高度成長期の生命保険金融

 10「庭田範秋編『保険学』を読んで」において、小藤康夫教授の生命保険金融論に基づく論述を批判したが、その小藤教授が独立した著作『生命保険の発展と金融』でより詳細に、体系的に生命保険金融について論じたので、これを取り上げて本格的に批判した。小藤教授は同書において、それまでの生命保険業界人を中心としたいわば通説とも言える見解を「限界供給者説」として批判した。この小藤教授の見解を「限界供給者否定説」として、二つの説を考察した。前者をより正確に「限界供給者説に補完された『貸手の選択』論」として把握し、限界供給者説が高度成長期の生命保険金融に対する理論として登場したことから、高度成長期の生命保険金融に関する考察として、両説を批判的に考察した。