世界がキャンパス 私の留学STORY デュースブルク・エッセン大学 [ドイツ] 人間科学部心理学科 4年 佐藤 未来さん (真和高等学校出身)

授業では学術的知識よりも、
個人の意見が重視される。
 ヨーロッパが持つ文化芸術、歴史に触れたい。以前から絵画や彫刻、建築、音楽などアート全般に興味があり、「1年間海外に住むチャンスがあるなら…」と、迷わずヨーロッパ圏の留学先を志望しました。
 ドイツへの留学が決まったあとは、留学をより充実したものにするため、まずは基本となる英語力向上を目指しました。アカデミックな表現を身に付けるというよりも、日常的に使うカジュアルな表現力を磨くために、家では海外のドラマや映画をつけたままにし、分からないフレーズがあれば調べることを繰り返しました。その甲斐もあり、実際に留学生活が始まるとすんなり現地の生活に馴染むことができました。また、元来の社交的な性格に加え、国際交流団体が主催する留学生向けのイベントに頻繁に参加し、学内に顔見知りが増えたことも、早く馴染めた理由だったと思います。
 一方、授業となると経済学や政治学などで専門的な英単語も多く、内容の理解に苦しみました。最初の頃は先生に質問されてもうまく答えられず、帰宅後の復習で先生の意図を理解すると、「日本語だったら答えられたのに!」と、悔しさを感じることもしばしば…。理解度を上げるために、毎日の復習では授業のスライドを見ながら、単語一つひとつを丁寧に覚えることを心がけました。また、授業中に先生が学生に意見を求めることも多く、その際、学術的な知識を持っているかどうかではなく、個人の意見が重視されます。グループディスカッションやプレゼンで、ほかの学生の視点や考えに触れる機会も多く、他者の意見はどうであれ、自分の意見を持つことの大切さを痛感しました。
ヘルシンキで見た大聖堂、きれいだったな〜 友人たちと、サウナによく行きました!
思い通りにならなくても
その状況を楽しめば良い!
 人はみな無意識のうちに先入観にとらわれ、多かれ少なかれ偏った意識や固定概念があると思います。その大前提を心理学科で学んできたものの、留学中、「やっぱりドイツ人だから…」と無意識に判断している自分にハッと気づく場面がありました。常にできる限りフラットな考えでいたいと思っているため、恐ろしささえ感じたほどです。留学期間は自分自身を客観視できる良い時間でもありました。
 また、私はもとから計画的に物事を考える性分でしたが、留学中に日本での当たり前が通用しないことを経験し、さらにその気質に磨きがかかりました。例えば、ビザの申請や銀行口座の手続きの時、担当者によって話す内容が違うことがよくあります。必要書類の指示も毎度違うため、あらゆる事態を想定して、注意深く準備する習慣がつきました。それでも思い通りにいかない場面もたくさんありましたが、想定外のことに出くわしても、その状況を精一杯楽しめる適応力が自然と身に付いたと思います。
 今後の人生でも何度も想定外の出来事に出くわすと思います。今がまさにその時です。留学前、卒業後は心理学の道に進むつもりでした。しかし、留学先で出会った友人たちの、既存の枠組みにとらわれず、今自分がやりたいことに果敢に挑む姿に感銘を受けました。私もその姿勢を見習い、“今”を大切に自分らしい生き方を模索していきたいです。
ホストファミリーと毎週のようにお出かけ! 大切な親友もできました!
何を学びましたか?
 東アジアの研究を行う学部に所属していました。その中で、経済学、社会学、政治学などを幅広く履修。それらの授業のすべてに、ヨーロッパとアジアの比較という視点が学術的に取り入れられていました。日本でしか学んだことがない私にとって、ドイツから見た日本、ヨーロッパから見たアジアについて知ることができ、とても興味深い学問でした。
留学していた大学の
魅力は何ですか?
 寮の周辺にはスーパーやドラッグストアもあり、生活しやすい環境でした。デュースブルクとエッセンの2つの都市にキャンパスがあり、移動用のバスも運行。韓国人や中国人などアジア圏からの留学生も多く、国際交流コミュニティの活動も活発で、友達がつくりやすかったです。
留学中の印象的な
エピソードはありますか?
 ドイツでは日曜日になると大半のお店が休業し、街から人がいなくなります。娯楽施設も21時前後には閉店することが多く、「外に出るよりも家族と過ごす方が幸せ」とドイツ人の友人が話していました。何よりも家族、家庭を一番に思うドイツ人の国民性に、幸せとは何か、深く考えさせられました。
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