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変換サーバ独自で辞書引きとかな漢字変換を行うことができますから、辞書引き サーバ wnnds は必ずしも立ち上げる必要はありません。 |
辞書引きサーバ wnnds は、辞書ファイルと全ユーザの頻度ファイルを一括で管理し、複数の変換サーバから問い合せのあった文字列の辞書引き結果を、それぞれの変換サーバへ返します。
形式:
% /usr/local/bin/Wnn6/wnnds |
wnnds [-s file] [-A file] [-N no] [-pno portNo] [-S level] |
-s file |
wnnds のログファイルを保存します。 file には、ファイル名が入ります。 file に "-" を指定した場合は、標準エラー出力になります。 |
-A file |
wnnds のアクセス許可ファイルを指定します。 file には、ファイル名が入ります。 当オプションの省略時には、"/usr/local/lib/wnn6/wnnhosts"が適用されます。 |
アクセス許可ファイルの設定については、後述の 「3 アクセス許可ファイル」を参照してください。 |
-N no |
使用するポート番号を変更します。 no には、数値が入ります。 初期設定のポート番号に no を加えた値をポート番号に使用します。 |
-pno portNo |
初期設定のポート番号の代わりに、portNO を inet domain の
socket で接続を行う場合の tcp のポート番号として使用します。 portNo には、ポート番号が入ります。 |
ポート番号の指定については、後述の 「4.ポート番号の指定」を参照してください。 |
-S level |
前述のログファイル保存( -s オプション指定時)以上の
ログ強化機能で、syslog ファイルへレベル 1〜5 の設定に
したがってメッセージを保存します。 (-S オプション指定時の出力ファイルは、 syslog.conf における
設定で変更できます。)ログのレベルは以下のようになっています。
-S オプションにおけるレベルの指定方法は以下のようになります。
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形式:
% /usr/local/bin/Wnn6/jserver |
jserver の起動時のオプションには、以下のようなものがあります。
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-f file |
jserver 起動時の初期化ファイルを指定します。 file には、ファイル名が入ります。 当オプションの省略時には、"/usr/local/lib/wnn6/ja_JP/jserverrc" が適されます。 |
-s file |
jserver のログファイルを保存します。 file には、ファイル名が入ります。 file に "-" を指定した場合は、標準エラー出力になります。 |
-h file |
品詞データファイルを指定します。 file には、ファイル名が入ります。 当オプションの省略時には、"/usr/local/lib/wnn6/ja_JP/hinsi.data" が適用されます。 |
-A file |
jserver のアクセス許可ファイルを指定します。 file には、ファイル名が入ります。 当オプションの省略時には、"/usr/local/lib/wnn6/wnnhosts"が適用されます。 |
アクセス許可ファイルの設定については、後述の「3.アクセス許可ファイル」 を参照してください。 |
-N no |
使用するポート番号を変更します。 no には、数値が入ります。 初期設定のポート番号に no を加えた値をポート番号に使用します。 |
-pno portNo |
初期設定のポート番号の代わりに、portNO を inet domain の
socket で接続を行う場合の tcp のポート番号として使用します。 portNo には、ポート番号が入ります。 |
ポート番号の指定については、後述の 「4.ポート番号の指定」を参照してください。 |
hostname1(/portNO), hostname2(/portNO), hostname3(/portNO) |
hostname1〜3には、ホスト名が入ります。
portNO には、ポート番号が入ります。portNO は省略可能です。
portNO の初期設定値は、26208(0x6660) です。
hostname1 の指定から、順に接続を試みて、成功した段階でその
hostname にある wnnds を使用します。
+ds |
"-ds" オプションで指定された wnnds を使用しません。 |
"-ds" オプションで、jserver が接続する wnnds を指定しない場合、初期化ファイル jserverrc のエントリ "default_wnnds_list" の設定を採用します。 |
ライセンスサーバの取り扱いについては、6.「ライセンスサーバ」をご覧ください。 |
syslog.conf
における
設定で変更できます。)
値 | syslogd のレベル | 意味 | ログ内容の概略 |
1 | LOG_ERR | エラー | 致命的なエラー。システムが終了する状態。 |
2 | LOG_WARNING | ウォーニング | すぐに終了はしないが、最終的にはシステムが終了する状態。 |
3 | LOG_NOTICE | 処理した方がよい状態 | システムは続行できるがエラーが検出された状態。 |
4 | LOG_INFO | インフォメーション |
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5 | LOG_DEBUG | デバッグ用メッセージ | 変換した文字とその結果。 使用されたプロトコル情報。 |
-S オプションにおけるレベルの指定方法は以下のようになります。
例 | 指定内容 |
-S 1 | レベル 1 のログ出力 |
-S 1,2 | レベル 1 と 2 のログ出力 |
-S 1-4 | レベル 1 から 4(1,2,3,4) のログ出力 |
-S(レベル省略時) | レベル 4 のログ出力 |
形式:
wnnds(または jserver) [-A file] |
アクセス許可ファイルの書式は、次のようになっています。
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上記で、〈アクセスデータ〉の書式には、以下のいずれかを記述します。
ただし、wnnds については、ホストのみがアクセス許可対象となります。
jserver | : ホスト名・ユーザ名によるアクセス許可対象の指定を行います。 |
wnnds | : ホスト名でのみアクセス許可対象の指定を行います。 |
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アクセス許可ファイルの書式は、次のようになっています。
jserver ja_JP hostA { ;hostC:usr1,usr2,usr3 hostA:usr1,usr4 hostB hostC:usr5 @usrA ;@usrB } wnnds ja_JP hostA { hostA hostD } jserver ja_JP hostA/22273 { hostB hostE @usrA } wnnds ja_JP hostA/22385 { hostA hostD } |
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形式:
wnnds(または jserver) [-N no] [-pno portNO] |
また、上記のようにして jserver を起動した場合、クライアント側でのサーバの
% setenv JSERVER hostname/7000 (上記 2の場合) |
ご購入いただいた Wnn6 for Linux/BSD システムでは、日本語以外のサポートを行っておりません。したがって、日本語変換サーバ jserver との接続のみが有効になっています。 |
言語 | 変換サーバ名 | 環境設定ファイルが存在する場所 |
日本語 | jserver | /usr/local/lib/wnn6/ja_JP/* |
中国語 (簡体字) |
cserver | /usr/local/lib/wnn6/zh_CN/* |
韓国語 | kserver | /usr/local/lib/wnn6/ko_KR/* |
中国語 (繁体字) |
tserver | /usr/local/lib/wnn6/zh_TW/* |
また、クライアント側から変換サーバのホストマシンを指定することができますが、これには、下記の環境変数を使用します。
変換サーバ | 環境変数名 |
jserver cserver kserver tserver | JSERVER CSERVER KSERVER TSERVER |
% setenv JSERVER host_A … host_A で起動している jserver を使用します。 |
serverdefs ファイルにより、ライブラリと変換サーバの接続環境を設定します。
形式:
/usr/local/lib/wnn6/serverdefs |
serverdefs ファイルは、以下のような書式で作成します。
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各項目の間には [SPACE] または [TAB] を入力して、区切ります。
";" で始まる行はコメントと解釈され、実行されません。
serverdefs ファイルでは、必ず、「言語名」「サーバのホスト名」「UNIX_DOMAIN のソケット名」「サービス名」「ポート番号」「環境変数」の項目順で指定します。
項 目 | 内 容 |
言語名 | Wnn6のライブラリにある言語 <language>名と一致する行の変換サーバと接続します ライブラリで言語名として、NULL がセットされている場合、言語名 ja_JP の行が採用されます。 |
サーバのホスト名 | 変換サーバのホスト名を指定します。 Wnn6のライブラリでホスト名が NULL の場合、ここで指定されたホストのサーバに接続を行います。 接続に失敗した場合や、ホスト名に NULL を指定した場合、unix domain の socket で接続を行います。 |
UNIX_DOMAIN のソケット名 | unix domain の socket で接続を行う場合の socket の終端を指定します。 "/tmp/*_sockV6" が適応します。 |
サービス名 | inet domain の socket で接続を行う場合の tcp のサービス名を指定します。 "wnn6*" が適応します。 |
ポート番号 | inet domain の socket で接続を行う場合の tcp のポート番号を指定します。 上記のサービス名が検索されなかった場合、このポート番号のものが使用されます。 ポート番号の指定は省略することができます。 |
環境変数名 | 「言語名」で指定された言語環境で使用される変換サーバのホスト名が設定されている環境変数名を指定します。 |
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/usr/local/lib/wnn6/ja_JP/jserverrc |
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エントリ名 | 機能/設定方法 |
readfile | jserver が起動時に読み込む辞書ファイル名を指定します。 ここで指定された辞書は、プロセスが終了するまで jserverが 持ち続けます。これにより、各クライアントが、逐次、辞書 を読み込む手間をなくします。 |
readfile dictionary-filename | |
max_client | 接続できるクライアントの最大数を指定します。 省略時には、32 がセットされています。 |
max_client number | |
max_sticky_env | 固定化する環境の最大数を指定します。 初回の起動時の環境を終了後でも記憶していて、 次回からの環境設定を省き、立ち上がりを速くします。 省略時には、10 がセットされています。 |
max_sticky_env number | |
jserver_dir | jserver が、辞書管理するディレクトリパス名を指定します。 ユーザの頻度ファイルとユーザ辞書が、指定されたディレクトリ下で 管理されます。 省略時には、"/usr/local/lib/wnn6/ja_JP/dic/" が設定され ています。 |
jserver_dir path |
エントリ名 | 機能/設定方法 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
def_param | かな漢字変換の変換パラメータ値および疑似品詞の頻度を設定 します。以下の 0 から 16 までのアイテム順にしたがって、 整数値を入力します。
省略時(初期設定)には、( ) 内の値がセットされています。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
def_param num0 num1 num2 num3 num4 num5 num6 num7 num8 num9 num10 num11 num12 num13 num14 num15 num16 |
エントリ名 | 機能/設定方法 |
max_param | かな漢字変換の変換パラメータ値および疑似品詞の頻度の上限 値を設定します。 アイテムの内容、順序は "def_param" と同じです。 上限値が2回以上セットされた場合、最後にセットされた値が 有効になります。 |
max_param num0 num1 num2 num3 num4 num5 num6 num7 num8 num9 num10 num11 num12 num13 num14 num15 num16 |
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min_param | かな漢字変換の変換パラメータ値および疑似品詞の頻度の下限 値を設定します。 アイテムの内容、順序は、"def_param" と同じです。 下限値が2回以上セットされた場合、最後にセットされた値が 有効になります。 |
min_param num0 num1 num2 num3 num4 num5 num6 num7 num8 num9 num10 num11 num12 num13 num14 num15 num16 |
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set_giji_eisuu | 指定した文字コードが、英数字に加えて疑似品詞「英数」として、 疑似文節の変換に使用できます。 |
set_giji_eisuu code code code code code ‥‥‥‥ |
"set_giji_eisuu" の文字コードの指定では、16 進数、10 進数、8 進数での表記ができます。 例: CTRL_A ⇒ ^A SPACE ⇒ 0x20, \x20, 32, 040, \o40 |
エントリ名 | 機能/設定方法 |
default_wnnds_list | jserver 起動時に、[-ds][+ds] オプションで、使用する wnnds のホスト名とポート番号が指定されない場合、ここで 設定されるリストのホスト名とポート番号が採用されます。 ポート番号には、inet domain の socket で接続を行う場合の tcp のポート番号を指定します。 ポート番号の省略時には、初期設定値 26208 が設定されます リストには、wnnds を3つまで指定できます。 1つめから順に wnnds のホスト(ポート番号)と接続を試み て成功した段階で、その wnnds を使用します。 |
default_wnnds_list wnnds1/26208 wnnds2 wnnds3/26209 |
初期化ファイル jserverrc の記述例を以下に示します。
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@LIBDIR は、ディレクトリパス名 "/usr/local/lib/wnn6" に展開されます。
@LANG は、環境変数 LANG の値(ただし、"." 以降の値は除きます)を指します。
環境変数 LANG には "ja_JP" を設定します。
形式:
% /usr/local/bin/Wnn6/wnnstat |
wnnstat のオプションには、次のようなものがあります。
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-w | ユーザ名、(使用)ホスト名、ソケット番号、環境番号を表示します。 |
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-e | 環境番号、環境名、参照数を表示します。 |
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-E | 環境番号、環境名、参照数、付属語、辞書数(辞書番号)、ファイル名を表示します。 |
% wnnstat -E Env No. 環境名 参照数 付属語 辞書数(辞書No.) ファイル 1 usrB 1 11 10(22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 ) 1 |
-f -F | fid、種類、場所、参照数、ファイル名を表示します。 |
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-d | 辞書番号、種類、ニックネーム、body、ファイル名を表示します。 |
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-D |
辞書番号、種類、語数、更新の不可、頻度ファイル更新の不可、使用の不可、プライオリティ、ニックネーム、body、ファイル名、頻度:頻度ファイル名、パスワード(頻度)を表示します。 |
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-J |
JIS コードで出力します。 |
-U |
EUC コードで出力します。 |
-S |
SJIS コードで出力します。 |
-L LANG |
LANG に指定した言語名のサーバの使用状況を示します。 ユーザ名、(使用)ホスト名、ソケット番号、環境番号を表示します。 |
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形式:
% /usr/local/bin/Wnn6/wnnkill [-J][-U][-S][hostname] |
-J |
実行時のメッセージを JIS コードで出力します。 |
-U |
実行時のメッセージを EUC コードで出力します。 |
-S |
実行時のメッセージを SJIS コードで出力します。 |
wnnds、jserver の起動時のオプションでは、アクセス許可ファイルを指定して、アクセスコントロールを行いますが、wnnaccess では、現在のアクセス許可状態の通知/変更を行うことができます。 |
形式:
% /usr/local/bin/Wnn6/wnnaccess |
上記のように入力すると、現在のアクセスコントロールの情報を表示します。
先頭行は、アクセスコントロールの ON / OFF の状態を示します。
次行以下は、アクセス許可が与えられているホストとユーザ名で、表示形式、意味は次の通りです。
hostname hostname: hostname: usr1, usr2, … @usr |
hostname | → | hostname にあるホストからは、すべてのユーザでアクセス可能です。 |
hostname: | → | hostname にあるホストからは、すべてのユーザでアクセスが不可能です。 |
hostname:usr1,usr2, … | → | hostname にあるホストからは、usr1 usr2 … のユーザでアクセス可能です。 |
@usr | → | usr にあるユーザは、すべてのホストからのアクセスが可能です。 |
このアクセス状態表示の形式は、後述の wnnaccess のオプション [{+/-}] によるアクセス許可の追加、削除の指定時に使用されます。 |
wnnaccess のオプションには、次のようなものがあります。
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-D サーバ名 |
変換サーバ名を指定します。 省略時(初期設定)は、serverdefs ファイルによる設定に準じます。 |
-L 言語名 |
言語名を指定します。 省略時(初期設定)は、環境変数 LANG の設定に準じます。 この言語名の指定により、serverdefs ファイルで接続する変換サーバ名が決定します。 |
- {ホスト名/ユーザ名} |
ホスト名、ユーザ名が指定されない場合は、アクセスコントロールをON します。 "-" に続いて、ホスト名、ユーザ名を指定した場合、現在のアクセスコントロールから、その登録を削除します。 ホスト名、ユーザ名を指定する形式は、オプション指定なしで起動した際のアクセス許可情報の表示におけるものと同じです。 |
% wnnaccess - hostA:usr1,usr2,usr3,usr4 上記のように起動した場合、hostA からアクセス可能であった usr1 usr2 usr3 usr4 のアクセス許可を削除します。 |
+ {ホスト名/ユーザ名} |
ホスト名、ユーザ名が指定されない場合は、アクセスコントロールをOFF します。 これにより、サーバへの接続は制限されなくなります。 "+" に続いて、ホスト名、ユーザ名を指定した場合、現在のアクセスコントロールに、その登録を追加します。 ホスト名、ユーザ名を指定する形式は、オプション指定なしで起動した際のアクセス許可情報の表示におけるものと同じです。 また、"+" を省略することもできます。 |
% wnnaccess + @usr5 上記のように起動した場合、usr5 からはすべてのホストからのアクセスが可能になります。 |
親プロセスは必ず、子プロセスを生成します。このことにより、サーバの起動中に発生する、再起動を必要とするような事態に対して、現在の子プロセスの処理(kill)を行うと、親プロセスが自動的に新しい子プロセスを生成し、サーバ自体の再起動を実行できるようになっています。
jserver / wnnds のプロセスを終了させるには、親プロセスを kill します。
jserver / wnnds の子プロセスを kill しただけでは、親プロセスが自動的にあらたな子プロセスを生成して、引き続きサーバ機能が動作し続けることになります。
jserver については wnnkill コマンドを使って終了させるのが一般的です。