西南学院History

100年以上の歴史を誇る西南学院には、
後世に伝えるべき歴史やストーリーがたくさんあります。
このコーナーでは西南学院にまつわる歴史を紹介していきます。

【第8回/英語版校歌】

英語版校歌の誕生

学院の校歌は、校歌を作詞した水町義夫から日本文学を学んだ一人の女性宣教師によって英訳され、歌い継がれてきました。第8回の西南学院Historyでは校歌とその英訳にまつわる歴史を紹介します。

校歌の誕生

西南学院校歌の誕生については、『西南学院大学広報』創刊号(1967年12月6日発行)に記されています。それによれば、ドージャー院長は、当時中学部教員であった水町義夫(1885-1967, 後の第4代院長)に校歌の作詞を依頼しました。1921年3月9日の中学部第1回卒業式に間に合うように校歌を作ってほしいと依頼があったのは、その前年10月のことでした。ドージャー院長の依頼を受け、水町は約3週間で作詞しました。また、校歌の歌詞には、新約聖書とキリスト者でもあった小説家島崎藤村の影響がみられるといいます。水町は新約聖書の「ヨハネ第一の手紙」を深い関心をもって読んでいました。このため、校歌に出てくる「子等」「光明」「生命」「愛」「永遠」などは、全てヨハネのことばからとられました。また、校歌の第1節に見られる「希望」「若さ」などは、開校の喜びや希望などを表しており、藤村のロマンティックな精神の反映ともみられます。

校歌の曲は、当時、上野音楽学校の学生で福岡バプテスト教会員の不破ひさ子という女性を通じて同学校教授の島崎赤太郎(1874-1933)が作曲しました。キリスト者であった島崎は、日本最初のオルガニストであり、文部省編纂唱歌の編集委員長、日本教育音楽協会理事長を歴任し、立教大学校歌や旧制第一高等学校の寮歌などの作曲者でもありました。

「1921年1月に作曲もできあがり、水町の追想に同年3月の中学部第1回卒業式で披露された」とありますが、卒業式のプログラムなどにはその記載はないことから、校歌の誕生(披露)は1921年3月よりも後であった可能性が高いと考えられます。

校歌の英訳とE. E. ベーカー

校歌には「Southwestern!」という英訳があります。水町が作詞した校歌を英訳したのが宣教師のE. E. ベーカー(Effie Eveline Baker, 1895-?)(写真1)です。米国テキサス州で生まれたベーカーは、ハワード・ペイン・カレッジ、コロンビア大学を卒業後、1921年から1932年まで、南部バプテスト連盟の宣教師を務め、西南学院、西南女学院で音楽、英語、聖書を教えました。英語教師であった水町はベーカーに、藤村の『若菜集』を英語で教えていました。英語版校歌の誕生の背景には、水町とベーカーの文化を通した交流がありました。

1 E. E. ベーカー(1928年頃)
E. E. ベーカー(1928年頃)

歌い継がれる校歌

英語の校歌は、主として英語を使う会合のときによく歌われました。現在は、校歌とともに、新たにA. O. グレーヴス(Alma O’Norean Graves, 1907-2000)作詞、石丸寛作曲によるカレッジソング「Ah, Seinan!」(1951)がよく歌われています。1990年には校歌やカレッジソング等全14曲を収録した学院のオリジナルCD(写真2)が制作されました。CDは校歌やカレッジソングに込められた建学の精神を理解してもらいたい、そして卒業後も、校歌とともに西南での青春時代を思い出してもらいたいとの願いから作られました。CDジャケットのデザインは当時文学部教授であった尾﨑恵子によるもので、演奏は本学学生、収録は当時の大学チャペルであるランキン・チャペルと末永文化センター(元本学院理事の末永直行氏が九州交響楽団の練習場として寄贈)で行われました。CDは繰り返し再版され、在校生やOB・OGによって歌い継がれています。

2 校歌を収録したオリジナルCD
校歌を収録したオリジナルCD「Ah, Seinan! ――新しい歌を主にむかって歌え――」(1990年)。このCDは大学図書館にも所蔵されており、聴くことができる
2 大学2号館1階学生ホールの壁面に描かれた校歌歌詞
大学2号館1階学生ホールの壁面に描かれた校歌歌詞

2023年6月には、西南学院高等学校同窓会総会・懇親会での西南学院校歌を英語の歌詞で歌う催事の開催に際し、英語版校歌の歌詞を表したうちわ(写真3)が製作され、参加者に配布されました。また、同年11月の西南学院大学第18回ホームカミングデーでは「西南学院校歌を英語で歌おう!」プロジェクトの一環で、総勢70名が英語版校歌を合唱しました。

3 西南学院英語版校歌の歌詞のうちわ(2023年)
西南学院英語版校歌の歌詞のうちわ(2023年)

英語版校歌歌詞

1)
Like the waves that wash our shore,
Blue green from morn ‘til night:
Like the pine that hovers o’er,
Spring’s fadeless green to our sight,
Youth’s hope that ne’er shall die,
Our school’s joy and pride doth lie in this.
Southwestern! Southwestern!
Our school with life that ne’er shall die,
Southwestern! Southwestern!
O youthful Southwestern!

2)
Like the truth which burns into flame,
Youth lifts his eyes to the light.
Like Tsukushi’s skies of fame,
So high, so pure, and so bright,
A life to live! A life to give!
The place our school aspires to fill is this.
Southwestern! Southwestern!
Our school with Love that e’er shall be.
Southwestern! Southwestern!
We honor, praise, and love thee.

3)
Our goal gleams out in the blue,
Life’s highway guide for the right.
Up ye comrades brave and true,
Our mission calls us, let us fight.
Step forth, ye gallant, firm and true,
O youth of Seinan, here’s to you, March on!
Southwestern! Southwestern!
Our school of Everlasting Love.
Southwestern! Southwestern!
March on, ye brave, march on!

西南学院校歌歌詞

1
岸を洗う 紺碧の波
松の緑 青春の色
希望の輝 学院の誇ぞこれ
西南 西南 若き西南

2
理想に燃ゆる 子等が仰ぐ
筑紫の空 高く清し
光明と生命と 学院の望ぞこれ
西南 西南 愛の学園

3
遙けきかな わが行く道
さあれ友よ 使命重し
起てよ勇ましく 学院の若き子等よ
西南 西南 永遠の学院

音声データはこちら
※音声が再生されます

西南学院校歌を英語で歌おう!
プロジェクト

第18回ホームカミングデーで英語版校歌が披露されました!

2023年11月11日(土)、大学チャペルで行われた西南学院大学第18回ホームカミングデーにて、「西南学院校歌を英語で歌おう!」プロジェクト関係者総勢70名が英語版校歌を合唱しました。
このプロジェクトは、時の流れの中に眠ったままであった英語版校歌を、一人でも多くの方に知っていただき、歌い継いでいくことを目標に、高等学校同窓会を中心に2023年3月に発足したプロジェクトです。まずは、2024年度の西南学院高等学校同窓会総会・懇親会で、参加される皆さんに歌っていただきたいという考えで練習会や歌い方のポイントをお知らせするなどの活動を行っています。

プロジェクト詳細は▼
https://swh-schoolanthem.studio.site/

西南学院史資料センターでは2024年度企画展「西南学院の女性宣教師たち――学院の礎を築いた女性たち」を開催します。
本稿で紹介したE. E. ベーカーを含め、西南学院を支えた女性宣教師の事績に光を当て、今日まで継承される女性宣教師たちの働きを資料とともに振り返ります。
会期:2024年3月1日(金)~12月20日(金)。
開館情報は西南学院史資料センターホームページをご確認ください。

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