「誰かの役に立ちたい」。
その思いが背中を押す。
 高校生の頃から、「誰かの役に立つことがしたい」と、漠然と考えていました。そんな時ふと目に留まったのが、「海外ボランティア・ワークキャンプ in フィリピン」の募集。「挑戦できる時が来た!」と、すぐに応募しました。また、アフリカンアートのような、”非西洋圏“の文化に興味を持ち始めていたことから、フィリピンの地を訪れてみたいと思ったことも応募したきっかけの一つでした。
 このボランティアは日本国際飢餓対策機構の協力のもと、2003年より実施されています。3年ぶりに実施された今回は12名の学生が参加し、2023年2月24日から3月2日までの1週間、フィリピン・マニラ近郊を訪問。現地の小学校や教会を訪れて絵本を贈呈したほか、小学校の校舎の改修をしたり、教会の礼拝に参加したりと、現地の子どもたちと親睦を深め、濃密な時間を過ごしました。数時間しか 一緒に過ごしていない子どもたちも、「あなたたちに出会えて本当に良かった!」と言葉をかけてくれ、その真っ直ぐな思いに何度も心を打たれました。
数々のフィリピンでの思い出の写真。「子どもたちとの交流が幸せの意味を考えるきっかけになりました」と話す大番さん。
子どもたちに気付かされた
幸せの真理。
 実は、意気込んでボランティアへ応募したものの、出発前は憂鬱な気持ちでいっぱいでした。「私が何か力になれるのか?」と葛藤に苦しむことも…。実際、現地に到着してから、深刻な問題に直面する場面がたくさんありました。例えば、舗装されていない水浸しの通学路や、最低限の設備しかない教室、そして多くの子どもたちが経済的な理由で給食を食べることができないなど、目を背けたくなるような現実ばかり。さらに、私たちがホテル泊をしていたことによって、子どもたちが日々生活する環境との差をより強く感じる状況に…。私たちは現地の人々の力になりたいと、フィリピンを訪れました。その使命を掲げる一方で、私たちが寝泊まりするのは、身の安全が確保され、設備が整ったホテル。最初の頃は、私たちの思いと現状との乖離に戸惑い、悩みました。
 しかし、活動を続けていると、そんな葛藤を晴らしてくれる気付きがありました。それは、「貧しさ=不幸」ではないということ。私たちは心のどこかで、私たちの方が彼らより幸福だと思い込んでいたのだと思います。しかし、経済的に豊かではなくても、彼らは強さと謙虚さを持ち、生き生きと暮らしている。相手を思いボランティア活動に参加したはずが、逆に多くの学びを得た1週間でした。
数々のフィリピンでの思い出の写真。「子どもたちとの交流が幸せの意味を考えるきっかけになりました」と話す大番さん。
学び続けるという意志が、
未来にひと筋の光を見出す。
 今回特に学んだことは、「Study hard」です。帰国直前、現地の方に「日本で私たちにできることは何ですか?」と尋ねたところ、この答えが返ってきました。この活動自体にフィリピンの現状を変える力はないかもしれません。しかし、今は取るに足らない一歩でも、私たちがさまざまな世界を学び、みんなで理解の輪を広げていくことで、未来に希望の光が差し込むかもしれません。
 それを理解できたからこそ、帰国後の生活にも変化が表れました。何不自由なく学び、遊べる環境に感謝しながら、興味を持ったこと全てに挑戦するつもりで行動しています。さらに、ボランティアで学んだことを次の世代に伝えるべく社会科の教員という夢に向けて教職課程の履修もスタートしました。将来教員になった時に、教え子たちが既存の概念にとらわれない広い視野を培うために、私の経験が少しでも役立てばと思っています。そのためにも、自ら学ぶ姿勢を持ち続け、私自身の知見をさらに広げていきたいです。
博多の歴史や
文化を深く理解し、
地域の発展に
貢献したい!
商店街の活性化や地域のお祭りの運営など、地元の活動に参加したいと思っています。フィリピンの子どもたちが日本や福岡の町について興味を持って色々と質問してくれたことで、私は大学でさまざまな国・地域の文化を学んでいるのに、自分が生まれ育った町については詳しくないことに気付きました。これからは地元のことをもっと学び、地域のにぎわいに少しでも貢献したいです。
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