-
“数より質”を重視。
己と向き合い練習に邁進。 -
一般的な弓道とは武道の一種で、己の心技体を磨き、礼節を重んじる格式高い競技です。一方、私たちが取り組んでいる学生弓道は、武道としての弓道とは一線を画し、スポーツの枠組みで捉えられています。スポーツには勝敗がつきものですので、学生弓道ではより高い的中率を追い求めます。とはいえ、ただ的中すれば良い訳ではありません。心技体の成長はもちろん、“敵は自分自身”と己の内面と向き合いながら、日々鍛錬を続けています。
西南学院大学の弓道部は、現在70代目。約20名の部員とともに、週4日練習しています。1日で弓を引く本数は1人20本ほど。練習する上で意識していることは“数より質”です。学生弓道は団体戦を主としていますが、強豪校と肩を並べるためには個々の実力を伸ばす鍛錬が欠かせません。特に、幹部を務めた昨年は粘りと気合い、そして仲間を信じて堂々と弓を引くことをモットーに練習に取り組みました。 -
自分のけがをきっかけに
仲間の存在の意味を再確認。 -
もともと私は、人一倍緊張しやすい性格です。試合ともなると手足の震えが止まらなくなり、本領発揮できない状況が続いていました。先輩の大切な引退試合でも、私が女子チームを統括する「女子責任者」に就いた後でも、一向に改善の兆しが見えない…。練習でどんなに調子が良くても、試合のたびに失敗してしまう自分に、いつしか自信が持てなくなりました。
そんな私を変えたきっかけは、3年次の夏に肩を痛めたことにありました。弓を引くのも困難な中、なんとか調整して出場した試合がありました。それまでの試合では“女子責任者の私がチームを引っ張らなくては!”という思いが強く、その考えが余計に自分を苦しめていました。しかし、その時は後輩の肩を借りるつもりで、団体戦の立ち順を変更して出場。すると、過度に緊張せずに終えることができ、過去最高的中を収めることができました。これぞ「怪我の功名」だったと思います(笑)。その経験から、“一人で背負い込み過ぎないこと”が、私にとっての緊張の対処法だと実感しました。
-
努力次第でどんな高い目標も
達成できることを実感。 -
さらに、私は自他ともに認めるネガティブ思考の持ち主でした(笑)。練習で調子が悪い時や先輩に注意された時は、泣いたり、不機嫌になったりするのは日常茶飯事。きっとその言動は、自分の自信のなさに原因がありました。しかし、肩を故障した試合を機に、ネガティブな自分との付き合い方にも変化がありました。人に頼ることができるようになると、試合で良い結果が出る。すると、自分を信じてみるきっかけになる。そんな小さな一歩の積み重ねと、周りの支えのおかげで女子責任者としての任務を全うできました。
弓道はメンタルに左右されやすい競技です。弱気な姿勢では勝つことはできません。堂々と弓を引く。そして、矢を離す瞬間まで諦めない。女子責任者に就任して意識したことを部のみんなで体現できた結果、昨年は「九州学生弓道選手権大会(全九)」で男女ともに決勝リーグ出場、女子に関しては団体優勝し、優秀射技校にも選出されました。その後、三重県伊勢神宮で行われる学生弓道最高峰の大会にも九州代表として出場。この結果は、努力次第でどんな高い目標も達成できるという自信につながりました。諦めないことの大切さ、努力は実るという事実。そして、仲間を、自分自身を信じることの意味。弓道部での経験は私に根拠のある自信をくれました。この経験は、大学卒業後も私の支えとなってくれるはずです。
- 目指すは全九2連覇。
就職活動と並行し、
4年生のみんなで
華々しい引退を! - 幹部交代後の現在は、現役部員として活動しています。就職活動との両立は正直大変ですが、今はみんなで力を合わせて「九州学生弓道選手権大会(全九)」の連覇、そしてその先の「全国大学弓道選抜大会」で団体入賞を果たしたいと思っています。4年前に先輩たちがこの大会に出場し、全国3位に入賞しているため、私たちも肩を並べたいです。全力を注ぎ、みんなで有終の美を飾りたいと思います。