ジャン=フランソワ・マルキ先生による講演会が開催されました。
7月17日(木)の1限にエクス・マルセイユ大学准教授、国際関係副学長のジャン=フランソワ・マルキ先生による講演会が開催されました。「La crise du multilatéralisme international :le cas de la paix et dela sécurité interationales 国際的な多国間主義:国際平和と安全を事例として」という題で、歴史的観点から考えた多国間主義、多国間主義の問題点、多国間主義の危機が今後及ぼし得る影響についてお話してくださいました。
多国間主義(マルティラテラリズム)は、20年近く危機を迎えており、その危機は今年の1月のトランプ政権誕生以降、より深刻になっています。
マルキ先生は、多国間主義の危機の実例として、トランプ政権の政策を挙げて説明してくださいました。トランプ政権が経済面では一方的な関税措置をとり、保健の面では世界保健機(WHO)から脱退することを宣言しています。このような政策では、アメリカの利益が最優先に考えられています。次第に国際社会では一国の利益を優先する一方主義の考え方が目立ち始めており、1945年に制度化された多国間主義がなくなっていく恐れもあります。
このような危機の中で、近年、選択的なミニラテラリズムの考えが広まっています。国家による多国間主義ではなく、都市間や企業間や大学間などの民間機関の連携によって多国間主義や国家間の連携が改善されようとしています。しかし、いまだに危機は続いています。
多国間主義が危機に瀕している時代を生きていくためには、一方主義の考え方に流されず、現在の風潮を見直していくべきであると考えます。この状況が続いてしまうと紛争問題をはじめとした国境を越える課題に立ち向かうことはできません。より国際社会が協調し、現代の情勢に適した新たな多国間主義の形成を目指していかなければならないでしょう。今の私には、国際社会に対して大きな行動を起こすことはできませんが、国際法や国際政治を学び続け、自分にできることを探していきたいです。