特集 アイデアで課題を乗り越える!ゼミ活最前線

売上げに苦戦する洋菓子の販売企画に挑戦。
制約を強みに変え、
新たな魅力をプラスした商品に改良!
 今回、私たちは宮若市の瀬川菓子舗が抱える、洋菓子「ころころっと」の売上向上に取り組みました。「ころころっと」は、人気の焼き菓子である「キャロット」の成形時に生じる切れ端を活用したサイコロ型ラスクです。地元・宮若市では人気ですが、博多マルイの福岡アンテナショップ「DOCORE」では売れ行きが伸び悩んでいました。
 そこで、約70人のアンケート調査やクチコミ分析、トレンド分析、売り場観察を実施。これをもとに、20代前半をターゲットとした500円のカジュアルギフトとして販売する企画を立案。また、アンケートで「中が見えず、どんなお菓子か分からない」という声が多く寄せられたことから、中身が見えてギフト感のある新パッケージも提案しました。しかし、既存パッケージの在庫を大量に抱えていることから、企画は見送られ、最終提案に向けて一から企画を練り直すことになりました。
 そこで着目したのが、既存パッケージのジッパー機能です。何度も開封できる特長を生かし、「パウダーを入れて振る」「自分で味を完成させる」という体験価値を加えた新商品「しゃかしゃかラスク」を考案。コストや作業工程を考慮し、より実現性の高い企画にブラッシュアップしました。さらに、先方との認識のずれを防ぐため、打ち合わせの方法を改め、議事録を共有するように徹底しました。その結果、「しゃかしゃかラスク」は採用され商品化へ。「DOCORE」の催事では5日間で48個を販売することができました。
 私は、これまで挑戦したプレゼン大会では、「自分のやりたいこと」を中心に考えていました。しかし、今回のプロジェクトを通して、企業側の視点と消費者のニーズを踏まえて企画する重要性を学びました。この経験を、将来目指す化粧品の商品企画の仕事にも生かしていきたいです。
大学生のアイデアとパワーで、
子どもと地域がつながるイベントを企画。
“身近でできるまちづくり”を実践!
 私たちN.M.Connectチームは、西新から百道浜までのエリアの地域のつながりを深めることを目的に、SDGsに基づくまちづくりに取り組んでいます。主な活動は地域イベントに参加することですが、先輩たちから受け継いだ企画を踏襲するだけでなく、自分たちで地域イベントを企画したいと考え、プロジェクトを始動しました。
 まず、取り組んだのが西新公民館へのヒアリングです。高齢化に伴う担い手不足により、地域行事の継続が難しい状況にあることが分かりました。特に、子ども向け行事では子どもたちのパワーに対応できる若い世代の人手が不足し、参加する子どもの数も減少傾向に。そこで、大学生の力を生かし、子どもたちと一緒に楽しめる企画として料理教室とレクリエーションを組み合わせたイベントを企画。公民館だよりで参加者を募集したところ、すぐに定員の20名に達し、子どもと地域をつなげるきっかけづくりの重要性を実感しました。
 当日は、子どもが最後まで楽しめる進行を工夫するとともに、食品ロスなどSDGsを身近に考える機会も提供しました。参加した子どもたちからは「最高に楽しかった」という声をもらい、西新公民館の方からも「新しい切り口のイベントになった」と感謝の言葉をいただきました。この経験が、子どもたちにとって地域に愛着を持ち、将来の地域の担い手になるきっかけになることを願っています。
 私自身も地域貢献は特別なことではなく、身近な活動の積み重ねから始まることを実感しました。今後は清掃活動や祭りなど、地元の地域活動に積極的に参加したいと考えています。また、卒業後は「地域貢献」を理念に掲げる企業へ就職予定です。仕事でも地域のつながりを大切にしながら、「持続可能なまちづくり」の実現に貢献することを目指します。
理想を語るだけで終わらせない!
知的障がいのある子と家族のために
実現性を見据えた支援を提案。
 昨年、私たちはゼミ活動の一環として、学内プレゼンコンテスト「SYNAPSE」に挑戦しました。「SYNAPSE」では、社会課題を自ら見つけるところから始まります。そこで、社会福祉施設や高齢者施設、障害者施設などでの実習を通して感じた課題を持ち寄り、テーマを検討しました。引きこもり問題や高齢者の孤立などさまざまな課題が挙がる中、私たちが選んだのは、「知的障がい児とその家族の居場所づくり」です。決め手となったのは、「親の会」に参加した学生から聞いた家族の声でした。同じ悩みを持つ親たちがつながれる場や、福祉サービスだけでは補えない支援を求めている現状を知りました。そして、大学生だからこそ、子どもたちと近い目線で寄り添えると考え、このテーマに取り組むことを決めました。
 解決策を考える中で議論したのは、「どこに居場所をつくり、どのような支援を提供し、運営するか」という点です。プレゼン大会であっても、社会課題の解決には実現可能性や継続可能性まで考えることが大切です。そこで私たちが出した答えが、西新商店街に「第二のおうち」のような居場所をつくるという提案です。商店街であれば、日常生活の延長で気軽に立ち寄ることができ、保護者の心理的ハードルを軽減でき、地域の社会貢献にもつながると考えました。一方で、大きな課題となったのが会場費用と固定費でした。そこで昼間は空き時間の多い商店街の飲食店に着目。店舗の空き時間を活用することでコストを抑え、持続可能な運営方法を提案することができました。
 今回の挑戦を通して、制度だけでは支えきれない課題が数多く存在することを実感しました。私たちの提案が、知的障がい児とその家族を支える居場所づくりの一歩となり、地域に根ざした支援の輪が広がることを願っています。
課題

「神学」するとは何か

〈Konrad Schmidの労作『Theologie des Alten Testaments』を読み議論する〉

「聖書」を学ぶことは、
多様な価値観に触れ、自己を理解すること。
山本(やまもと) 珠生(たまみ)さん
神学部神学科4年(龍谷高等学校出身)
 私は「聖書は世界のベストセラー」という言葉に出合ったことをきっかけに、神学に興味を持ちました。
 ゼミは、テキストを読むことから始まります。発表者は割り当てられた箇所を読解し、要点と自らの考察・感想をレジュメにまとめて発表します。その後、発表内容について発表者以外の学生と質問や感想を交わしながら、対話を重ねていきます。私は、この対話の時間をとても大切にしています。というのも、聖書という書物は多様な考えや矛盾を包含した文章群であり、一貫した思想や主張にまとめることは不可能といわれています。そのため、同じ箇所を読んだとしても、立場や価値観によって受け止め方や解釈は異なります。だからこそ、他のゼミ生との対話を通して、自分にはなかった視点や考え方に出合うことができるのです。また、自分自身の価値観や考えを問い直し、より深く思考するきっかけにもなります。このように他者と考えを共有し、対話することを通して、自らの思考を深めていく営みこそが「神学する」ということなのだと実感しています。
 ゼミで印象に残っているのは、解釈学について議論したことです。聖書は、昔の人が経験や思想、感情を文章として書き残したもので、後から修正したり、説明を加えたりすることはできません。そのため、解釈学では読み手がどのように理解するかというプロセスが重視されます。では、解釈において大切なのは、著者の意図なのか。それとも読み手の理解なのか。私は読み手の理解を重視し過ぎると、解釈が際限なく広がってしまうのではと考えました。この疑問に対し、先生から「作者の死」という考え方を教わりました。作品の意味は必ずしも作者の意図だけで決まるものではなく、読者が新たな意味を生み出すことにも価値があるという新しい視点を得ることができました。
 私はゼミを通して、聖書をどのように理解するかに正解はなく、さまざまな考えを、聖書は受け入れてくれるということを学びました。そして、私にとって宗教を学ぶということは、世界の人々とつながり、多様な考えを理解できることにつながるのだと実感しています。
課題

『見知らぬわが町』を歩く

−私の足下には遺体が眠っている−

炭鉱の町・大牟田に眠る「影の歴史」と
語られなかった声に光を当てる。
鶴田(つるた) 望月(みづき)さん
外国語学部外国語学科4年(三池高等学校出身)
 私の故郷である大牟田市は炭鉱で発展した町で、小・中学校でも地元の歴史として学んできました。しかし、『見知らぬわが町』(中川雅子著)を基にフィールドワークと文献調査を行ったことで、これまでほとんど語られなかった大牟田の影の歴史を知ることになりました。
 その1つが、多くの囚人と呼ばれた人(囚徒坑夫)が炭坑で過酷な労働を強いられていたこと。もう1つは、石炭運搬のために馬(坑内馬)が、人間の利益のために酷使されていたという事実です。しかし、幼い頃に遊んでいた公園は、囚徒坑夫にゆかりのある場所であったにもかかわらず、案内板や石碑も設置されていませんでした。また、坑内馬を弔う「馬塚」の場所も行政で把握されておらず、語り継がれなかった歴史の存在を痛感しました。
 この残酷な歴史を調査結果に記すべきか、葛藤もありました。しかし、公の歴史の背後に「語られなかった、語らなかった声」があることを知ったからこそ、語り継がれなければ、その存在が失われてしまう。この気付きから、記録として残すことに決めました。そして、歴史を紡ぐのは歴史家だけの仕事ではなく、私たち一人ひとりがその担い手であることを実感できたことが、この課題で得た最も大きな学びです。
課題

沖縄負担軽減政策における環境負担の再配置

−グアム移転計画を事例として−

米軍基地の移転によって
地域が背負う環境問題を問う。
鬼塚(おにづか) 衣里(えり)さん
外国語学部外国語学科4年(九州産業大学付属九州高等学校出身)
 「沖縄」と「グアム」という一見関わりのない2つの観光地が、実は米軍基地問題に深く関わり合っている事実に着目し、ゼミのテーマである「エコクリティシズム」の視点から、軍事基地問題と環境破壊の関連性、そして「沖縄の負担軽減」を名目としたグアムへの基地移転の実態をテーマにした課題に取り組みました。
 研究方法は、主に文献研究と報道の分析でしたが、現在進行中の問題であるため、情報収集は苦労しました。そうした中、「米軍基地の移転による自然環境や暮らしへの影響が不安」という、グアム訪問時に聞いた現地の方の声は研究を進める力になり、現地に足を運び、当事者の声を聞く重要性を再認識させてくれました。
 また、「エコクリティシズム」の学びがあったからこそ、政治・軍事的な問題として捉えるのではなく、「そこに生きる人々の暮らしや自然が受ける傷み」に焦点を当てた多角的な考察ができたと実感しています。
 この問題は、「国家の安全保障」と「地域の生存権」という簡単には折り合いのつかない問題であり、完璧な解決策を見出すことは容易ではありません。しかし、ゼミでのディスカッションを通じて、問い続けなければならないテーマだということを再認識し、現在、卒業研究として取り組んでいます。
課題

裁判所は、社会の中で実際に
どのような役割を果たしているのか

司法の「現場」を見たからこそ、
導き出すことができた裁判所の役割。
中村(なかむら) 真由香(まゆか)さん
法学部法律学科4年(西南学院高等学校出身)
 私たちのグループでは、「司法制度は、社会の中で実際にどのような役割を果たしているのか」というゼミのテーマのもと、司法機関の1つである地方裁判所を調査しました。
 この課題を取り組んだきっかけは、ゼミ活動での少年院見学です。そこでは法務教官が少年たちの非行事実(過去)だけではなく、その背景や将来にも目を向け、学習支援や職業訓練などを通じて社会復帰を支えている姿に触れ、司法に対する見方が大きく変わりました。そこで、法が適用される「現場」である地方裁判所を調査し、司法制度の実際の姿を探りたいと考えました。
 実際の調査では、インタビューと裁判傍聴を実施。インタビューでは、組織運営や誰もが司法を利用しやすくするための取り組みについて、裁判所職員を取材。裁判傍聴では裁判官、原告・被告、代理人(弁護士)の発言を記録、分析しました。
 これらの調査結果を基に、議論を重ねて見えてきたのは、裁判官の活動は、裁判所事務官や書記官、紛争当事者や代理人など、多くの人々に支えられて成り立っていることです。この気付きから、「法が社会を動かしている」のではなく、「社会が法を動かしている」という視点を得ることができました。また、待合いスペースの整備や法廷に「博多織」を採用していることなど、「空間」を通じて市民の緊張や不安を和らげようとする工夫も大きな発見でした。裁判所といえば、法的紛争を解決する場というイメージが一般的でしたが、市民に法を身近な存在として感じてもらう役割も担っていることを知り、大きな学びとなりました。
 こうした気付きをもとに、裁判所の役割についてグループで議論を重ねました。ただ、現場で見て・聞いて・感じたことは、一人ひとりの立場や価値観によって異なるため、意見をまとめることは容易ではありませんでした。そこで、裁判傍聴の記録を基に「事実」と「評価」を区別しながら多角的に考察。最終的に、「裁判所は、法と社会(人々)をつなぐ役割を担っている」という、全ての意見を包含した結論を導き出すことができました。将来は、この学びを生かし、金融というフィールドで法と人をつなぐ仕事に貢献することが目標です。
課題

タイ北部の少数民族 「カヤン族」の観光に関して

伝統文化を「商品」にすることは、
文化を守ることか、壊すことか。
平田(ひらた) 羽菜(はな)さん
国際文化学部国際文化学科4年(小郡高等学校出身)
 ゼミでは、タイの少数民族・カヤン族をテーマに、観光と文化の関わりとその変遷について文献を読み、レジュメを作成して発表を行いました。
 カヤン族は、ミャンマーでの内戦や迫害を逃れてタイへ移住した難民です。女性は首に真鍮のリングを着ける習慣があり、この伝統文化を観光業の売りとして生計を立てています。しかし、文化が「見せ物」として消費されているのではないかと、長年問題視されてきました。
 一方で、こうした批判は研究者や観光客といった部外者によるものです。論文では、首にリングを着ける伝統文化が彼女たち自身にとってどのような意味を持つのかを、当事者の視点に立って考えることが文化と観光の在り方を考える上で重要だと指摘しています。実際、彼女たちは難民としての暮らしに向き合いながら、首のリングを着けるか外すかを「主体的に選択・判断」して生活していることが分かっています。
 ゼミでは、この事例をもとに議論を重ねました。その中で、文化を見るときは、「観光」を切り離すのではなく、生活の一部として捉えること、観光産業をある一時点だけで判断せず、歴史の流れや変化を踏まえて理解することの重要性を学びました。また、文化人類学の視点から「あたりまえとは何か」を問い直し、多角的に物事を考える姿勢の大切さを実感しました。
 私は以前からツーリズム産業に関心がありましたが、今回の学びを通して、観光の現場が抱える課題を知ることができました。将来は旅行業に携わり、実際に地域を訪れて文化や暮らしに触れながら、その土地ならではの魅力を守り、文化の継承と地域の活性化の両立に貢献したいと考えています。
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