長くて短い4年間の学生生活。
その先には、自分だけの新たな道が続いています。
数え切れないほどの選択肢がある中で、何をきっかけに、どのタイミングで、
自分の「道」を決めていくのでしょうか。
今回は、4人の学生が決断した「私の生きる道」にクローズアップ。
彼らの選択が、あなたのこれからを考えるヒントになるかもしれません。

夢の原点は、熊本地震で味わった野球ができる喜び。

　兄の影響で、小学生の頃から男子に混ざり、野球に熱中する日々を送っていました。そんな日常が一変したのは、中学１年生の時。熊本地震の影響で、部活動ができなくなってしまったのです。大好きな野球ができないもどかしさの中で痛感したのは、野球ができることが決して当たり前ではないということでした。
　そんな中、MLBJapanが運営に関わる復興支援の野球プロジェクトに参加する機会がありました。熊本と東北の被災地から中学生の野球チームが招かれ、野球を通じて交流し、互いの思いを語り合う機会が設けられました。その中で私は、「野球ができることへの感謝を胸に、立ち上がろう」と伝え、互いに前を向いて進むことを誓い合いました。この時、野球はただのスポーツではなく、人と人をつなぎ、明日を生きる“希望”なのだと実感したのです。「野球を仕事にしたい」。そう思った私は、MLBの方に拙い英語でその思いを伝えました。すると、「大学生になったら、インターンにおいで」と返してくれたのです。この瞬間、私は野球で生きていこうと、心に決めました。

目標達成の手段は1つではない。高校時代の挫折が視野を広げるきっかけに。

　目標が定まってからは、「どうすれば野球に関わる仕事に就けるのか」を常に考え、行動に移していきました。しかし一度だけ、夢を諦めそうになったことがあります。高校時代、女子選手として高校野球の試合に出場することができなかったのです。「野球の面白さを届けるには、自分が楽しむことが大切」と信じていた私にとって、試合に出場できない現実に楽しさを見出せずにいました。そこで、この状況を変えるため、私はプレー以外の形でチームに貢献することを決意。データ分析に取り組み、戦略に役立てることでチームを支えました。その結果、最後の夏の県大会では初の準優勝を達成でき、目的をかなえる手段は自分次第でいくらでも広げられることを学びました。
　この経験から、大学では硬式野球部のクリエイティブチームに所属。プレー以外で野球部のために何ができるかを自ら考え、挑戦したいと思ったことが理由です。野球未経験の小学生を対象にした野球教室「西南初球部」を企画したのもその一環です。先輩たちがやってきたことを踏襲するのではなく、自分にしかできないことに挑戦する。面白いと思ったら、まずやってみる。その積み重ねが、「熱意を行動で示す」という私の強みを育て、人生の目標をかなえる一歩となる就職活動でも存分に生かされたと思います。
　卒業後はテレビ局に入社し、スポーツ番組の制作を担当します。野球が復活する2028年のロサンゼルスオリンピックやWBCなど大舞台が待っています。野球の素晴らしさを子どもから大人まで多くの人に届けるという目標のために、「全力で行動する」という自分らしさを武器に挑戦あるのみです！

全日本大学野球選手権大会で
史上初のベスト8進出に貢献。

Message for you

私は中学１年生の時に夢を見つけることができました。でも、夢や目標を見つけるタイミングは人それぞれです。夢がある人と比べて、「自分には夢がない」と焦る必要はありません。あなたの人生の主人公はあなたです。迷ったら、ワクワクする方へ思い切って進みましょう。人生はやったもん勝ちです！
他者の言葉を語る通訳から外交の実務家へ目標を変更。

　私の夢は、外交官または国連職員として、外交の分野で人々の役に立つことです。この夢を志すようになったのは、大学3年次の時です。元々、外交官の通訳を担う通訳担当官に関心を持っていました。しかし、外国語学部の国内留学制度「FLS-Insight@TUFS ※2」の留学先である東京外国語大学で、ある教授から「もう1つ上の立場の外交官を目指してみては」という言葉をもらったことがきっかけで進路を変えることにしました。他者の言葉を伝える通訳ではなく、自ら政策を考え、語り、交渉する。誰かのために役に立ちたいとずっと思っていた私にとって、日本を代表して意見を述べることができる外交官や国際社会の課題に取り組む国連職員は、私の理想を実現できる仕事です。そして、グローバルな現場に立ったとき、何を感じ、自分がどう変化するのか。それを確かめたいという思いから、人生をかけてこの夢に挑戦することを決めました。

外交の知識を深めるため、「一番上」の大学院を目指す。

　外交の分野で活躍するという目標が定まった今、あとは実現に向けて努力するのみです。東京外国語大学での1年間は、国際政治学の理解を深めるために「国際法」を履修しました。法律に関する基礎知識がまったくない状態から、通常は法学部の学生が3年かけて学ぶ内容を1年で修了する大変なカリキュラムに挑戦。かつてない密度の濃い学びの日々を過ごしました。
　西南学院大学に戻ってからは、外国語学部に籍を置きつつ、法学部国際関係法学科の小寺智史教授のゼミに参加。国際法や国際政治への理解を深めています。こうした学びを重ねる中で、将来、外交の現場で活躍するために、より実践的な知識が必要だと強く感じるようになりました。その思いから、「大学院に進学して、社会課題を解決する知識と実践力を身に付けたい」という新たな目標が生まれました。私が進学先として志望しているのが、東京大学公共政策大学院です。ここでは、社会課題を社会でどう解決するかという観点から実践的な政策研究が行われており、まさに私が求めていた学びが実現できる環境です。もちろん、合格には相当の努力が必要です。それでも、どうせ目指すなら、「一番上」を目指したい。一番上だからこそ、本気で挑む価値がある。そう信じて、日々勉強に励んでいます。

逃げる言い訳を考えるより、挑戦できる幸せをかみしめる。

　現在は図書館に通い詰めの毎日です。孤独な戦いの中で成果が見えず、不安や焦りに押しつぶされそうになることもあります。それでも、「今、試されている」と言い聞かせ、自分を奮い立たせています。都合のいい言葉で言い訳を作って逃げることは簡単ですが、それでは自分らしさを失う気がするのです。だから逃げない。この挑戦ができることに、幸せを感じています。東京大学の大学院に進学し、外交の現場に立つ。これが、私の信じる進むべき道です。

※1 「FLS-Honors」とは、英語またはフランス語をコミュニケーションツールとして使いこなす能力の習得を目的とした、1年次後期に実施する外国語学部独自の本格的留学プログラム。
※2 「FLS-Insight＠TUFS」とは、外国語学の学びをさらに深化させることを目的とした、3年次以上の学生を対象とする、半期または1年間の、外国語学部独自の東京外国語大学への国内留学制度｡

東京外国語大学では、アルゼンチン
タンゴのサークルにも参加。

Message for you

「他人」ではなく、「自分」がどう思うかを大切にしてください。「無謀な夢だから」「あの人ほど優秀ではないから」という理由で諦めたとき、本当に納得できますか？目標を決めるのも、諦めるのも自分自身です。そして、目標を決めたなら人に言ってみましょう。そうすることで、自然と情報や応援してくれる人が集まってきます。
世界でプレーするかつての仲間の活躍が、自らの殻を破る力に。

　高校時代は、熊本県から静岡県の強豪校にサッカー留学し、サッカー漬けの毎日を送っていました。部員数が約260人という大所帯の中、全員が「全国大会優勝」という目標に向かって切磋琢磨する日々。当時は、その環境が当たり前だと思っていました。しかし、大学入学後はサッカーと離れ、大きな目標もなく、何となく学生生活を送っていました。
　転機が訪れたのは大学3年生の時。「このままでは、なりたい自分になれない」という将来への不安から、就職課主催の「就活ゼミナール」に参加。そこで初めて自分の価値観や過去の経験、将来と真剣に向き合うようになったのです。振り返れば、自分が最も成長できたのは高校時代でした。苦しい時を乗り越えられたのも、常に上を目指す仲間の存在があったから。そして、共に切磋琢磨した仲間は今、プロサッカー選手として活躍し、日の丸を背負ってピッチに立っています。その姿を目にした時、私は大きな刺激を受けました。「影響を受けるだけではなく、自分も誰かに良い影響を与えられる存在になりたい」。この思いが私の目標になり、就職活動を全力で取り組む原動力となりました。就職活動では、思うようにいかず心が折れそうになったこともありましたが、この目標が支えになり、最後まで粘り強く取り組むことができました。
　卒業後は、「保険」という分野でお客さまが前向きな選択ができるように支えていきたいと考えています。私自身も成長を重ねながら、周囲に良い影響を与え、会社の発展を支える存在になることを目指します。

就職活動が本格的に始まった3月、
4月はエントリーシートの提出や
面接でスケジュールはびっしり！

Message for you

私は、部活動や留学など自分をアピールする活動は行っていません。それでも、アルバイトや勉強など目の前のことに一生懸命取り組んできました。その積み重ねが自分の力になったと実感しています。「何に挑戦したか」も大切ですが、「どれだけ本気になれたか」が自分をつくるのだと思います。
本気で目指す目標だからこそ、失敗も悔しさも成長の糧になる。

　小学校の教員を目指すきっかけは、小学5年生の時の担任との出会いです。当時、バスケットボール部でキャプテンを務めており、プレーやチームづくりについて悩んでいましたが、相談が苦手で悩みを1人で抱え込んでいました。そんな私にいち早く気付き、声をかけてくれたのが担任の先生でした。「挑戦することに意味がある」「続けていけば、必ずできるようになる」。先生の励ましに勇気づけられた私は、プレーにも、キャプテンとしても自信を持って行動できるようになりました。この経験から、「先生」が私の夢となったのです。
　高校時代、ほかの職業を考えることもありましたが、「子どもが好き」という強い気持ちが、教員の道へ進む決め手となりました。
　大学入学後は、子どもと関わるボランティアに積極的に参加。自分の思いを表現することが難しい子どもに対して、丁寧にコミュニケーションを取り、寄り添うことを心掛けました。少しずつ自分の考えを話せるようになっていく姿に成長を感じるとともに、私自身も「子どもの目線で考える」とはどういうことかを学びながら、夢に向かって挑戦を続けていきました。
　そうした中、夢への思いをさらに強くしたのが、3年次の教育実習でした。学校を休みがちな児童に声を掛け続け、最終日に「井上先生のおかげで、毎日学校に来られたよ」と言われた時は、教員としてのやりがいを実感しました。一方で、子どもたちが理解しやすい授業づくりには苦戦。特に、苦手な子が多い算数は、分かりやすく楽しい授業にしたいと思っていたはずが、思うように進められず悔しさが残りました。それでも、私の夢は揺らぎません。足りない部分は努力で補い、教員としての能力を高めたいと思います。目指すは、子どもたちが自分の言葉で思いを伝えられるよう、どんな時も味方でいられる先生です。

大学1年次からミニバスケットボールの
コーチとして小学生を指導。

Message for you

学生生活は、自分の視野を広げる絶好の時間です。ぜひ新しいことに挑戦してみてください。決して高いハードルでなくてもいいのです。「少し高い壁」に挑戦する。それだけでも、世界は変わります。失敗したとしても、夢や目標につながる道が見つかるはずです。