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Week 3

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さて,前回の復習用ノートで,国民経済計算の内容を細かく見ていく意義につ いて少し述べた.ここでもう一つの意義を挙げておこう. もう一つの意義は,様々な統計区分を,もっと大まかな分類に直して理解する ことにより,経済の動きが理論的に見えてくることにある.例えば,細かな統 計区分とは,民間住宅投資や公的資本形成などである.これらの言葉に出会っ たとき,大まかに言ってそれらが投資に属し,それが三面等価の原則にお ける支出面に属しているといったことが読み取れるようになると, これから第4週目以降に学ぶ理論を用いて,景気がどちらの方向に進んでいく のかが見えてくる.

実際,民間住宅投資などのこうした細かな用語は,新聞に頻繁に顔を出す.そ こでは,「民間住宅投資が回復してきているので,景気回復の兆しが見てきた」 などと書かれている.こうした細かな項目が,三面等価の原則のどこに位置し ているかを読み取れれば,なぜ,景気回復の兆しになるのかも理解出来るよう になる.

特に,これから学部で学んでいくマクロ経済理論では, 三面等価の原則の理解が欠かせない. もう一度,ノートを復習し,なぜ,C+I+G+X-Mが支出面を表わし,C+S+Tが分配 面を表わしているのかを理解し,それぞれの側面が,細かな統計の構成内容と, 大体どのように対応しているのかを理解しておかなければならない.

第4週目からは,この三面等価の原則が頻出する.そこでは,皆さんが理解し ていることを前提に講義を進めるので,今のうちによく復習しておくこと.

三面等価の原則で注意しなければいけないのは,三面等価の原則は恒等式で成 り立つという点である.したがって,三面等価の原則から導出される, 「貯蓄・投資バランス」をもって,日本の経常収支と内需の関係 を論じるのは性格ではない.恒等式と等式については,subsectionでもう少し 説明してある.



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