2011年研究旅行

Parfum~香水のメッカを訪れる~

藤武美都紀

私がこの研究をしようと思ったきっかけはフランス語専攻に入学してからよく見るようになったフランスの特集番組だった。以前から、人の気持ちを落ち着かせたり癒すことが出来る香水やアロマなどの香りに大変興味を持っていたのだが、その番組で『香水のメッカ』と呼ばれる南仏の町、Grasse(グラース)が紹介されており「この地に赴き、より自分の興味を深めたい!」と思いこのフランス研究旅行でフランスに行くことを決めた。

Parfum(香水)とは

香水の原料はエタノール、水、香料である。1つの香水には平均して50~200種類の香料が含まれていると言われている。一般的に香水はParfum(パルファム),Eau de Parfum(オードパルファム),Eau de Toilette(オードトワレ),Eau de Cologne(オーデコロン)の4種類に分類され、厳密には1番濃度が濃いParfum(パルファム)のことを指すが、4種類全てを香水と呼ぶ場合もある。

Eau de Toilette(オードトワレ)やEau de Cologne(オーデコロン)のEau de(オード)とは、フランス語で「水の」という意味があることからわかるように、やや水っぽい印象があるので、濃度がやや低いことを表す。

また4種類の香水の香りの継続時間目安としては、Parfumが5時間~12時間Eau de Parfumが5時間~12時間Eau de Toiletteが2時間~5時間Eau de Cologneが1時間~2時間。

ページの先頭に戻る

香水の歴史

香水作りの気運が高まったのはルネッサンス期前後に地中海沿岸地域、イタリア・フランス南部と言われている。17世紀、トイレが少なかったヴェルサイユ宮殿では防臭対策として調香水を常駐させ、王自身が香水を愛用していた。この時代、フランスにおいて香水産業は飛躍的な発展を遂げたのである。

特に香水産業が発達したのは南仏にある、グラース市。グラースはコートダジュールの地中海性温暖気候に恵まれ、ラベンダーやバラ、ジャスミンなどの香水植物の栽培が盛んであった。この天然香料を利用し、水やアルコールなどの添加物を使った抽出技術が発達したグラースは世界的に有名な香水の一大産地となった。

ページの先頭に戻る

香水の香り方

香水は肌につけた瞬間からずっと同じ香りがするわけではない。まず最初に香るトップノートは、つけた瞬間から10分ほど香る。

ラベンダーやミカンやグレープフルーツなどの柑橘系のような爽やかで軽い香料が用いられる。次に香るのがトップノート。これは周りに残る香りで、3時間程度香る。花や果物、海の香りなどの香料が用いられることが多い。最後がベースノートと呼ばれるもので、肌にのこり、12時間程度香る。ベースノートには、ビャクダンやヒノキの木の皮や根の香りやマッコウクジラやヤギなどの動物の香り、バニラといった、強く重い香りが用いられる。

このように、香りにはタイプがありその分け方は各社ブランドや香料会社によって違うが、ここではガリマール社の香りのタイプ表を紹介する。大まかに7つのカテゴリー、シトラス・フローラル・シプレ・フゼア・オリエンタル・ウッディ・アニマリックに分類される。

ページの先頭に戻る

香水の国が生み出す調香師

香水の国が生み出す調香師

「香水の歴史」のセクションで触れたように、香水の一大産地であるグラースには有名な香水工場、フラゴナール・ガリマール・モリナールといった有名香水メーカーが点在する。また、国際香水博物館には古い蒸留器や芸術品のようなアンティークの香水瓶などの5万点ものコレクションを見て古代から現代までの香りの歴史をたどることができるほか、温室にはバニラやジャスミン、バラなどの花や香草が実際に栽培され香りをかぐことができる。

また、香水を語る上で欠かせないのが調香師の存在である。

フランス語で調香師のことを「鼻」という意味の「nez」と呼ぶのだが、調香師になるにはグラースかパリ近郊にある調香師養成学校で10年以上の勉強と訓練を積み、プロになるにはさらに微妙な香りの違いも嗅ぎわける天性の才能が必要になってくる。そんな「nez」を昔も今も変わらず多く輩出しているのがグラースである。実際、パリで活躍する「nez」にはグラース出身が多い。

「香水の歴史」のセクションで触れたように、香水の一大産地であるグラースには有名な香水工場、フラゴナール・ガリマール・モリナールといった有名香水メーカーが点在する。また、国際香水博物館には古い蒸留器や芸術品のようなアンティークの香水瓶などの5万点ものコレクションを見て古代から現代までの香りの歴史をたどることができるほか、温室にはバニラやジャスミン、バラなどの花や香草が実際に栽培され香りをかぐことができる。

また、香水を語る上で欠かせないのが調香師の存在である。

フランス語で調香師のことを「鼻」という意味の「nez」と呼ぶのだが、調香師になるにはグラースかパリ近郊にある調香師養成学校で10年以上の勉強と訓練を積み、プロになるにはさらに微妙な香りの違いも嗅ぎわける天性の才能が必要になってくる。そんな「nez」を昔も今も変わらず多く輩出しているのがグラースである。実際、パリで活躍する「nez」にはグラース出身が多い。

  • グラースの街グラースの街
  • フラゴナールフラゴナール
  • 国際香水博物館国際香水博物館

ページの先頭に戻る

オリジナル香水調合体験記①

 私は憧れのグラースを訪ね香水の歴史や街の雰囲気を知るだけでなく、実際に自分で香水を作ってみたかったため、調合体験ができる老舗香水メーカー、ガリマール社で調合体験をしてきた。

まず初めに、たくさんの香りの瓶が並べられた机へと案内される。そして、調香師から香水の基礎であるベースノート、ミドルノート、トップノートの説明を受け、作る香水が女性用か男性用かの確認がある。そして調香師から「これはあなたがどんな香りが好きかのテストです!」と言われ出された9本の瓶から2つ選ぶ。ちなみに私が選んだのはFloral Fruité とChypré Fruité。

香水は人それぞれの好みやその日の気分によってまったく違う香りになると言われている。

Step1:ベースノート作り

最初はベースノート作り。調香師から6本の瓶とバニラの瓶(好きなら入れてもいいし、いれなくてもいい)を渡され、ここから3本選ぶ。わたしが選んだのは、菖蒲の根から出るオイルのIris、キャンディーのような甘い香りのNote Praline、ヤギのムスクであるMusc Floral、そしてVanilleバニラ。これらの液体を目盛のある試験管に決められた容量をいれ、全て入れ終えたらつぎはそれをビーカーに移して混ぜる。

  • ガリマール社ガリマール社

ページの先頭に戻る

オリジナル香水調合体験記②

Step2:ミドルノート作り

次に、ミドルノート作り。調香師が選んでくれた瓶の中から再び3本、選ぶ。私が選んだのはイタリアのパルムという所で採れるスミレの葉から抽出されるVilette de Parme、ザクロの香りのFleur de Grenadier、木イチゴやパイナップル、モモなどのフルーツの香りのCocktail。ちなみに、木イチゴやモモなどはそのものから香料が抽出されるわけではない。

これらを先ほどと同じ要領で混ぜ、テスター紙に染み込ませアルコールを飛ばしてから香りを確認する。そして再び指定された範囲の瓶の中から3本、テスター紙と一緒に香りを嗅ぎ香りの相性を考えながら選ぶ。

選んだのはタバコの花Note Tabac、ボタンの香りであるPivoine、5月のムゲスズランの香りMuguet de Mai。これをまた混ぜた所で、鼻を休憩させるためにいったん外にでて休憩をする。

Step3:トップノート作り

最後はトップノート作り。30本ほどある香りの瓶の中から5本を選ぶ。

私が選んだのは白桃の香りのPèche Blanche、カシスの香りのFruites de cassis、お茶の香りのThé vert、緑のフルーツの香りのFruits vert、甘いレモンの香りの Citron doux。これらを先ほどと同じ要領で混ぜ、完成!!

あまりにも香りを嗅ぎすぎて迷った時は調香師に相談するとアドバイスしてくれるため心配することなく、オリジナルの香水を作ることができる。

私が作った香水はフルーツ系の香りが多かったため、甘くておいしそうな香水が出来上がった。出来上がった香水は瓶に入れ替えてくれ、ラベルには自分で考えた香水の名前を付けることができ、大変愛着が湧く。

私の調合を指導してくださった調香師のクリスティンさんは日本語も話せるので安心して香水を作ることができた。

ページの先頭に戻る

まとめ・感想

香水のメッカであるグラースには、いたるところに香水メーカーの博物館やショップがあり、香水がに興味がある人にはぜひ行ってほしいところだった。私はニースからバスで行ったのだが、グラースは比較的山を登ったところに位置し、空気もおいしかったように感じる。香水のメッカ、グラースだけでなく、ニュベロンの村に行ったときは広大なラベンダー畑を見ることができ、パリはもちろん、エズ村でもフラゴナールの博物館やショップを見ることができた。今回は取り扱わなかったのだが、フランスに本社があるロクシタンのショップもフランスのいたるところにあり、さすが香りの文化が深いフランスだと感じた。

2週間、初めて1人でフランスへ渡りパリ、アヴィニョン、ニース、モナコ、マルセイユ、その他の村々…と、いろんなところを訪れたが、どこも雰囲気が全く違って大変新鮮で刺激的な毎日だった。私が香りを意識していたからだろうとは思うが、どこへ行っても香りに関するショップが多いように感じた。ナーバスになった時、ラベンダーのポプリの香りを嗅いだり、香水やアロマキャンドルによって気持ちがほぐれたこともあった今回の旅で、これを機会に、香りが人に与える影響や心理的な部分との関わりなども研究していきたいと思った。

ページの先頭に戻る

ページの先頭に戻る


  • 〒814-8511 福岡市早良区西新6-2-92 西南学院大学 文学部 外国語学科 フランス語専攻 
このサイトは西南学院大学 文学部 外国語学科 フランス語専攻が全ての著作権を保有しています。