接客でみる国柄

メンバー紹介

  • 安達奈々

    フランス語専攻2年
    海外の映画を鑑賞することが好きです。

  • 長田三奈

    フランス語専攻2年
    タピオカが好きです。

テーマ・下調べ・仮説

テーマ
接客の差はどこから生まれるのか?
初めて海外旅行で日本との接客の違いに驚き、また、その差はその国の歴史や国民性からくるものではないかと考えたから。
下調べ
〇日本の企業理念
 日本の企業が共通して重きを置いているものは、“社会への貢献”と“お客様の笑顔”である。
例えば、トヨタ自動車の企業理念は「笑顔のために。期待を超えて。」である。
これは期待を常に超えることで、お客様そして地域の笑顔と幸せにつながるという精神からくるものだ。
また、ANAでは企業理念の中に、「お客様の満足度を高め、ひとつでも多くの笑顔を生み出し、~」という言葉がある。
他にもJALや三菱自動車。ソフトバンクなど大手企業の経営理念やヴィジョンをみたが、どれも客をもてなすことをとても重要視していることが読み取れた。
〇フランスの企業理念
 フランスの企業に共通して見られたのは、“世界の先頭に立つこと”や“モードとの融合”など常に変化を求めることであるように感じた。
もちろん客に快適に過ごしてもらうことや、安心できるサービスなども見られたが、二の次であるように感じられた。
〇日本とフランスの仕事内容に対する認識の違い
 フランスでは役割が分けられているため、仕事内容が明確である。
対して、日本では給料に対しての仕事内容がアバウトなため、客に愛想よく接することも仕事の一つのように捉えられている。
仮説
・上記の統計によると日本の高校生は70%がまだ職業を選んでない。 対してフランスではほぼ半分の高校生が専門(職業)学校に通っている(43%)。
・日本では会社の利益、フランスでは顧客の満足度と、それぞれの国の企業が最重要視するものは違うのではないか。
・客を神様のようにもてなす日本と客から挨拶して入店するフランスでは、接客を受ける側の客の態度、意識にも違いが表れるのではないか。
・「お客様は神様」ということわざがある日本と、しっかり職業教育を準備するフランスでは接客に大きな違いがあるはずだ。

調査方法

調査日:9月3日~9月20日
場所 :リヨン/新市街にあるお店
対象者:新市街で働く人々、買い物をする人々、計30名
方式 :アンケート・インタビュー

調査日:9月24日~10月1日
場所 : 西南学院大学生・バイト先
対象者: 西南学院大学生・職場の上司、計30名
方式 :アンケート

質問

〔店員側〕
1.いつ頃その仕事に就こうと決めましたか。
2.その仕事に就くために勉強はしましたか。
3.インターシップや使用期間はありましたか。
4.あなたの見解では、自国の会社は客の満足度よりも企業の利益優先だと思いますか。
5.あなたは会社でどのような立場を持っていますか。

  〔客側〕
1.ショッピングをするとき、店員と話しますか。
2.店員と個人的な話をしますか。
3.買いたいものが明確に決まっているとき、店員に頼ることが多いですか。
4.店員と話すことは面倒だと思いますか。

調査結果

〔店員〕
1.


日本では、高校時代や中学時代に将来どの職業に就くか考えない。 フランスでは、高校時代や中学時代から将来設計を明確に持っているようだ。将来のことについて考え始める時期に明らかに差がある。
・就職先、またはバイト先を決めた時期…
     日本:大学時代 または その他 (大学卒業後、転職)
  フランス:分散している


2.


日本では、事前に職業についての情報収集をしていない人が多数である。フランスでは、事前に調査している人が多数である。 仕事に対して、認識に大きな差があることが分かる。
・就職前の勉強…
  日本:ほとんどの人がしていない   フランス:している人が多い
  日本:なし(今回のアンケート結果に限る)  フランス:ほぼある


3.


日本では、インターシップがあったと答えた人はいなかった。 逆にフランスでは、大半の人がはいと答えた。このことから、雇用前の制度に大きな違いがあることが分かる。
・インターシップの使用期間…
 日本:なし(今回のアンケート結果に限る)  フランス:ほぼある


4.


日本では、会社の利益と答えた人はいなかった。 フランスでは、回答は半々に分かれた。
・自国の企業理念…
  日本:客の満足度 (会社の利益と答えた人なし)
    フランス:客の満足度、会社の利益に半々に分かれた


5.


これは立場を知るための質問である。
日本:店員5名、経営者側3名
フランス;店員3名、経営者側6名


〔客側〕
1.


日本は、回答は全体的に分散しているが、会話に消極的な傾向が見える。 フランスは、店員とよく話す人が多く、会話に積極的な傾向が見られる。 これはお互いの国の文化の違いの表れだと思う。


2.


日本では、店員と個人的な話をしない人の方が多い。一方でフランスでは、個人的な話をする人の方が多い。日本とフランスでは、店員と客の関係が違うことを表している。


3.


この質問に対する回答は、意外にもあまり差が出なかった。この結果から、日本人は店員と無目的に関わることは嫌がるが、目的があれば頼ることをいとわないことが分かる。


4.


日本では、この質問に答えた大半の人が店員との会話を面倒であると回答した。 フランスでは、店員との会話を面倒と答える人はあまりいないようだった。 この結果から、日本とフランスでは、店員との関係性に明らかな差があることが分かる。

考察

両国には接客について大きな違いがあることがわかった。店員にした質問結果はフランス人は日本人より早い時期に職業を決定している。彼らは現在の職に就くために勉強をし研修を受けている。対して日本人はいかなる勉強もしていないし研修もしていない。 この違いは文化の違いから説明できる。日本では「お客様は神さまだ」とよく言われるように、店員は客を丁寧に迎える。
そして多くの人は客は丁寧に扱われるために金を払っていると考えている。それらは客へなされた2番3番4番の質問からわかる。
日本人は店員と話すのを嫌い、店員ををうるさいと思う。 これに対して、フランスでは、客と店員は平等だと思う。特に店に入る客の態度はこの国の文化の象徴だ。店に入り店員に挨拶する客は店員とコミュニケーションを取り始める。 しかし質問3の結果により、日本の客はフランスの客より店員にアドバイスを多く求めている。 フランスの客は日本の客より店員に頼っていないのだ。

結論

・フランス人は中等教育時代から就職の準備をしているが、日本人は高等教育時代にしか考えないと判明した。最初に述べたように将来の職業を考える時期は日本においてよりフランスにおいての方が早い。 ・また、その仕事に就くための事前勉強についても、日本では大半がしていないのに対して、フランスではしている割合が高かった。
日本とフランスでは、仕事の文化はとても異なっている。
・仮説とは違い、日本では顧客の満足度が最も重要だという声が多く、フランスでは顧客の満足度と会社の利益の半々の回答になった。
・日本では明らかに店員との会話に消極的な傾向が見られ、反対にフランスでは店員と話すことにあまり抵抗感がないという仮説通りの結果になった。日本では“お客様は神様”という言葉が一般的に広まるくらい、客は店員より目上とされる。一方でフランスは客から挨拶して入店し、店員とは個人的な話までするほど客と店員がフランクな関係であることが分かる。そのため、客と店員の立場が対等か、そうでないかという点において差が表れた。

Bonjour, je me présente Laurence Nombrat, je suis donc la propriétaire de la boutique « Aux plumes ». Je suis ravie de vous accueillir dans cette boutique. Nous vous proposons des produits éco-responsable. Ça veut dire des produits issus du recyclage ou de matière naturelle. Donc venez nous rencontrer, nous serons heureuses avec ma sœur de vous servir.
こんにちは、ロランス・ノンブラです。この店『オ・プリュム』のオーナーです。このお 店にあなた方に来ていただいて大変嬉しいです。私たちは「環境にやさしい」製品を提案 しています。つまりリサイクル品とか自然素材を使ったものとかです。皆さんどうぞいら してください。姉と一緒にお迎えしますよ。
linternaute.fr のサイトによると、Écoresponsable (éco-responsable)というのは、 最大限に自然と環境を尊重しようすること、と定義されています。たとえば次のような使 い方をします。「環境にやさしい家を建てる」。英語ではエコ・フレンドリーといいます 。
D’après la définition du site linternaute.fr (=CCM Benchmark Group (groupe Le Figaro) Écoresponsable (adj.) Qui s'efforce de respecter la nature et l'environnement au maximum. Exemple : Je fais construire un habitat écoresponsable. Traduction anglais : eco-friendly
日本語では「環境にやさしい」と訳されると思います。

参考文献

・フランス人と日本人 足して割ったくらいがちょうどいい/近藤忠彦/創映社/2015年10月15日
・不思議フランス 疑惑の謎/春風社/藤野敦子/2014年4月2日
・最新フランスハンドブック/フランス外務省・欧州問題省/原書房/2010年11月20日
・アクサ:https://entreprise.axa.fr/protection-activite/multirisque-entreprise.html, 2019.11.15アクセス
・プジョ―:https://www.peugeot.co.jp/brand-and-technology/concept- cars.html、2019.11.15アクセス
・ソニー:https://matome.naver.jp/odai/2133077996510712701、2019.11.15アクセス
・トヨタ:https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/guiding-principles/、2019.11.15アクセス
・パナソニック:https://www.panasonic.com/jp/corporate/management/philosophy.html、2019.11.15アクセス
・セブン・イレブン:https://www.sej.co.jp/company/principle.html、2019.11.15アクセス
・企業理念の一覧:https://dyzo.consulting/2285/、2019.11.15アクセス
・フランスの高校:普通科53% (1513校)、職業科47% (合計1322校)(wikipediaの注によると統計はフランス政府の調査に基づいている)(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%BB)2020.1.15, アクセス
・日本の高校:普通科70%、職業科30%(文科省の統計調査による)
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/__icsFiles/afieldfile/2011/12/15/1313846_02.pdf、2020.1.15, アクセス

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アンスティチュフランセのコメント

これは当然ですが、真剣な研究です。問題提起は確実に述べられ、計画は明確であり、質問は適切に選択されています。結論は興味深く、最初の問題提起に関連づけられています。
しかし、仮説や解説を支持するための例や具体的な事実が欠けています。そのため、いくつかの例を追加する必要があります。
各グラフについてコメントする必要があります。短い文章であっても全体的な理解が向上するからです。
このままでは理解が困難、または理解ができないフランス語の文章です。全体の理解ができません。
全体の印象:調査作業と分析作業はよくやれているが、不可解または困難なフランス語の文章によって理解ができないです。

反省と感謝

私たちのグループは、調査方法がアンケートで現地の方に聞きやすい手段だったにも関わらず、あまり多数の人に聞くことができませんでした。
実際にフランスに行って自分のフランス語の発音が現地では全然通じないことを痛感し、フランス語の授業をもっと真面目に受けようと思いました。
そして、先生方からのフランス語の発音や文法の指導のおかげで現地でのアンケートがスムーズに行うことができ、
楽しくコミュニケーションをとることができました。
そして、店に入るときの挨拶やチップの置き方など現地でのマナーを丁寧に教わり、恥のない行動をとれたと思います。本当にありがとうございました。
長田三奈

p.communicomに参加させて頂いたことで、自分たちの中の疑問を追及することの楽しさ、難しさを知ることができました。
本やインターネットで十分下調べをして渡仏したつもりでしたが、やはり現地に行くと新たな発見が多く、学ぶところが多かったです。
また、帰国した後自分たちの下調べの甘さを実感しました。もっと深くテーマを掘っていれば、別の角度からの質問ができたのではないか、もっと面白い発見につながったのではないかと思うことが多々ありました。
下調べあってこその新たな発見であり、下調べの重要性を見直す機会でもありました。
渡航前は、フランスへの飛行機の手配から宿の予約、またクレジットカードの申請など必要なことにただ追われているだけで、フランスに行くという実感はなかなか湧きませんでした。
何もかもが初めての体験で、親も先生もいない海外での生活で不安なこともたくさんありましたが、
それを乗り越えたことで、たいていのことは自分たちで解決できる、やり過ごせるという自信にもつながりました。
このような素晴らしい経験は、p.communicomのおかげであり、また研究テーマ以上にたくさんのことを学ぶ機会をくださったことにとても感謝しています。
また、ホームページを作成していく中で、アンスティチュの先生方、サポーターその他の方々には大変お世話になりました。
自分たちにはない視点からアドバイスを頂いたことで、テーマをより深く追及することができました。
また、未熟なフランス語を丁寧に解読し、訂正して頂くなど、本当に恵まれた環境であることを何度も実感させられました。
本当に感謝しています。ありがとうございました。
安達奈々

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