います。近年、分かりやすく作られた映像系のコンテンツが増えていますが、本は文字だけを頼りに登場人物の立場に立って想像し考えを巡らせます。本と自分に向き合い、孤独な時間や没入する体験は読書ならではの楽しみですね。

読書体験の共有で友人同士の理解が深まる

写真:小学校の図書館では、子どもたちから寄せられた本の中の印象的なフレーズを展示するなど、読書後の楽しみ方なども提案
小学校の図書館では、子どもたちから寄せられた本の中の印象的なフレーズを展示するなど、読書後の楽しみ方なども提案

―西田孤独に向き合う時間が持てるのは確かに読書の醍醐味の一つですね。一方で、他者と共有できるのも読書の楽しみだと思います。小学校では、週に一度、45分間の図書の時間を設けています。その中で、児童たちのお薦めの本や印象に残ったフレーズを伝え合うこともあります。意見を交換することで友人の新たな一面を知り、本を読む楽しさを見いだした児童もいるようです。

―藤川 他者と共有することは良いアウトプットの機会になりますよね。今年の4月、中学3年生に、2冊の本を共通のキーワードで束ねて紹介する「ブックトーク」に挑戦してもらいました。他者に分かるように本の内容を言語化するのは大変だったようですが、年度初めに生徒たちの相互理解が深まるきっかけにもなりました。

―西田「ブックトーク」は小学校でも取り入れています。読んだ感想を誰かに伝えたり、共感したりすることで「もっと読みたい」という気持ちが刺激されているように見えますね。自分が感じたことを文字や言葉にまとめると理解が深まり、記憶にも残るのでとても良い取り組みだと思います。

―藤川 それから読書習慣を身に付けるきっかけとして「本を読むのは楽しい」という姿を私たち大人が見せていくことも大切ですよね。

―西田そうですね。私も、図書の時間に一緒に本を読んだり、日頃読書を楽しんでいる様子を話したりしています。ご家庭でも、お子さんと一緒に読書を楽しんでいただけるといいなと思っています。

―藤川 強制されると読みたくなくなってしまうものです。周りの大人や友人が楽しそうに本を読んでいる様子が伝われば、自然と読書に興味を持ってくれると思います。授業や図書の時間を通して、これからも読書の楽しさを伝えていきたいですね。

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