法律という未知への挑戦。
迷いを払拭し、一大決心。
 2022年9月、インドのデリーで行われた「INC」に出場しました。「INC」とは、世界の大学生、大学院生が2人1組となって英語で交渉技術を競い合う大学対抗の大会です。過去2年はコロナ禍で中止となり、西南学院大学としては2019年以来の出場となりました。今回参加した大学は、イギリスやオーストラリア、インドなどから世界有数の大学ばかりです。全26校が参加し、そのうち日本の大学は2校のみでした。大会は、国際ビジネスの架空の取引を題材に国際法を用いて交渉するため、基本的にどの大学からも慣例的に法学を専攻する学生が出場します。その点、外国語学部に所属する私にとってはアウェーな環境。当初、法律やビジネスの知識が全くなかったため、出場の誘いを受けた時は正直躊躇しました。しかし、そんな困難な環境であることは覚悟の上、挑戦を決意。それは、世界有数の優秀な学生たちと交流できること、さらにそういった経験が自分の成長につながる機会になると確信したからです。そこから本番までの約4カ月間をかけた私の挑戦の日々が始まりました。
取材中も流暢な英語を披露してくれた金さん。もともと英語は得意だったものの、今回の4カ月にわたる特訓の末、ビジネス英語のスキルも格段にアップしたそう。
ひたすら勉強に打ち込み、
プレッシャーに打ち勝つ。
 5月から法学部・多田望教授の指導のもと、法学部1年のパートナーとともに週に2回、約2時間の勉強会を行いました。大会の過去問を参考に、どんな戦略を立てるか、自分たちならではの交渉術を考えていきます。戦略を立てるには国際法やビジネスに関する知識が必要となり、最初は新しい分野の知識を身に付けることに苦労しました。加えて、その知識を生かすためのビジネス英語を勉強しなければなりません。準備を進めれば進めるほど、自分の足りない部分が明らかになり、落胆する毎日。プレッシャーに襲われない日はありませんでした。「専門外の私が太刀打ちできるのだろうか」、「大学の代表として出場して良いのだろうか」。そんな考えが頭に浮かんでは消え、その不安を払拭するために、さらに勉強に打ち込みました。想定したあらゆる戦術も暗記するまで発音を繰り返し練習。間違いを見つけた際は、本番でのミスを未然に防ぐことができたと、次第にポジティブな思考に。本番を前に、少しずつ気持ちに変化が表れ始めました。
取材中も流暢な英語を披露してくれた金さん。もともと英語は得意だったものの、今回の4カ月にわたる特訓の末、ビジネス英語のスキルも格段にアップしたそう。
最後まで諦めないこと。
その強さが本番でも生きる。
 そして、待ちに待った9月の本番。私たちの対戦相手はインドの大学でした。議題は、カナダのIT企業とマレーシアの大型スーパーを営む企業の取引で、私たちはカナダ側を担当。マレーシアの企業はカナダで食品事業を展開するために、カナダの企業が提供する技術を使いたいという事案でした。ビジネスにおける交渉は勝ち負けではなく、いかにWin-Winな結果に導けるかが審査の基準です。たとえ、会社の理念に反する部分があっても合理的な判断と法律的な解釈をもって解決する交渉術が求められます。
 結果、パートナーと健闘しましたが、残念ながら2回戦敗退となりました。しかし、現在の私たちのベストが尽くせたこと、世界中の優秀な学生たちの姿に刺激を受けたことなど、誰もが経験できない貴重な時間を過ごせたと今は満足しています。プレッシャーに打ち勝ち、最後まで諦めなかった自分を誇らしくも感じました。これからの人生、初めてのことにも怯むことなく、さまざまな分野に挑戦していきたいと思います。
語学の楽しさと共に
母国・韓国の魅力を
より多くの人に伝えていきたい!
2022年春から言語教育センターの「韓国語カフェ」のスタッフを務めています。今はフリートークを中心に韓国語を教えていますが、今年は同センター「語学ラボ」での本格的なレッスンにも挑戦してみたいと思っています。現在、韓国のアイドル文化やドラマの認知度は高いですが、韓国に住んでみないとなかなか知り得ない古来の風習や文化をレッスンを通して伝え、母国・韓国の魅力をより多くの人に知ってもらいたいです。
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