西南学院大学人間科学部
社会福祉学科

より良い社会を私たちの手で築き上げたい…

1.準備するもの

(1) 国家試験対策講座(学内講座等の受験予備校の利用)

 大学受験、高校受験と同様、効率的に国家試験に合格するには試験対策が不可欠。独学よりもプロの講義を受け、必要な知識を効率的に身につける方が学習効果は高い。やる気があればあとはレールに乗るだけでいい。出題傾向の変化や制度改正への対応は独学では難しく、少ない時間で効果的に学習し、合格可能性を高めるためにも国家試験対策講座の受講を勧めたい。
 なお、社会福祉士国家試験は、司法試験、公認会計士試験などの難関国家資格と異なり、受験予備校を使わずに合格する受験生がある程度いるのが特徴である。

(2) 過去問題集、予想問題集、模擬試験

 国家試験は過去問と似たような選択肢が繰り返し出題されるため、過去問を完全に理解していれば60%の点数が取れる場合がある。逆に過去問では見たことがない問題も多いので、各出版社の予想問題集、模擬試験などで新作問題もなるべく多く解いておく必要がある。
 また、過去問を解く際は、年度ごとに解くのではなく、科目ごと(可能であればテーマごと)に解いて理解を進めていく方法が良い。市販の(選択)肢別問題集などはテーマごとに〇×問題を並べているので知識定着に役に立つ。また、「クエスチョン・バンク社会福祉士国家試験問題解説(4,180円)」は過去問を法律、統計、人名など7つのジャンルに分けて、テーマごとに問題を掲載しているので、苦手な科目・分野に絞った過去問学習が可能。
*過去問は、市販の問題集、アプリ等で学習し、正解数よりも解説をしっかり読み込んで理解すること、試験問題の傾向をイメージすることに重点を置いて欲しい。 

(3) (受験対策用の)教科書・テキスト

 大学の授業で用いられている中央法規等のテキストはページ数が多く、試験に出ない範囲も多く含まれている。そもそも試験対策用ではないので、受験対策用としては非効率なので使用しない。
 複数の出版社が受験に必要な箇所のみを圧縮した教科書・テキストを販売しているので、書店で見比べて自分に合ったものを購入すると良い。なお、教科書・テキストを読み込む勉強が苦手な学生は、最初から(4)の図表・イラストを多用した要点をまとめた受験参考書を使用すると良い。

    (教科書・テキスト)
  • ・TAC:みんなが欲しかった!社会福祉士の教科書(共通科目編)(専門科目編) 各3,190円
  • ・翔泳社:社会福祉士完全合格テキスト(専門科目)(共通科目) 各3,190円
  • ・テコム:社会福祉士の合格教科書 3,300円
  • ・2023年版ユーキャンの社会福祉士 書いて覚える! ワークノート 4,180円  など

(4) 参考書・対策講座のテキスト

 前述の通り、教科書・テキストを読み込む勉強が苦手な学生は、図表・イラストを多用した要点をまとめた受験参考書を使用すると良い。特に、教科書・テキストを読み込む時間がない本格的な勉強開始が遅れた学生、受験テクニック・暗記すべきことだけを効率的に学習したいという方はこちらを勧めたい。参考書は書店で見比べて自分に合ったものを購入すると良い。

  • ・メディックメディア:社会福祉士国家試験のためのレビューブック 5,280円
  • ・中央法規:見て覚える!社会福祉士国試ナビ      3,080円
  •   上の2冊は図表の解説も詳しい。下の3冊は図表など暗記すべき項目中心で簡潔。
  • ・らくらく暗記マスター  1,760円
  • ・U-CAN:まとめてすっきり!よくでる重要テーマ88  1,650円
  • ・U-CAN:おぼえて差がつく!よく出る人物88     1,540円 など

(5) 社会福祉用語辞典、受験ワークブック

 キーワードを分類・整理するのに便利。試験直前にも役に立つ。過去問、予想問題集、模擬試験のふりかえりのたびにマークをつけ、辞典や本に載っていない用語や内容が出てきたら欄外に書き足す。値段と情報量は比例するので店頭で比べて選ぶこと。社会福祉は法律や制度がよく変わるので、最新版を入手すること。

  • 〇「現代社会福祉用語辞典(第3版)」学文社、3、520円
  • 〇「社会福祉士国家受験ワークブック」(専門科目・共通科目)中央法規、各3、300円

(6) 福祉小六法

 過去問を解く時、選択肢に定義や概念、説明が出てきたら、必ず小六法で該当する条文に線を引き、法律を押さえる(確認する)ことを習慣づける。これは将来仕事についたときに役に立つ。また変な説明より分かりやすい。
 社会福祉は税金が財源であり、多くの人に公平に機会を提供するために、判断基準を明確にする必要がある。その根拠は、国会で承認された法律である。教科書や解説書を読む前に、条文を読むこと。
 法律はよく変わるので、最新版を買うこと。ただし法改正はいつもあるが、今年の9月以降に改正された法律は無視していい(試験問題作成が夏ごろのため)。逆に六法に収録されていなくても、重大な法改正があれば出題される可能性はある。
福祉小六法も数種類ある。分野と値段が同じなら、内容にほとんど差はない。

  • ○「社会福祉小六法」ミネルヴァ書房、1,980円    など

(7) 予想問題集

 複数の出版社が国家試験を予想した問題集を販売している。過去問ばかりやっていると回答を覚えてしまうので、過去問を2回やったあとは新作問題を解き始めるのが良い。

  • ○中央法規:社会福祉士国家試験模擬問題集、3,960円
  • ○TAC:みんなが欲しかった!社会福祉士の直前予想問題集、3,080円
  • ○成美堂:社会福祉士完全予想模試、2,860円     など

(8) 厚生労働白書

 統計資料は専門分野でいくつか必ず出る。最新の資料は白書で確認すること。問題も白書の図や表がそのまま出易い。インターネットでも閲覧できるが手元に欲しい。対策講座で資料集が付いていれば必要なし。

2.勉強方法(対策講座を受けるか、自分でするか)

(1) 国家試験対策講座

 勉強のペースつくりとして有効。直前講座も有効。多くの受験生を合格させているので、勉強のノウハウを色々教えてくれる。ただし最後は自分で勉強するしかない。

(2) 基本は「過去問を3回以上」

1. 問題を一つひとつ、まず自分で解いてみる(ほとんどできなくても大丈夫)。

2. 設問や解説を読みながら、出てきた重要語を用語辞典や福祉小六法で確認し、アンダーラインなどの印をつける。1回目、2回目と頻度で色を変えると、出やすい箇所が分かる。小六法や辞典に載っていなければ、必ず書き加える。

3. その言葉に関係する事柄や関係する年代を調べ、一覧表にする(重要事項の起こった順番を問う問題や関連する事柄を一度に聞く問題がある)。例えば「~報告」や「~プラン」、「~手当」、「専門職名」、「人名」など。作るのは大変だが、試験直前に役立つ。

4. 1科目2~3週で終わらせる(そのくらいかかる)。複数科目を同時進行で行う。

5. 事例問題は読むだけで十分だが、用語は同様に押さえておく。

6. 夏休み中に1回目が終わると、あとが楽。

(3) 過去問2回目(可能なら3回目も)

1. 過去問を解き、答え合わせ(現時点で法律が変わっている場合もある。1回目で徹底的に確認)。なお、1回目は正解率は50%程度でも大丈夫。

2. 自分の回答が合っていても解説をキチンと読む。

3. 解説を読んで了解できないときに、用語集や六法でもう一度確認する。

4. 1科目1週間以内でできる。複数科目を同時進行で行う。

(4) 過去問4回目

1. 試験直前に、もう一度過去問をする

2. 問題を読み、設問の選択肢一つひとつに、「ここは~だから間違い。正解は~のはず」と考えながら答える(これができないと合格しない)。

3. 自分の回答で間違っているときだけ解説を読む

4. おおむね1日1教科は軽くできる

(5) 予想問題集

 過去問と同様に、3回は解いて、選択肢がなぜ正しいか・間違っているかを解説できるレベルにする。

(6) 模擬試験

 10月末に全国統一模擬試験がある。それを受験すれば、おおよその実力はわかるので、ぜひ参加したほうがいい。この試験の段階で60~70%取れれば、おおむね大丈夫。科目によって高低があるが、以後はその調子で取り組むこと。
*直前2週間は、過去問4回目、新規の法律改正の確認、用語辞典の見直し。

3.今後の日程(覚悟)

・4年生は、精神保健福祉(編入生は社会福祉)の実習、卒論(1月10日締切)、福祉系の本格的な就職活動(9月以降~)、民間会社の研修など、後期は結構忙しい。また国家試験の内容は、大学の授業や試験とは全く違う。安易に考えないこと。

・特別な勉強をしないと合格しない試験ではあるが、勉強すれば合格できる(採用と一番違う点)。

・大学受験時代並みに勉強したらほぼ合格できるはず。

・必要な勉強時間はスタート時期、能力によって異なるが、この時期から、1)授業・バイトがあり忙しい日は3時間以上、2)授業・バイトが忙しくない日は5時間以上、3)直前は8~10時間以上、を目安に勉強時間を確保できればほぼ合格できるはず。

4.学習の流れの具体例・・・自身に合う勉強方法は人によって異なるので参考程度に

(1) 国家試験対策講座を受講する場合

1. 対策講座を受講 → 同時進行で過去問5年分(分野別)*3回は繰り返す。選択肢の解説ができるようになるまで。

2. 対策講座のテキスト・配布資料で必要事項を学習・暗記。
必要に応じて、市販教材を活用。よくでる重要テーマ88、よくでる人物、らくらく暗記マスター等。 

3. 予想問題集(数冊) *3回は繰り返す。選択肢の解説ができるようになるまで。

4. 模擬試験(数回) *3回は繰り返す。選択肢の解説ができるようになるまで。

(2) 独学の場合

1. (必要な人)受験対策の教科書・テキスト

2. よくでる重要テーマ88、よくでる重要人物 or らくらく暗記マスター、国試ナビorレビューブック等(ある程度理解するまで繰り返し目を通す)

3. 過去問5年分(分野別)  *2,3は同時進行。同じ分野の2をやった後に3。別分野の2をやった後に3のイメージ。 *3回は繰り返す。選択肢の解説ができるようになるまで。

4. 予想問題集(数冊) *3回は繰り返す。選択肢の解説ができるようになるまで。

5. 模擬試験(数回) *3回は繰り返す。選択肢の解説ができるようになるまで。