学びの現場から

西南学院の大学・各学校・園・保育所では、
学生、生徒、児童、園児の成長のために
教職員が一丸となり、より良い教育を目指して
日々さまざまな取り組みを行っています。

今回のテーマは「体力づくり」

写真左:出口顕子さん、写真右:貞包謙さん

早緑子供の園(保育所)
保育士

出口(でぐち)顕子(あきこ)

西南学院中学校・高等学校
保健体育科教諭

貞包(さだかね)(けん)

それぞれの現場から見る
子どもの「体の使い方」

写真:自分たちの動きをプロジェクターで見せ、改善点を考え話し合って再度挑戦
自分たちの動きをプロジェクターで見せ、改善点を考え話し合って再度挑戦

―出口近年、保育の現場では「体の使い方」がぎこちない子どもが増えているように感じます。棚の角に頭をぶつけたり、前を見ていなくて鉄棒に突っ込んでしまったり。そのため、鉄棒の前の地面にタイヤを埋め込むなど、視覚的に分かりやすい安全対策を細やかにする必要が出てきました。

―貞包中高の現場も同じです。空間認知やバランス感覚が低下していて「自分の体を操ること」が難しい生徒が増えたと感じます。その背景には、小さい頃に体を動かして遊ぶ機会が減っていることが考えられます。ボール遊び禁止の公園が増えたり、木登りができるような環境がなかったりといった環境の変化が影響していそうですね。

―出口同感です。夏場は熱中症が懸念されるため乳幼児は1カ月以上もほとんど外に出られず、戸外遊びができなくなっています。また、安全に配慮することはもちろん大切ですが、一方で歩く機会が減ってしまっていることは、どうしても発達に影響を与えているでしょうね。

―貞包スマホやゲームの普及で前傾姿勢や下向き姿勢が常態化していることも気になっています。その影響から、近年は腹筋や背筋の筋力低下、股関節の可動域の減少、姿勢保持の難しさが顕著に見られるようになりました。体を動かすことが苦手というより体の動かし方を知らない生徒が増えている印象を受けています。

―出口体づくりは全ての土台になるものです。ここがしっかりしていないと姿勢が崩れたり視覚や聴覚の情報処理までうまくいかなかったりして、学習や人間関係にも影響が出るかもしれません。そのため3~5歳の園児には、椅子の下をくぐったり片足立ちにチャレンジしたりと、日常はしないような動きを取り入れた体育的な活動をする時間を積極的にとっています。また「指先までピンと伸びているね!」など、過程を褒める声かけも大切にしているんです。

―貞包その声かけは素晴らしいですね。

―出口ありがとうございます。私は、早寝早起きや食べるものなど、生活習慣を整えることも体づくりに欠かせないと思っているのですが、貞包先生はいかがですか。

―貞包よく分かります。中高生になると、体は自分でデザインするものという意識がより必要になってきます。筋肉や体力だけでなく、食事や生活習慣も含めて、体づくりは自分自身の選択の積み重ねだと感じています。だから、学校の売店には炭酸飲料やエナジードリンクは置いていないんですよ。

体を動かす喜びを通じて
奉仕の精神を養う

写真:大縄跳びや竹馬などみんなで共通したチャレンジでは褒め合い、支え合う空気を醸成
大縄跳びや竹馬などみんなで共通したチャレンジでは褒め合い、支え合う空気を醸成

―出口体力づくりといっても、縄跳びや逆上がりができるかどうかだけに目を向けてしまうと、子どもらしさを見失ってしまう気がしています。乳幼児期は、まだ恥ずかしさよりも「楽しい」「好き」が勝つ時期です。大きな声で歌い、思いのままに絵を描き、体を動かす。その中で「できた!」という達成感や「もう一回やってみたい」という気持ちの種がたくさん育ちます。将来、その種が細分化されて、それぞれの「好き」や「得意」として育っていくと良いなと思って日々の活動に取り組んでいます。

―貞包体を育てることは、自分自身と向き合うことでもあると思います。私も、子どもたちには何よりも体を動かす楽しさを知ってほしいと願っています。そして、その楽しさを土台に、やがては人のために動ける人になってほしいです。これは西南学院が大切にする奉仕の精神にも通じます。誰しも得意・不得意があり、助け合いながら進むことが必要です。自分の体を大切にしながら、他者のためにも動ける大人へ成長してくれたら、こんなにうれしいことはありません。

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