2019.06.03

大塚敦子氏講演会が開催されました。

 2019年6月3日(月)、本学チャペルにおいて、「育む 慈しむ 尊重する〜刑事施設や更生施設の動物介在活動〜」という演題で、大塚敦子氏にお話いただきました。

 今回の講演会では大塚敦子氏から刑務所の動物介在活動の事例を聞くことができました。動物と人との間には、視線を交わす事で本来親と子の間に生まれるはずのホルモンが分泌されることがわかっています。それらを利用して幼少期などに虐待を受けたり、愛情を持って育てられなかった人の心を開き、癒し、また学ぶことがこの動物介在活動の目的です。

 アメリカの女性刑務所の例では、アニマルシェルターにいる犬を訓練して一般家庭に引き取ってもらうということを目的としています。この施設では命を救うということを理念としており、その活動によって殺処分されてしまう可能性のある犬達を救うことによって、女性の受刑者達の心を揺り動かし生に対する考え方をより良いものにしていくのです。それ故に再犯率は5%と平均の再犯率を大きく下回っております。また少年更生施設の例では、非行を犯した少年を対象として活動をしています。心を開けず、自分の気持ちを発言できなかった少年が動物を介することで心の中を少しずつ解放することができるようになったりもしています。

 このようなプログラムは日本でも行われています。千葉県にある八街少年院で行われている「ギブミーアチャンス(GMaC)」というプログラムは、保護犬を訓練する過程をとおして、自身を振り返るという体験をすることで社会復帰を目指しています。また、島根あさひ社会復帰センターでも、訓練生が、盲導犬を育てるために子犬を訓練するというパピープログラムを導入しています。週末には地域の人に犬を託し、犬を通して社会との交流がはかられています。かわいがって育てても、最後には犬との別れがあります。しかし、やり遂げたという達成感や別れの寂しさなど感情を体感することで、人と人や動物との交流をしていきます。

 私は今回この講演会を通して、人と人、人と動物といった自分とは違うものとのコミュニケーションの可能性、そしてその凄さを学ぶことができました。心の底からのコミュニケーションをすることで、人は心を開き自分を表現できます。また、非行や犯罪を犯した人の更生施設で行われているプログラムを知ることができました。今回は動物介在活動のお話でしたが、社会復帰のためのプログラムについて自分でも調べてみようと思います。

記・大井 太暉 (法学部法律学科一年)