学びの現場から

西南学院の大学・各学校・園・保育所では、
学生、生徒、児童、園児の成長のために
教職員が一丸となり、より良い教育を目指して
日々さまざまな取り組みを行っています。

今回のテーマは「伝え方」

写真左:興梠美潮さん、写真右:ユスチナ・ベロニカ・カシャさん

舞鶴幼稚園
年中 担任

興梠(こうろき)美潮(みしお)

西南学院大学
外国語学部
外国語学科 教授

ユスチナ・
ベロニカ・カシャ

短く分かりやすい言葉を選び
伝わっているか確認することも大事

写真:豊かなコミュニケーションには、母語と外国語の両方を理解することが欠かせません
豊かなコミュニケーションには、母語と外国語の両方を
理解することが欠かせません

―カシャ学生に何かを伝えるとき、私が大切にしているのは言葉の選び方です。曖昧な表現ではなく、分かりやすい言葉を選び、できるだけ短く伝えることを意識します。「本音と建前」の「本音」を軸にする方が伝わりやすいように思います。

―興梠幼稚園でも子どもにとって分かりやすい言葉選びを大切にしています。子どもたちは、友達と関わる中で「もう一生遊ばない」「もう友達じゃない」とつい強い言葉を使ってしまうことがあります。しかし、よく聞くとただ意見が違って嫌だっただけという場合も多いんです。そういうとき、私たち大人は頭ごなしに止めるのではなく、「意見を聞いてほしかったんだね」と気持ちを受け止め、次に、せっかく自分の胸に芽生えた気持ちをどう言えば相手に伝わるか、子どもと一緒に考えます。

―カシャ相手がどのくらい理解しているか、反応を確認しながら伝えることも大切ですね。私の外国語の授業では学生も英語を使いますが、都度内容がきちんと伝わっているか細かく確認します。テーマに合わせた複雑な議論を複数人でまとめていくのは母語ではない言語だと難しい部分もあるので、私も日本語でまとめたり、理解度に合わせてパワーポイントや動画を使ったり、想像しやすくする工夫もしています。

―興梠視覚的教材は子どもたちにも欠かせません。聖話では紙芝居やペープサートを使いますし、みんなで料理をする活動では言葉で説明するだけでなく、これからやることや道具を目の前で見せながら簡潔に説明します。言葉で伝える際も「朝の準備をして」だけで分かる子もいれば「タオルを出そう」「植物の水やりをしよう」と一つずつ伝えた方が良い子もいます。その子の成長や性格に合わせ、言葉や順番を変えています。

―カシャ園児も大学生も短く分かりやすく伝える方がいいし、今ちゃんと伝わっているかなと表情や反応を見ながら進めた方が望ましい点は共通していますね。

相手の気持ちを受け止め
伝わる形を一緒に考える

写真:子どもたちの理解を助けるため、素話ではなく、視覚教材を使って聖話を語りかけます
子どもたちの理解を助けるため、素話ではなく、
視覚教材を使って聖話を語りかけます

―興梠伝える前に環境を整えることも大切です。騒がしい環境で話してもなかなか伝わらないので、まず手遊びをして注目を集めたり、視界に動くものがない白壁を背景にして話すなど工夫したりします。小さな工夫一つでも伝わり方は変わりますね。

―カシャ大学生でも、発表の場を整える必要があります。いきなり難しい発表をさせずに、まず学生同士で話す時間を設け、リーダーを決めてグループで意見をまとめます。人前で話すことに緊張する学生には、最初は先生の前だけで、次は友達と一緒になど、段階をつくります。

―興梠幼稚園でも、みんなの前で話すのが苦手な子には「先生と一緒に言う?」と寄り添いつつ、自主性をもって臨めるようにサポートします。ただ、何も言わないと相手には伝わらないので、YESかNOだけでも伝えることの大切さは繰り返し話します。子どもが自分から「先生」と小さなことでも伝えに来てくれたときは、まず「教えてくれてありがとう」と気持ちを受け止めるようにしています。

―カシャ伝えることは、一方的に言葉を投げることではなく、お互いに対話することです。沈黙に意味がある場合もありますが、相手がどう受け取るかを考え、反応を返し合うことは大切です。幼稚園でも大学でも、相手に届く形を考え、安心して言葉を交わせる関係をつくることが伝える力、そして人と関わる力の土台になるのだと思います。

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