-
自分を模索し続けた学生時代。
英会話が世界を広げるきっかけに。 -
私の大学4年間は、「自分を模索する時間」だったように思います。「就職」という将来が見えている一方で、本当にやりたいことが見つからない。さなぎが蝶になれずにもがき続けているような不安と迷いの中で学生生活を送っていました。
そんな日々の中でも、積極的に取り組んだのがテニスと英会話でした。テニスは大学4年次からのスタートでしたが、その後のイギリス留学でもラケットを持参するほど、私にとって大切な存在でした。英会話は、大学の授業に加えて英会話教室にも通い、ネイティブの先生から学ぶ中で「いつか世界へ」という夢が広がりました。今思えば、大学で英語を学んだ経験があったからこそ、生きがいとも言える今の仕事の出発点に立つことができたのだと感じています。 -
イギリスに飛び出して見つけた
私だからできること。 -
大学卒業後、教員や医療関係の職に就いたものの、模索する日々は続きました。転機になったのは31歳の時。学生時代から憧れていたイギリス留学に挑戦したいと両親を説得し、「一切の援助を受けないこと」「何かをつかむまでは帰国しないこと」を条件に単身渡英。ここから私の国際人としての歩みが始まりました。
留学先の大学で国際ビジネスやマーケティングを専門的に学んだ後、大手百貨店の英国駐在員としてヴィンテージワインの輸入ビジネスに携わることに。世界中のワインが集まるロンドンでワインを買い付け、英国文化とともに日本へ届ける。そうした経験を積み重ね、日本人として生きることを意識する中で、初めて自分自身を客観的に見つめることができたのです。日本の中ではなく、外から日本のために貢献することが私を生かせる道なのではないか。国際人として成長する日々の中でようやく見出した答えでした。また、個性を尊重するイギリスの風土も自分を見つめ直す大きなきっかけになりました。葛藤の日々だった学生時代も、このためにあったのだと今は思うことができます。
「日本酒をアピールできるなら、どこへでも飛んで行きます」と吉武さん。ベルギーのエグモント宮殿で福島の日本酒をPR
-
日本酒を通して日本の魅力を
イギリスから世界へ。 -
現在は独立し、イギリスを拠点に日本酒と日本文化の魅力を世界に発信する活動を行っています。
私が日本酒と出合ったのは2006年。「日本サムライ」という日本酒の振興団体から依頼を受け、私が運営に携わっていたワインの国際的品評会に日本酒部門を設立する活動に参加したことがきっかけでした。当時、日本酒業界は国内消費の減少により危機的状況にありました。しかし、審査会で口にした日本酒のおいしさに私は大きな衝撃を受けました。20年近く日本を離れている間に、日本酒が大きく進化していたのです。日本酒には世界を魅了する力がある。そう確信し、日本酒は日本文化を伝えるツールと捉え、その普及を通じて日本に貢献したいと考えて、日本酒の振興活動を開始しました。
以来、イギリスを中心に、さまざまな日本酒PRイベントを企画しています。各国の日本大使館と連携した日本酒PRイベントをはじめ、イギリスの著名大学での日本酒振興セミナー、スポーツと連動したプロジェクトなども展開してきました。近年では、エリザベス女王をはじめとする王室関係者やVIPなどが出席する行事で日本酒を紹介する機会にも恵まれました。
これらの活動を通して再認識したのは、日本酒は最も平和を愛する飲み物ということです。日本酒があるところに和が生まれ、人と人がつながる。日本の和を尊重する精神が日本酒という形で体現されていると感じます。
今、新たに挑戦しているのは、日本酒のプロモーションの経験を生かし、日本産ウイスキーや焼酎など日本の酒 類と和食を組み合わせた「DRINK JAPAN」というイベントで、イギリスで立ち上げから、企画・運営、PR活動まで担当しています。今年で3回目を迎え、日本に足を運ばなくても、イギリスで日本の食や文化に触れられる場として、イギリスで広く知られるイベントに成長しています。私にとって、日本と世界をつなぐ架け橋でありたいというパッションが活動の原動力です。いつか日本酒が世界中に浸透し、その土地の気候や文化と融合したそれぞれの日本酒の楽しみ方が生まれることを願っています。
私が学生の皆さんに伝えたいのは、誰もがミッションを持って生まれてきているということです。自分の心が弾むことは何か。海外に出て、自分を客観的に見つめる経験も、それを見つける一助になるはずです。ぜひ若いうちに世界に飛び出してほしいと思います。そして、夢を持ってほしい。誰でも夢を持つことはできますから、ぜひ大きな夢を持ってください。
▶︎バックナンバー
-
日英ビジネス&文化交流アドバイザー 日本酒プロモーター吉武 理恵さん
- Spirit237
「和の精神」を体現する日本酒を通じて、外から日本に貢献することが私のミッション。
-
キリンビール株式会社 執行役員 広域流通営業本部 本部長小方 英嗣さん
- Spirit236
営業は、商品に一番近い存在。現場での挑戦を積み重ね、企業の成長を最前線で切り開く。
-
シンガー/ボーカルコーチShinoeさん(岩永 志野枝さん)
- Spirit235
歌うことで、自分の本質が照らされる。歌こそ、私の生きる証。
-
有限会社黒亭 取締役社長平林 京子さん
- Spirit233
祖母から受け継いだ伝統の味を、未来へ。仲間と共に目指す100年企業への道。
-
西部ガスホールディングス株式会社 代表取締役社長加藤 卓二さん
- Spirit232
経営で優先すべきは「人」。「人」を大事にしてこそ、企業の成長と挑戦は実現する。