保険金融論研究序説基礎理論の検討

  保険の金融的機能に関る研究分野として、かつて「保険金融論」といったものが主張され、実際生命保険業界人を中心に、研究が進められた。かなり実学的な研究といえ、理論と実践の一体化に向けた並々ならぬ努力があったといえる。しかし、一方で基本的な理論さえ実務的な関心に埋没し、十分な研究がなされていないともいえる。このような認識のもとに、保険の金融現象に対する学問としての保険金融論が構築されなければならないとし、その手初めとして本稿では、保険資金の蓄積要因、保険資金の性格、保険金融の規定要因といった基礎的な点について考察を加えた。