心理学科カレンダー

2023/01/06

2022年度 第3回 心理学科主催講演会が開催されました

本日は、カナダにあるアルバータ大学心理学部の増田貴彦先生に、「ものを見るということ:こころと文化の深い関係と多文化社会を楽しむコツ」というタイトルで、ご講演をいただきました(オンライン)。

私たちは普段、世界をありのままに、正しく、見ているのだろうか?

増田先生は、子ども時代から感じておられたこうした疑問に関する研究を続けて来られたそうです。日本、アメリカ、カナダで研究生活を送られ多文化に触れる中で、「世界の見方は文化によって異なっているのか」という文化心理学的な問いへの探求を続けて来られました。

今回の講演では、「見方の文化差」を捉えた研究成果について、ご紹介いただきました。そのうちの一つがミシガン・フィッシュ課題(Masuda & Nisbett, 2001; Nisbett & Masuda, 2003)を用いた研究です。魚が泳いでいるアニメーションを実験参加者に見せ、そのあとで内容を説明してもらう、というものです。

すると驚くべきことに、同じアニメーションを見ていたにもかかわらず日本では、水の中の様子(水の色や水草など)について最初に説明する人が多かったのに対して、北米ではまず魚について説明する人が多かったのです。

同じ世界を見ていても、文化によって中心的な対象物に注目する人が多い場合と、背景に注目する人が多い場合があることが分かりました。

ある文化圏の中で当たり前とされている心の性質は、別の文化圏でも当たり前とは限らない。
頭では「そうかもしれないなあ」と思っていても、実際にそれを確かめ、データで示すことができるのが心理学の強みだと、改めて思った受講者も多かったのではないでしょうか。

最後に、ご自身の経験を踏まえながら、多文化社会で生きるにはエネルギーが必要なことや、それを楽しむことのメリットについてもお話しくださいました。

グルーバルに活躍する研究者から直接お話を伺える貴重な機会となりました。
増田先生、ご講演ありがとうございました。

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