2018.12.04

柳井俊二先生の講演会が開催されました。

 2018年12月4日(火)、本学チャペルにおいて法学部主催講演会が開催されました。講師には、元外務次官、元駐米大使で、現在は国際海洋法裁判所の裁判官である柳井俊二先生をお迎えし、「昭和・平成の外交史~体験的外交史~」というテーマでご講演いただきました。

 柳井先生はまず、第二次世界大戦後からの外交史について自らの体験を交えてお話してくださいました。

 日本が連合軍の占領を経て戦後の復興を遂げる一方、世界では西側・東側が対立し冷戦が続いていました。後に、冷戦の象徴であるベルリンの壁が崩壊したことにより冷戦は終結したものの、それまで各地で潜在的にあった民族紛争や国内紛争が多数表面化しました。しかし、イラクのクウェート侵攻に対しては国際社会が平和回復のために一丸となり、国連安全保障理事会はイラクへの武力行使を認めました。各国は自国の利益を念頭に様々な判断を下すこととなるため、国連安全保障理事会において武力行使が許可されたことは奇跡的だとも言えるそうです。ですが、その努力も甲斐無く、9.11事件によって国際的な平和のための協調の道は遠ざかりました。

 次に、柳井先生は「昭和・平成の外交裏ばなし」と題してお話しをしてくださいました。

 特に沖縄返還協定に関して、一般的に条約の署名は同一の場所で行われるのに対し、同協定は衛星の発達を記念して東京とワシントンで同時に署名が行われたため、同協定9条には「東京及びワシントン」と記述されている、というお話が印象的でした。

 今回の講演会の中で、国際社会は長い歴史の中で創り上げられており、今後どのような社会になっていくかは私たちの行動次第だということを改めて感じました。このような視点を大切にしながら国際法の学びをより一層深めていきたいと思います。

記:牛島 茜音(法学部国際関係法学科4年)