#05 【前編1/2】 社会課題解決ゼミってなに!?ゼミ生と先生に活動内容を聞いてみた【外国語学部・山田ゼミ】
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OVERVIEW
#05 社会課題解決ゼミってなに!?活動内容を聞いてみた【外国語学部・山田ゼミ】
今回は、外国語学部・山田智久先生のゼミについて、ゼミ生の方々のリアルな声と活動内容をお伺いします。山田先生からのミッションを受け、ゼミ生たちは多文化共生社会に係る社会課題を実装することで解決することを目指しているとのこと。具体的にどのような活動を行っているのか、また、ゼミの魅力等について、インタビューしました。
今回は、外国語学部・山田智久先生のゼミについて、ゼミ生の方々のリアルな声と活動内容をお伺いします。山田先生からのミッションを受け、ゼミ生たちは多文化共生社会に係る社会課題を実装することで解決することを目指しているとのこと。具体的にどのような活動を行っているのか、また、ゼミの魅力等について、インタビューしました。
この記事に登場するSEINAN PEOPLE
@Kanaeさん
外国語学部4年生
山田 智久先生
外国語学部教授
@Yumeさん
外国語学部4年生
ゼミ加入のきっかけは先生からの熱いメッセージ
@Kanaeさん、@Yumeさん、山田智久先生、本日はよろしくお願いします。まずゼミでの活動を簡単に教えてください。
@Kanae 私たちは、「多文化共生社会に係る社会課題を実装することで解決せよ」という先生からのミッションを受けて、ゼミ生自身で決めたゴールに向けて取り組んでいます。座学的な学びから課題設定、アプローチ方法の設定、企画・実行まで、1年間かけて、学生主体でデザインしています。
@Yume 前期の期間(夏休みを含む)は、文献講読や聞き取り調査、アンケート調査を実施し、後期は外部の方へのプレゼンテーションやディスカッションなどを行いました。そこから得た「日本人と外国人の対等な関係構築の必要性」という気づきから、「日本人と外国人が区別なく、社会構成員として生活できる多文化共生社会」を目標に設定しました。目標設定までがとても大変でしたが、最近では、目標実現への第一歩として、2023年3月に糸島市・福岡県庁と共同で多文化共生イベントを開催しました。

山田先生のゼミ一期生ということで、何も情報や先輩もない中での決断だったと思います。ゼミに入ろうと思ったきっかけを教えてください。
@Kanae 私達は、入学時からコロナ禍で、オンラインでの学習が主流で、外部での活動や自分の力で何かを達成するような機会が少なかったんです。そのような時期を経験していたので、ゼミの選考を受ける時に、山田先生の「自分で道を切り開いていく力を涵養したい学生」を求めているという熱いメッセージに惹かれて、このゼミであれば、何か得られるものがあるのではないかと、漠然とした期待を抱き、ゼミに参加しました。
@Yume 私には2つ理由があります。1つ目は、「国際協力」を学べることです。私は、「環境に関わらず、誰もが夢ややりたいことを追求できるような社会作りに貢献したい」という思いがあり、ゼミの活動を将来の目標につなげたいという思いがありました。2つ目は、@Kanaeさんと同じく、コロナ禍で大学生活で誰かと協力して何かをやり遂げるという経験がなかったので、このゼミの仲間と何かをやり遂げることで、大学生活で有意義な経験ができるのではないかと考えました。
@Kanae 実は、ゼミに入る前は、山田先生にお会いしたこともなく、授業も受けたこともなかったんです。他の知ってる先生のゼミを選ぶという選択肢もありましたが、なぜか山田先生のゼミだけ少し特殊な印象を持ってたので、不安要素が多い中でも、絶対にここに入りたいと思いました。正直、情報収集はあまりしてなかったです。

山田先生にお伺いします。お二人の参加の動機を通じて、先生が求めている学生がゼミに参加してきている印象を受けました。改めて山田先生が「こんな学生を育てたい」ような思いがあればぜひ聞かせてください。
@Prof. Yamada 西南学院大学で4つ目の勤務先大学ですが、教育の方針として一貫しているのは、「教員がいなくても、自分一人で生きていける学生を育てたい」ということです。その上で、他の人の助けがあれば、さらに逞しくなるということをモットーにしていて。だから教科は極端な話、数学だろうが医学だろうが何でもよくて、たまたま自分が言語教育とか国際教育の分野が専門なので、その枠の中で議論をするというだけなんです。ただ、あくまでもそれは表向きで、裏はヒドゥンカリキュラムというんですけど、そのカリキュラムで学生達で何か課題を見つけてやっていくという中で、必ず衝突が起きるようにデザインしています。その衝突をどうやって越えていくかという経験をしてほしいんです。だから、ゼミ生それぞれが自分のテーマでやってねと指示するのは簡単なんですけど、あえて15人を1つの単位にして、「1つのミッションをクリアしてくれ」という非常に負荷がかかるものをお願いしました。
参加するゼミの皆さんにとっては、ハードに見えるかもしれませんが、同時に非常に鍛えられる機会でもありますね。
@Prof. Yamada はい。特にコロナ世代なので、横展開のつながりは比較的弱いというか、訓練されてきていないので、それをやってから社会に出てほしいなという思いがあるんです。「ミッションはこれで、ゴールはここです」と。私は本と人の紹介しかしませんと言っています。本当に多分そうだったと思うんだけど、なかなかしんどかったんじゃないかなと思います。確か、ゼミの募集か何かで書いたと思いますが、信念を持って「希望者の中から1人でも残ればいいや」と思ってやっているため、みんながマイルドにハッピーになることは望んでいません。この場に2人いるというのは、正直良かったなという思いです。
個性豊かで、ぶつかり合うゼミの仲間たち
ゼミの学生や雰囲気はどんな感じですか。
@Kanae 個性豊かな15人で構成されています。外国語学部という同じバックグラウンドがありながらも、各々の興味関心が違うので、テーマを一つに絞る過程は大変でした。
@Yume 他者を思いやることができる、尊重できる人が多いと思います。何かを決める時は必ず全員が同意した状態で、物事を進めるという方針が自然にできています。ただ、調和を重んじるあまり、共有して、同意を得るまでに時間がかかる等、難しさもあります。
先生から見たゼミ生の印象をお聞かせいただけますか。率直に教えてください。
@Prof.Yamada 率直に言って、「意識高い系」の人たちが集まった印象ですね。意識が高いことはもちろん良いことですが、それを下支えする「勉強」と「行動力」など、達成に至るまでのギャップが結構あった感がします。それぞれが「こういうことをしたい」「こういう社会にしたい」という理想をしっかり持っていて、それはそれでとても大切なことですよね。しかし、自分がその理想に到達するために何が足りないのか、どれだけ離れているのかを、恐らくゼミ活動を通じて知ったのではないでしょうか。「社会を良くしたい」、「こういうことをしたい」という学生の想いに対して、まず何をしたらいい?どんな情報が必要?誰に会いに行けばいい?などと聞くと、途端に動きが止まる。はじめの一歩を踏み出すことは思いのほか難しいので、少なくともそれに気づいたんじゃないかなと思います。

社会課題が見つからない、0から1を想像する難しさに直面
ゼミのテーマはスムーズに決まりましたか?
@Kanae 全くです(笑)。先生からお題をいただいた時、私たちはまず知識と経験値が足りない問題に直面しました。今起こってる課題もよく分からないし、それをどうやって見つけていいかも分からない、「0から1を創造する難しさ」を体感しました。実際に課題を見つけるまでに、10月、11月ぐらいまでかかったんです。
テーマを見つけるために、プレゼンを通じて知識を修得し、夏季休暇中に現場を訪問したり、アンケート調査を行ったりしました。福岡市の日本語教室の学習者にもアンケートにご協力をいただき、100件以上データを集めたり、実際に国際交流センターや技能実習生にヒアリングしたり、とにかく、足を動かして、多くの話を伺いました。
「外国人は困っている」という、思い込みに気づけたフィールドワーク
様々なリサーチの結果、どうでしたか。
@Kanae 外国人であれば、「こんなことに困ってる」、「生活で困ってないわけがない」というように、無意識に日本人である私が「外国人は絶対困ってるだろう」と思ってるところがありました。しかし、福岡国際交流センターの方を訪問した時、「あなたたちは外国人問題を一般化しようとしてるから、そこを改めてみてはどうか」とアドバイスをいただいた時、改めて自らの思い込みを問いただすきっかけとなりました。同時に、ゼミの理念や活動内容が前身するきっかけになったと思います。
日本語教室で講師と学習者の皆さんが相互に言語を教え合っているのを見たりして、 私たちは「日本人は支援する側・外国人は支援される側」であると考えていることに気が付きました。そこから、私たちはこのような意識が払拭された対等な多文化共生社会を作っていきたいと考えるようになりました。
@Yume 私たち自身も最初の頃は、すごく狭い価値観で物事を考えていたと思います。その後、夏休みの聞き取り調査で、外国人の方々が必ずしも困っているわけではないことに気づきました。職員さんからアドバイスをいただいた時は価値観が覆された瞬間でした。最終的に、テーマは『日本人と外国人が区別なく、社会構成員として役割を持ち生活できる多文化共生社会を作るには』となりました。
後編、糸島市イベント編に続く
#05 【後編2/2】自分達でやり遂げた糸島市とのイベント【外国語学部・山田ゼミ】
https://www.seinan-gu.ac.jp/education_study/education_research/story/14622/14798.html