Wnn6 のクライアント

1.Wnn6 対応のクライアント

xwnmo 以外の Wnn6 対応のクライアントとして Mule 2.2.2 と Mule 2.3 、および kinput2 version3.0 のセットアップについて以下にまとめています。（注）

（注）

"$HOME/.eggrc" で jserver 側に存在しない辞書ファイルや付属語ファイルが指定されていると、jserver が正常に動作しなくなる場合がありますので、十分注意してください。

Mule 2.2.2

Mule 2.2.2 から Wnn6 for Linux/BSD 使用するためには Mule 2.2.2のソースにパッチを当て、再コンパイルする必要があります。 　弊社 Web サイト(http://www.omronsoft.co.jp/SP/pcunix/wnn/taiken.html)にある mule-2.2.2-wnn6.diff 　がそのパッチとなります。 　詳しくは、同じ場所に置かれている README.mule 　を参照してください。 　ただし、なるべく下記の Mule 2.3 をご使用になることを推奨します。

Mule 2.3

Mule 2.3 は標準で Wnn6 に対応しています。 　以下に、Mule 2.3 のソースを入手した段階からコンパイルまでのオペレーションを簡単に記述します。 　詳細は、Mule 2.3 に添付されている各種ドキュメントを参照してください。 Mule の configure 入手した Mule 2.3 のソースディレクトリ下の etc/MACHINES にしたがって configure します。 Wnn6 に対応させるために 必要なオプションは、次の通りです。 --wnn=yes --with-wnn6 --wnn-includes=<DIRECTORY>/include/wnn --wnn-libraries=<DIRECTORY>/lib/libwnn.a ※ <DIRECTORY> には、wnn のインクルードファイルとライブラリが 存在するディレクトリパス名が入ります。 （例） configure sparc-sun-sunos4.1.3 \ 　　--prefix=$PREFIX \ 　　--with-x11 \ 　　--with-x-toolkit \ 　　--wnn=yes \ 　　--with-wnn6 \ 　　--wnn-includes=/opt/wnn6/wnnsdk/sdk/include/wnn \ 　　--wnn-libraries=/opt/wnn6/wnnsdk/sdk/lib/libwnn.a make make を実行します。 問題なくコンパイルが終了すれば、make install を実行します。

kinput2 version3.0

kinput2 は version3.0 から Wnn6 対応となりました。 　以下に、kinput2 version3.0 のソースを入手した段階からコンパイルまでのオペレーションを簡単に記述します。 　詳細は、kinput2 に添付されている各種ドキュメントを参照してください。 Kinput2.conf の修正 入手した kinput2 version3.0 のソースディレクトリ下の Kinput2.conf を次のように修正します。 Wnn6 に対応させるために変更する箇所は、次の通りです。 /* #define UseWnn6 */ の /* と */ を削除して有効にします。 WNNSRC の内容を実際に Wnn6 のインクルードファイルとライブラリが存在するディレクトリパス名に変更します。 （例） /* #define UseWnn */ #define UseWnn6 /* #define UseCanna */ /* #define UseSj3 */ ： XCOMM use library in the source tree WNNSRC = /usr/local/src/contrib/im/Xsi/Wnn WNNINCDIR = $(WNNSRC)/include WNNLIB = $(WNNSRC)/jlib/libwnn.a ： コンパイル 以下の手順でコンパイルします。 xmkmf make Makefiles make depend make 問題なくコンパイルが終了すれば、make install を実行します。

2.Wnn4 対応のクライアント

Wnn4 の jserver と接続してかな漢字変換を行っていたクライアントを Wnn6 のクライアントとしても 利用される場合には、以下の解説を必ずお読みください。

2.1 互換性

Wnn6 の jserver は、基本的に Wnn4 の jserver と 互換性を維持しています。
したがって、Wnn4 対応のクライアントでは再コンパイルなどの修正を行わずに、 Wnn6 の jserver を 利用することができます。（注）

（注）

ただし、Wnn4 と Wnn6 では、デフォルトのシステム辞書が以下のように異なります。 Wnn4　:　pubdic Wnn6　:　岩波辞書（Wnn6 用） 　Wnn4 のクライアントから Wnn6 の jserver を使用する場合には、Wnn6 の辞書を使用するようにクライアントの設定を変更する必要があります。（この設定は、クライアントにより異なります。） 　Wnn4 の付属語ファイルを Wnn6 の jserver と接続した場合、「古いバージョンの付属語ファイルが設定されています」というメッセージが表示されて、jserver が正常に動作しなくなる場合があります。

2.2 Wnn6 使用にあたっての制限事項

Wnn6 には、文節間の接続状態をみて使用頻度の最も高い変換文字列を返す FI 変換機能と FI 変換機能で確定された結果を次回以降の変換に活かすように学習する FI 学習機能があります。
Wnn6 のクライアント（「1.Wnn6 対応のクライアント」にあった Mule 2.2.2 / Mule 2.3 および Wnn6 フルパッケージに含まれているクライアント アプリケーションや dp/NOTE シリーズなど）による Wnn6 の jserver 使用 時には、FI 変換機能と FI 学習機能が働いて、高い変換効率を維持しますが、 Wnn4 のクライアントから Wnn6 の jserver を使用する場合には、FI 学習機能 が働かず、学習効果が上がりません。
また、Wnn6 には FI 学習機能以外にも文節切り自動学習・無変換学習・送りが な基準学習・接頭語学習・接尾語学習などの変換効率を高めるために細やかに対応さ れている各種学習機能もありますが、Wnn4 のクライアントからの使用時には、 FI 学習機能と同様にこれらの学習機能も働かなくなります。

（参）

Wnn6 の変換・学習機能については「概説/Wnn6 の特長」を参照してください。

以降の解説では、Wnn4 のクライアントとして kinput2 と Nemacs を 使用する場合の設定内容について説明しています。

2.3 kinput2

kinput2 から Wnn6 の jserver を利用する場合に必要な設定内容は次の通りです。（注）
大別して「システムレベルで設定する方法」と「ユーザレベルで設定する方法」の 2 通りがあります。

（注）

以下で説明する内容は、kinput2 version 1.0 fix6 を対象にしています。これ以外の kinput2 では、一部設定が異なる可能性があります。 必ず、kinput2 のマニュアルなどで以下の設定内容をご確認ください。

(1)システムレベルで設定する方法

wnnenvrc ファイルを操作しますが、それには以下の 2 通りの方法があります。 いずれか 1 つの方法で設定を行ってください。
1. wnnenvrc ファイルを Wnn6 用に変更する
   kinput2 が使用する辞書は、 "/usr/local/lib/wnn/ja_JP/wnnenvrc" で設定しています。したがって、Wnn6 の wnnenvrc ファイルを このパス名で参照するように設定します。（注）

   （例）

   ・複写する # cp /usr/local/lib/wnn6/ja_JP/wnnenvrc /usr/local/lib/wnn/ja_JP ・リンクを張る # ln -s /usr/local/lib/wnn6/ja_JP/wnnenvrc /usr/local/lib/wnn/ja_JP ※なお、"/usr/local/lib/wnn/ja_JP" が存在しない場合は、あらかじめ作成しておきます。

   （注）

   上記の方法では、Wnn4 の環境を書き換えてしまうため、Wnn4 の環境との共存ができません。

2. リソースファイルで wnnenvrc ファイルを指定する
   kinput2 が使用する wnnenvrc ファイルをリソースファイルで 設定します。（注）

   （例）

   "/usr/lib/X11/app-defaults/Kinput2" に以下の記述を追加します。 　　Kinput2*wnnEnvrc: /usr/local/lib/wnn6/ja_JP/wnnenvrc

   （注）

   上記の方法では、kinput2 のデフォルトの環境を変更するため、Wnn4 の jserver を利用する場合に、ユーザレベルでの設定の変更が必要になります。

(2)ユーザレベルで設定する方法

kinput2 が使用する wnnenvrc ファイルに Wnn6 の wnnenvrc ファイルを指定します。

（例）

環境変数 WNNENVRC に Wnn6 の wnnenvrc を指定して、kinput2 を起動します。 　　% setenv WNNENVRC /usr/local/lib/wnn6/ja_JP/wnnenvrc

2.4 Nemacs 3.3.2

Nemacs 3.3.2 から Wnn6 の jserver を利用する場合に 必要な設定内容は次の通りです。（注）
大別して「システムレベルで設定する方法」と 「ユーザレベルで設定する方法」の 2 通りがあります。

（注）

"$HOME/.eggrc" で jserver 側に存在しない辞書ファイルや付属語ファイルが指定されていると、jserver が正常に動作しなくなる場合がありますので、十分注意してください。 以下で説明する内容は、Nemacs 3.3.2 に対してのみ記述しています。それ以外のバージョンでは、一部設定が異なる可能性があります。

（参）

くわしくは、Nemacs のマニュアルでご確認ください。

(1)システムレベルで設定する方法

Nemacs が使用する辞書は、 "/usr/local/emacs/lisp/eggrc-v4" で設定しています。 したがって、このファイルを修正して Wnn6 の辞書を使用するように設定します。（注）

　　


以下の記述通りに eggrc-v4 ファイルを修正します。 　(set-default-sys-dic-directory "/usr/local/lib/wnn6/ja_JP/dic/iwanami/") 　(set-default-usr-dic-directory "/usr/local/lib/wnn6/ja_JP/dic/usr/$USER/") 　(setsysdic "kihon.dic"　　"kihon.h" 5　t) 　(setsysdic "symbol.dic"　 "symbol.h" 3　t) 　(setsysdic "tankan.dic"　 "tankan.h" 3　t) 　(setsysdic "tankan2.dic"　 "tankan2.h" 3　t) 　(setusrdic "ud" 5 t)


　　


（注）

上記の方法では、Nemacs の環境を書き換えてしまうため、以後 Wnn4 の jserver と接続できなくなります。

(2)ユーザレベルで設定する方法

上記の「(1)システムレベルで設定する方法」で修正した eggrc-v4 ファイルをユーザのホームディレクトリ下に .eggrc として置きます。

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