川合千晶
フランス語専攻2年(23期)
趣味は映画鑑賞、海外の映画館で映画を観てみたい!
コーヒー大好き
フランス語専攻2年(23期)
趣味は映画鑑賞、海外の映画館で映画を観てみたい!
コーヒー大好き
フランス人留学生から日本人(学生)を見て驚いたことを質問する機会があり、 その際に「日本人学生は普段友達と政治の話をしないね、僕たちは頻繁に話すよ」という話を聞いたことが印象に強く残っていたため、今回のテーマとしました。
フランス人と日本人の政治行動(今回はフランスにおいてはデモ、日本においては選挙を照らし合わせる)への意識の相違は何に因るものか?
• 「フランスでは政治的教養において主体性と教育の価値の中立性を重んじている。」ものを考え表現する方法や資料などの
知識は与えるが、その後に出す結論は個人に委ねている。
つまり何が正しく、間違っているのかという最終的な判断は自ら考え下す。(渡辺 雅子2017:188)
1.日程 2020年8月30日~2020年10月16日(アンケート),
2020年9月18日, 2020年10月10日~2020年10月28日(インタビュー)
2.場所 Google Formes上のアンケート(個人の電子機器から), Zoom, Institut français du Japon – Kyushu(赤坂)、個人のスマートフォンで
3. 66名:日本人学生(西南生、他大学生)
37名:フランス人学生(フランス専攻の先輩・友人からの紹介、イナルコ学生)
3名フランス人の先生(Institut français du Japon – Kyushu の先生方, 西南学院所属のフランス人の先生)
4. Google Formes のアンケート
インタビュー(institut français du Japon – Kyushu にて / 個人のスマートフォンから)
それぞれのメディアなどの調べる資料、日常生活の中の会話などに相違点がある。
フランス人はよく新聞やラジオを使用したりするが日本人はTwitterやテレビから情報を得ることが多いようだ。
会話の中では日本人学生は政治に関する話題というより生活に関わってくる案件を話すことが多い。
Ø 日本人は主にテレビ、インターネット、Twitterなどが多くみられた。これは調べたりするためではなく、そのツールを日ごろよく目にする・よく使うからなどの理由から。
Ø 日本人は他に周囲の人から情報得るという回答もあった。
Ø 一方フランス人はインターネットの利用が多く雑誌の利用は少ないものの、全体的に利用しているためあらゆるメディアに目を向けていると考えられる。
Ø フランス人のメディアは“派”に分かれており、正しい情報を得るため複数の新聞を買い読み比べて推し量る。
Ø 一般人が政治に対する個人の主張を挙げているYoutubeなどが注目を集めている。
Ø Youtubeの利用が多く見られ、個人がそれぞれ政治についての考えを発信しているものに多く関心が寄せられている。(インタビューより)
Ø ラジオは朝、朝食や支度をしながら聴く人が多い。(インタビューより)
Ø 政治に関する話題は家族ですることが多く友人との会話に持ち出す、持ち出されることはほとんどない。
(インタビューによる詳細)
【よくする】・【時々する】
Ø 家族の中に政治関連全般、日韓問題などの特定の話題に詳しい人物がいてその人から情報を得たり、小さな議論をしたりする人もいる。
【あまりしない】
Ø 家族とテレビを見ている時に政治関連のニュースが流れれば、少し会話はするがそういったきっかけがない限り話題にはならない。
【全くしない】
Ø テレビなどで流れていても全く話題にしない。
Ø アンケートを一つ一つ見てみると、約7割が必ず双方と、もしくはどちらかと政治に関する話をしている。
Ø 家族や友人と話をしていない人について、彼らは政治に興味がないわけではなくインターネットなどで自主的に調べ、選挙にも参加している様子。
また、デモへの自身の意見も明確なものを持つ人が多い。
•メディアによる大きな違いでフランス人は新聞を読む割合とその他(Youtubeなど)の手段で情報を得る割合が日本人よりも大きい。
• フランスでは新聞において右派(保守的)と左派(革新的)に分かれているため、情報を見合わせるために複数の新聞を購入する人が多い。
※個人の考えがどちらかに傾いている場合はそれに見合った新聞を購入。
• フランス人は必ず友人・家族のどちらかまたは双方と日常会話において政治を話題に出している。一方で日本人は家族とは時折話すものの、友人と政治について話すことはほとんどない。
• 今回のアンケートではコロナの影響もあり、政治の在り方が変わるかもしれないという意見が出ている。しかし大半が根本的な解決には至らないであろうと考えている。
• 日本はフランスとは違い、あまり自分たちが政治を行うという気持ちは持っていないようである。(政府任せな姿勢)
• 日本は国民全体が政治の仕組みについて把握しきれていない部分がフランスよりも多い。(だから興味を持てない)
• 日本ではフランスのように幼いころから何かに対して批判的な思考を持ち議論するような教育の場をあまり踏んでいない。
• 選挙で投票する際、多くの日本人は対象人物について具体的に調べているわけではない。
• フランス人は現在のデモのやり方には暴力的すぎることが良くない点だと述べているが、デモそのものの効果や期待は高い。
仮説通り日常生活における会話でフランス人はよく政治についての話題を家族や友人としているが、日本人は友人と政治について話すことはほとんどなく
家族と時折話すぐらいであるということでした。
メディアにおいて、フランス人は新聞やラジオも日本人より多くの人が使用していました。
しかし、永田先生の講義によるとフランスの教育やメディアの情報提供の工夫も日本とは大きく異なっており、
日本人との違いも顕著に表れているようです。
フランスとは異なり、日本では物事を批判的に考えるという習慣はほとんどないと言えるでしょうし、
もし考えていたとしてもそれを主張するような行動もあまり起こすことはないようです。
また義務教育の過程でも政治の仕組みを完全に把握しきれている人はあまりおらず、興味を持たない理由にもなり得るはずです。
あなたが行った調査とインタビューからフランスと日本の政治への認識(見方)の根本的な違いを理解することができました。また、過去の見方とも比較しました。
ほかにあなたの分析にはない日本とフランスの違いを明確にし得るものとして重要な要素が2つあるのではないでしょうか。
1. 日本の国民は大統領の選出の際、投票することはない。
日本人は国政で果たす役目がある、という責任意識が薄いようです。フランスでは国民が大統領を選ぶため、政治は重要だ、政治をよく知らなければならないという意識が強いのです。
2. 1968年5月に起こった革命はフランスの若者に大きな影響を与えました。彼らは、デモを行うことで自身たちが政治家に対する力を持てることを実証し身をもって知ったのです。
50年後の今日もこのデモ運動を学生たちのパワーの一例として人々は語り続けています。
よくやりましたね。
初めに、コロナ禍という前代未聞の渦に巻き込まれ、そんな中でフランスと日本の交流を続けてくださっているアンスティチュ・フランセのスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。
p.communiquonという企画の上で個人的なインタビューにも貴重な時間を割いて頂いて、さらに他の数々のイベントも紹介してくださいましたね。
今年フランスへ行くことは叶いませんでしたが、p.communiquonに参加したことで一歩本当のフランスに触れることができたのではないかと思っています。
私にとってフランス人の方々の価値観や物事の考え方はとても刺激的で、日本にも取り入れてみたいと強く思うことが度々あります。
繰り返しになりますが、今回のテーマにおける知識のご教授、インタビューのご協力その他様々な面でサポートして頂いたことに深く感謝いたします。
本当にありがとうございました。
今後この調査の中で初めて知ったフランスの考え方や行動意識を日本の学生たちにも伝えることを目標の一つとし、これからも語学力を高め精進していきたいと思っています。
1、渡邉 雅子(2017)『フランスの思考表現スタイルと政治的教養の育成ーアメリカとの比較からー』名古屋大学『教育学研究』第84巻 第 2 号
2、Geneviève Brame(2011)『ほんとうのフランスがわかる本』CHEZ VOUS EN FRANCE 原書房
3、永田公彦(2020) パリ・日仏比較ライブ! 第1回~なぜフランスでは政治話や街頭デモが多いのか?
10月29日(木)21:00~22:30 Institut français Kyushu主催イベント Zoomにて