学びの現場から

西南学院の大学・各学校・園・保育所では、
学生、生徒、児童、園児の成長のために
教職員が一丸となり、より良い教育を目指して
日々さまざまな取り組みを行っています。

今回のテーマは「レジリエンス」

写真左:松本吉江さん、写真右:前田順子さん

西南学院小学校
教諭

松本(まつもと)吉江(よしえ)

舞鶴幼稚園
教諭

前田(まえだ)順子(じゅんこ)

挑戦とともに培われる生きる力
=レジリエンス

写真:竹馬の練習の第一歩は「壁乗り」。仲間同士で楽しく話しながら竹馬を好きになることが逆境を乗り越える土台に
竹馬の練習の第一歩は「壁乗り」。仲間同士で楽しく話しながら竹馬を好きになることが逆境を乗り越える土台に

―前田レジリエンスとは、逆境を乗り越える力のことですね。園では子どもたちの活動や遊びを考える中で、いろいろなことを乗り越える力を培う経験ができることを意識しています。例えば、生活習慣を身につけることや、苦手なこと、初めてのことに挑戦するとき、最初はできずに悔しがったり悲しくなったりすることがあります。でも周囲の励ましや援助により少しずつできるようになっていきます。子どもたちは日々の体験を通し、諦めずに続けているとできるようになることを学びます。これこそが「生きる上で必要な力=レジリエンス」であると考え、それを高めるための工夫を日々の保育に取り入れようとしています。

―松本小学校にもたくさんの個性が集まるので、さまざまな価値観や異なる考えを知る機会に恵まれます。こうした互いの違いを理解し、受容し合う経験も、将来立ちはだかる壁や逆境を乗り越えるためのレジリエンスにつながっていくと思います。

―前田現代社会は、いつ何がどう変わっていくか分からない不安定な状況にあります。そんな中を生き抜いていくためには、どんな状況に置かれても、周囲と協力しながら自分の頭で考えて行動する力が必要だと思います。園の子どもたちを見ていると、友達同士でぶつかり合うことも少なくありません。それを制止せず、言葉で意見を伝え合い、時には教師が間に入りながら、お互いが納得いくまで話し合えるようにしています。感情をコントロールしながら行動するのは人間ならではの持ち味で、それもこれからの時代に大切なのではないかと思うのです。

―松本小学校でも、話し合いは子どもたちが中心となって進めるように指導しています。やはりぶつかり合うこともありますが、そこが成長のチャンス。相手の行動や言葉の意味を理解し、共感し合う力を持つ経験も、多くの人と協力して課題を乗り越える上で必要なことといえるでしょう。

レジリエンスを高める上で
キリストの教えを胸に

写真:朝のチャペルの時間に、ペシャワール会 川口さんのお話を聞く児童たち
朝のチャペルの時間に、ペシャワール会 川口さんのお話を聞く児童たち

―前田レジリエンスを向上させるために、子どもが壁にぶつかっていてもすぐに助けず、一緒に乗り越えていけるような声かけを意識しています。また、年長児になると苦手なことや自信がないことにも挑戦する状況をつくります。そうすることで成功体験を積み重ね、自信につながると考えています。小学校入学に向かう年長児にとって、1つでも自分に自信を持てることがあると、初めての学校生活の中でもその自信が味方になってくれて心強いですよね。松本先生はどんなことを意識して指導されていますか。

―松本私は、西南学院小学校の教育理念である「真理を探求し、平和を創り出す人間の育成」を基に意識していることが3つあります。1つ目は「キリスト教教育」。私利私欲ではなく、神の教えに基づいて行動を選択することは、客観的な判断につながり、ひいては困難な状況を乗り越える力につながると信じています。2つ目は、一人ひとりが愛されている存在であることや、学び続ける楽しさや大切さを伝えること。3つ目は平和を実現するために行動できる姿勢を育むことです。

―前田素晴らしいお考えですね。児童たち自身に意識してほしいことはありますか。

―松本平和を目指していく上では、想像力を働かせることが大切です。そのために、読書や体験などを通して知識を広げ、自分で考える力を深めてほしいと思います。また、最初からうまくいかないことを恐れず、何事にもチャレンジする姿勢を大切にしてほしいです。失敗も、成長の糧となる貴重な経験です。

―前田失敗したり乗り越えられなかったりすることをダメなことだと思わず、まず受け止めてどんな行動をとるかが、レジリエンス獲得の第一歩になると確信しています。

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