2026/10/16(金)
齋藤一城先生による南極講演会が開催されました。
2026年7月9日(木)3限(13時40分~15時20分)に、法学部佐古田先生の国際法の授業で、「砕氷艦しらせと南極」と題する講演会が開催されました。講師には、1年前まで砕氷艦「しらせ」の艦長であった一等海佐の齋藤一城先生をお迎えし、南極地域観測における「しらせ」の役割や艦内での生活、南極の自然環境などについてご講演いただきました。
講演の前半では、南極地域観測と砕氷艦「しらせ」の役割について解説が行われました。「しらせ」は、南極地域観測隊の人員や物資を輸送する重要な役割を担っており、通常の船舶では航行が困難な海氷域を進み、南極・昭和基地への輸送を支えています。講演では、南極へ向かう航海の様子や、厳しい自然環境の中で「しらせ」がどのように活動しているのかについて、数多くの写真や映像を交えながら紹介されました。
国際法の授業では、1959年に採択された南極条約について学んでいます。南極条約は、南極地域の平和的利用や科学的調査の自由、国際協力の促進などを定めています。こうした国際法上の枠組みに関する知識を踏まえながら、実際に南極で活動された齋藤先生から現地の環境や観測活動を支える「しらせ」の役割について伺うことで、授業で学んできた南極をより具体的に捉えることができました。
また、南極での任務だけでなく、長期間にわたる航海を支える艦内生活についても紹介されました。艦内には、乗員が共同生活を送るための居住設備に加え、理髪室や浴室、トレーニング室などが設けられています。限られた空間の中で乗員が生活する様子や、乗員同士で散髪を行う様子など、「しらせ」での日常生活を知ることのできる貴重なお話がありました。
さらに、長期航海の中でも季節の行事が大切にされていることが紹介されました。年末年始には、餅つきや注連縄作り、おせち料理の準備などが行われ、艦内でも正月を迎える準備が行われます。節分には恵方巻を食べるなど、長期間にわたって日本を離れて活動する中でも、乗員が季節を感じながら生活している様子が印象的でした。また、2024年からはスターリンクの利用も始まり、艦内の通信環境にも変化が生じていることが紹介されました。
講演の後半では、南極で見ることのできる生物や自然現象について、齋藤先生が実際に撮影された写真などを用いて紹介されました。南極には、アデリーペンギンやコウテイペンギンをはじめ、ウェッデルアザラシ、ユキドリなど多様な生物が生息しています。また、ザトウクジラやミンククジラの姿、南極に生息する魚についても紹介され、私たちが普段目にする機会の少ない南極の豊かな生態系を知ることができました。
南極特有の壮大な自然環境についても解説がありました。全長約85km、最大幅約10kmに及ぶ白瀬氷河をはじめ、氷瀑や白夜、サンピラー(太陽柱)、ビーナスベルトと地球影、蜃気楼、ブリザード、オーロラなど、極地ならではのさまざまな自然現象が写真や映像とともに紹介されました。
さらに今回の講演では、齋藤先生が実際に南極の氷を持参してくださいました。講演終了後には、普段触れる機会のない南極の氷を一目見ようと多くの学生が列をなし、実際に手で触れながら興味深そうに観察していました。写真や映像だけではなく、南極から運ばれてきた氷の現物に直接触れることで、遠く離れた南極をより身近に感じる貴重な機会となりました。
本講演を通じて、南極地域観測が「しらせ」とその乗員によってどのように支えられているのかを知るとともに、長期航海における艦内生活や、南極の生物・自然環境について幅広く学ぶことができました。また、国際法の授業で学んだ南極条約という法的な枠組みの先に、実際の南極で行われている観測活動や、それを支える多くの人々の活動があることを実感することができました。
質疑応答では学生から多くの質問が寄せられ、齋藤先生には一つひとつ丁寧にお答えいただきました。講演終了後にも齋藤先生のもとに多くの学生が集まり、引き続き質問にご対応いただくなど、最後まで大盛況の講演会となりました。
(法学部国際関係法学科4年 重留小春)



