19世紀フランスのジャポニズムとその影響

MEMBER

  • 久間 大滉(くま ひろあき)

    国際文化学部国際文化学科1年の男です。フランスでは食費を削った結果体重も削られましたが戻りました。フランスで見たもの感じたものは忘れられませんが、しばらくフランスには行かなくていいです。

  • 谷 晃輝(たに こうき)

    国際文化学部国際文化学科1年の谷です。昔から浮世絵が好きで、モネと浮世絵の関係について調べるため、フランスのパリに行きました。さまざまな美術館を訪れたり街頭調査を行いました。

研究目的

私たちは、浮世絵とジャポニズムに興味を持っています。ジャポニズムの中でも特に浮世絵について、現代のフランス人の生活にどの程度浸透しているのかを調査するために8月17日から9月3日までの17日間、フランスのパリとモネが晩年亡くなるまで暮らしていたジヴェルニーに行ってきます。。

下調べ

下調べによって分かったことは、19世紀に日本文化がフランスに渡ったことが始まりとされ、モネを代表とする印象派の画家が影響を受けたということが分かっています。これらの下調べをもとにモネや印象派画家にゆかりのある美術館などに行きました。

アンケート調査

私たちは下調べで得た情報を元に5つの質問を作成しました。

①浮世絵を知っていますか

②浮世絵は好きですか

③葛飾北斎を知っていますか。またほかに浮世絵を描いた日本人を知っていますか。

④モネと浮世絵は特別な関係だったと思いますか。

⑤浮世絵を持っていますか、また購入したことはありますか。

調査方法

調査日:2017年8月17日~9月3日

調査場所:オランジュリー、マルモッタン・モネ美術館、オランジュリー美術館、オルセー美術館、ルーヴル美術館

宿泊先:パリ郊外のホテル

調査対象:パリの市街地や公園にいるフランス人

仮説

私たちはこれらの質問の回答の仮説を立てました。1つ目の質問に対しては多くの人が知っていると思われ、2つ目の質問では 人それぞれの好みによる。3つ目の質問に対しては以前、パリで葛飾北斎展が開催されたことから、認知度は高いと思われ、4つ目の質問に対しても知っている人は少なからずいると思われる。5つ目の質問に対しても少なからずいるのではないかと仮説を立てました。

オランジュリー美術館

私たちは最初、印象派絵画やモネの睡蓮などの作品が展示されているオランジュリー美術館に行きました。そこでは、円形の展示室2部屋に計8点のモネの作品がありました。

クロード・モネ 睡蓮 1920~1926

クロード・モネ 睡蓮 1920~1926

マルモッタン美術館

私たちは次に世界最大級のモネのコレクションを収蔵しモネの代表作である「印象・日の出」を収蔵することで知られる、マルモッタン美術館に行きました。しかし、館内は撮影禁止だったため写真を撮ることはできませんでした。

オルセー美術館

私たちはさらに多くの印象派の作品を収蔵していることで知られているオルセー美術館に行きました。

クロード・モネ 睡蓮 1900

              

クロード・モネ ジヴェルニーの小舟 1887

ルーヴル美術館

私たちは最後に世界最大級の美術館であるルーブル美術館に行き、あらゆる芸術作品と印象派の作品とを見比べることができました。ここではモネの作品を掲載します。

クロード・モネ ヴェトゥイユ近くの氷解 1880

クロード・モネ サン=シメオン農場への道 冬 1867 

ジヴェルニー・モネの庭

これらの美術館で見たモネの作品のもととなった風景を見に行くため、私たちは晩年モネが亡くなるまで暮らしていたジヴェルニーに行きました。そこにあるモネの庭では、手入れされた花畑や睡蓮の花など、モネの作品にみられるような美しい風景を見ることができました。

調査結果

私たちは4日間の間に55人のフランス人にアンケート調査をしました。

①はい:4人 いいえ:51人

②はい:4人 

③葛飾北斎:4人

④回答なし

⑤いいえ:55人

インタビュー

また、浮世絵の愛好家の方に、これらのアンケートをインタビューとして答えていただきました

①はい、私は少しだけ日本の浮世絵を知っています。フランスで展覧会がありました。

②はい、大好きです。国芳、廣重、風景、人物像などの浮世絵が好きです。たとえば、ジヴェルニーのモネのコレクションにも浮世絵があります。

③ はい、北斎、富士山ですね、東京までの様々な場所から描いた、他の絵師は、そうですね、歌麿を知ってます。

④はい、そういわれています。モネと印象派の画家たちは浮世絵からインスピレーションを受けています、特に風景や遠近法や異なった角度の使用、そして自然と季節の喚起法などにおいて。

⑤いいえ、一度も買ったことはありません。オリジナルは欲しいと思いますが、複製が多くて。(買う)機会がありません。

考察

今回の調査によってわかったことは、4日間で総勢55名の方にアンケートを実施した結果、浮世絵の存在を数多くの人が認知しているもの思っていたのに反し、55名中4名の方しか浮世絵を知らないことがわかった。また、この4名の方全員が浮世絵のことを好きだと回答し、名だたる浮世絵師がいる中で葛飾北斎の存在しか認知していないこともわかった。、

結論

モネや印象派の美術館の近くでアンケート調査を行ったが、回答者のうち7%の人しか浮世絵を知らなかった。これは私たちの仮設に反するものものとなった。また、知っている人も葛飾北斎しか知らなかった。また、モネと浮世絵の関係も一般の人に知られていないし、浮世絵も購入されない。 パリでは、葛飾北斎展が実施されるなどしてはいるものの、「すし」や「漫画」などの有名な日本の伝統文化ほどの幅広い認知度はまだないことがわかった。また、私たちは、2つの極があると考える。フランス人一般は浮世絵を知らない一方で愛好家がいて、彼らは浮世絵をよく知っている。インタヴューを受けてくれた方が例である。

参考文献

安井裕雄「もっと知りたいモネ 生涯と作品」東京美術

パオラ・ラペッリ「モネ 光と空気の表現者」昭文社

カーラ・ラックマン「岩波 世界の美術 モネ」岩波書店

馬渕明子「ジャポニズム 幻想の日本」星雲者

林綾野「モネ 庭とレシピ」講談社

ヴィヴィアン・ラッセル「モネの庭・花々が語るジヴェルニーの四季」 西村書店

ポーラ美術館学芸部「モネと画家たちの旅・フランス風景画紀行」 西村書店

佐々木三雄、佐々木綾子「モネの風景紀行・ノルマンディー・ベリール・パリ・セーヌ河のほとり」 求龍堂

利倉隆構成「モネ水の妖精」二玄社

アンスティチュ・フランセ九州のコメント

シンプルで正しいフランス語です。シンプルで明確なプレゼンテーションです。 「下調べ」の部分はもっと十分な調査をする価値があるはずです。ジャポニズムをたった2行で要約できますか? 訪問した美術館の紹介は簡単すぎます。なぜこれらの美術館なのですか?なぜこれらの美術家は印象派にとって重要なのですか。美術館で何の絵画を見たのですか。そこれはどういう芸術家が描かれていました。これらの美術館でジャポニズムについて語られていましたか? なぜ、アンケート調査のために講演や街にいる一般の人を選んだのですか。その選択自体がすでに調査の方向性を決定していると思われます。 アンケートの結果はあまりにも簡素になっています。 結論の文章は大変奇妙です。日本の浮世絵はフランスでは知られていて、おそらく一部の人々にはマンガよりもはるかに知られていると思います。 まず、一つ一つの質問に対する回答を詳細に示し、次にそれを分析し、部分的な考察を引き出し、最後に、大きな結論を一つ書くべきでしょう。そしてできればアンケート方法に対する自己批判もできるとなおよいでしょう。

P.コミュニコンを終えて

このp.コミュニコンを終えて私たちはとても成長したと思います。初めての海外で多くを自分たちで準備したこと、まだ4ヶ月しかフランス語を習っていないにもかかわらず現地でフランス語でのコミュニケーションを試みたこと、17日間 生きることに必死でしたが、得たものは大きかったです。モネの絵とその絵の元となったジヴェルニーの風景を見比べて、今でも当時モネが見たような風景が残されていた事に感動しました。最後に、サポートしてくださった先生方、アンスティチュ・フランセの方々ありがとうございました。

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