西南学院で学び、さまざまな場所や分野で
個性を輝かせている卒業生の皆さんに、
今のお仕事の話や在学中の思い出を語っていただきます。
西南学院で学び、さまざまな場所や分野で
個性を輝かせている卒業生の皆さんに、
今のお仕事の話や在学中の思い出を語っていただきます。
能楽師
さん
西南学院高等学校 1995年卒業
能楽師として日々舞台に立ちながら、東京藝術大学や国立劇場において、後進の育成、文化の普及にも力を注いでいます。現在は東京を拠点にしていますが、福岡にも定期的に戻り、父と共に筥崎宮にゆかりのある能『箱崎』の謡と仕舞の指導を行うなど、伝統を未来につなげる活動を続けていることが評価され、2024年には第31回福岡県文化賞(創造部門)を受賞しました。
2歳で初舞台を踏んで以来、ずっと能楽を愛し続けてきました。西南学院は自由で伸び伸びとした校風が印象に残っています。授業と能楽の練習に忙しい日々でしたが、部活は体操部に所属し、西南祭ではバンドを組んで演奏するなど、青春を謳歌しました。毎年恒例の能楽鑑賞会の際は舞台に立ち、クラスメートに学校での姿とは違った一面を見てもらえたことも良い思い出です。
能楽は伝統を守るだけではなく、時代の風を捉えた新しい挑戦にも積極的です。最近ではVR技術を駆使した公演や、海外で披露する機会も増えています。織田信長や徳川家康も教養として嗜んだといわれる能楽を、現代の人たちにも触れて学んで楽しんでいただけるように、自分にできることに励んでいく所存です。
自分の好きなことに出合い、それを深めることは、人生を豊かにしてくれます。私の同窓生もさまざまな業界でそれぞれに活躍していて、今も連絡を取り合っていますが、とても誇らしい仲間です。西南学院で学ぶ皆さんにも、今しかできない経験や一生の友、文化・芸術との出会いを大切にしながら、自分の道を見つけ、全力で挑戦してほしいと願っています。
Profile
1976年生まれ。能楽師であり、東京藝術大学非常勤講師、国立劇場伝統芸能伝承者養成所講師を務める。重要無形文化財総合認定保持者で、第31回福岡県文化賞(創造部門)を受賞。
能楽は、日本の伝統的な舞台演劇。室町時代に観阿弥・世阿弥父子によって大成され、江戸中期にほぼ今の形に。面を被って主役を務める「シテ方」、シテの相手を務める「ワキ方」、能の囃子(音楽)を演奏する「囃子方(笛方・小鼓方・大鼓方・太鼓方)」、能の間に狂言を演じる「狂言方」がいます。各役方は、他の役方を兼ねることはなく、高度で専門的な技量を持つ完全な分業制となっています。
「平家物語」や「源氏物語」を題材にした演目もありますので、まだ能楽を見たことがない方も、まずは衣装・所作の美しさや、囃子の音色に耳を傾けに出かけてみてください。