保険事業の自立化と発展

 複雑多岐にわたる保険を分析するためには、なぜこのような多種多様な保険が発生したのかを考える必要があるという認識の下に考察した。多種多様な保険の発生の背景に、多様な保険の経営形態があり、経営形態についての考察が重要である。「制度としての保険」に対する「事業としての保険」の視点であり、特に保険特有の相互会社形態の存在は興味深く、相互会社形態の多いわが国生命保険会社では、相互会社形態の存在を理由に生命保険は相互扶助制度であるという主張を行っている者もいる。保険の相互扶助性をめぐる議論は重要であり、本稿ではこの点について相互会社形態との関係から論じている。いずれにしても、これらの点は保険の歴史を考察することにより明らかにされるであろうということで、本稿は保険史の観点から考察し、24「保険の歴史と分類」において提示した「保険の社会化」という見方を徹底した。