心理学科カレンダー

2025/03/28

2024年度ゼミ活動紹介(教育発達心理学分野ー松尾ゼミ)

2024年度心理学科の卒業研究をご紹介するコーナー!

今回は教育・発達心理学分野での卒業研究をご紹介します。

 

 

題目「動機づけが主観的時間的距離感を媒介して学習行動に与える影響」

 

研究内容

私は「時間」という概念に興味があり、特に物理的に同じ長さの時間が状況や心理状態によってどのように異なって感じられるのかに関心を持ちました。そこで、主観的な時間間隔(ある出来事までの時間が長く感じられるか短く感じられるか)と学習行動との関係をテーマとして設定しました。例えば、テスト勉強をする際、多くの人は試験が近づくにつれて勉強を始める傾向があります。しかし、「試験までの距離感」は個人によって異なり、試験日が迫っていると感じる人もいれば、まだ時間があると感じる人もいます。この主観的な時間の感じ方には、モチベーションの質や感情が関わっているのではないかと考えました。

 

実験では、参加者に試験までの時間をイメージしてもらい、その際の不安や動機づけが時間間隔にどのような影響を与えるのかを測定しました。その結果、主観的な時間の感じ方と学習行動との関連は確認できませんでしたが、不安が高い人ほど試験日までの時間を短く感じること、また内発的な動機づけが高い人も同様に時間間隔を短く感じる傾向があることが示唆されました。

 

学習行動に影響を与える要因は時間間隔だけでなく、より複雑な心理的要因が関与している可能性があります。そのため一つ変数が違うだけで、また異なる結果や新たな考察ができることが研究の面白さだと実感しました。

 

卒業研究を振り返って

最初は興味のあるテーマがあっても、それをリサーチクエスチョンに落とし込めず、改めて自分は何を調べたいのか考え直しては関連する論文を調べるといった、とにかく具体と抽象を繰り返していました。研究の方向性が定まらず振り出しに戻ることも多かったです。

 

卒業研究は個人戦のイメージですが、実際には人を上手に頼ることが大切だと私は実感しました。「こんなことに興味がある」と漠然と話すだけでも、類似の概念や関連する論文を知るきっかけになり、話すことで大きく前進することができました。松尾先生はもちろん、実験助手の方や心理の先輩、同期のおかげでそれぞれの視点を得ることができ、研究の解像度を高めることができました。

 

卒業研究は「時間」と「意欲」があればいくらでも追求できると思います。しかし限られた時間で自分の納得できる答えを見つけ、選んだものを深く磨き上げていく経験は、今後の人生でも大いに役立つと感じました。

 


*卒業研究を進める際に大変参考になったという論文たち!(写真は学生本人からの提供です。)
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