保険金融論研究序説安定成長期以降の生命保険金融

  従来の保険金融に関する研究において、保険会社の資金運用がどのようであったかという考察は幅広く行われているが、方法論的なものが確立しているとはいえず、今日風に言えばポートフォリオの変遷を描写しているに過ぎない。もちろん、ポートフォリオの変遷を描写することは重要ではあるが、今までの研究は、あたかも保険会社が社会経済から超然とした存在であり、最適ポートフォリオを組むための行動をとってきたというものであった。しかし、保険の機能を経済的保障機能と金融的機能の2大機能として正しく把握するならば、それに伴う保険会社の保障業務、金融業務の統一として保険会社の行動は生ずるとすべきである。そのためには、保険会社を社会経済から超然とした存在と捉えるのではなく、保険会社が社会経済的にいかに位置付けられ、両業務の統一としていかなる金融業務を展開したかといった分析方法をとるべきである。このような方法にしたがって、1971年以降を安定成長期以降としてこの時期の生命保険会社の金融行動を分析した。12「高度成長期の生命保険金融」の方法を適用し、さらに深めて考察を進めたものである。