ミシュランガイドだけじゃないミシュラン

是永みな美

フランス語専攻2年(21期)

ミシュランのタイヤ事業とはどのようなものか

日本ではミシュランといえばレストランを星で格付けしたミシュランガイドが有名だが、本来ミシュランはタイヤメーカーであり、
日本ではあまり知られていないタイヤ事業に興味を持ったため。

下調べによって分かったこと

ミシュランガイドは1900年に自動車修理工場やガソリンスタンド、ホテルを紹介したドライバーがドライブを楽しむためのガイドブックとして無料で配布されていた。つまり、ミシュランガイドはタイヤ(車)を使ったより良い外出のためのガイドブックである。 現在ミシュランはミシュランガイドの他にミシュラン・グリーンガイドという旅行ガイドも出版している。
またタイヤメーカーとしても月面探査車のホイールやパンクしない空気のいらないタイヤを発表するなど多岐にわたる事業展開を見せている。

仮説

クレルモン=フェランにはミシュラン本社やアヴァンチュール・ミシュランというミシュランの旧工場を改修して作った施設があるため、タイヤメーカーとしての認知度は高いと予想される。

調査内容

【アンケート】

1、 ミシュランと聞いて最初に何を思い浮かべますか
2、 ミシュランのタイヤを使ったことはありますか
3、 どこのメーカーのタイヤを使っていますか
4、 次のうちミシュランについて知っているものを全て選んでください
      タイヤ /ミシュランガイド /ミシュラングリーンガイド/ ミシュランマン/
      月面探査機 /パンクしないタイヤ /フォーミュラE /MotoGP

【インタビュー】

1、ミシュランのタイヤの魅力は何か

調査方法

調査日:9月1日~9月3日
場所:フランス クレルモン=フェランにあるアヴァンチュール・ミシュラン及びルコック庭園
対象者:アヴァンチュール・ミシュラン、ルコック庭園を訪れている人、及びアヴァンチュール・ミシュランの職員
方式:アンケート・インタヴュー

調査結果

【アンケート】

1、 ミシュランと聞いて最初に何を思い浮かべますか

※パターナリズムとは家族共同体としての企業を志向し、雇う・雇われるという関係を父子関係としての保護・服従関係に置き換えたもの。 ミシュランのパターナリズムとして有名なものに、ミシュラン学校や家族手当、医療機関などが挙げられる。

2、 ミシュランのタイヤを使ったことはありますか

3、 どこのメーカーのタイヤを使っていますか

4、 次のうちミシュランについて知っているものを全て選んでください

      タイヤ /ミシュランガイド /ミシュラングリーンガイド/ ミシュランマン/
      月面探査機 /パンクしないタイヤ /フォーミュラE /MotoGP

【インタビュー】

1、ミシュランのタイヤの魅力は何か

      ミシュランのタイヤは絶えず進化している。新しい列車用タイヤはすべてを再利用によって作ることが構想されている。
      これはとても素晴らしいことだ。

ミシュランとフランス

第一次世界大戦中ミシュランはフランス軍に航空機を提供し、クレルモンの工場では1584機もの機体を無償で組み立てたといわれている。 大戦後は計画通りタイヤの製造に専念するため航空機の製造は中止した。 同時期にミシュランは大家族を奨励するために家族手当を支給したり、社員が生活の品を安く手に入れることのできるSOCAP(Société Coopérative d’Approvisionnement du Personnel Michelin :ミシュラン従業員の生活協同組合)というスーパーマーケットや保育園無料診断所なども運営することで従業員の生活の質を向上させた。

ミシュランタイヤの進化

1919年、タイヤがすり減るのを防ぐためカーボンブラックという新しい素材をゴムに加え、タイヤの寿命が大幅に延びた。 1934年、タイヤの溝形模様を波状にすることで滑りにくいタイヤの製造に成功し、1935年には濡れた路面にも対応できるようにジグザグのタイヤ痕を残すタイヤを開発した。 その後、ミシュランが世界で初めて製造に成功した操縦安定性・高速性能に優れるラジアルタイヤが乗用車をはじめトラックや農業用車、航空機などにも応用されている。

考察

トラムのタイヤがミシュランだと知っているなどミシュランはやはりタイヤのイメージが一番強く、ミシュランのタイヤを使っている人が圧倒的に多かった。 だからこそ道路地図やパンクしないタイヤ、ミシュランのタイヤを使っているフォーミュラEやMotoGPについても知っている人が多かったのだと思う。 また、アンケートを行った場所のクレルモン=フェランやオーベルニュを連想する人も多かったことや、町の書店やスーパーにもミシュランのガイドブックが売られていたことからミシュランと地域の非常に強い結びつきがうかがえた。 これらのことはクレルモン=フェランの人々がミシュランをとても誇りに思っていることの表れだろう。

結論

ミシュランは、自動車のタイヤだけでなく、飛行機やトラムのタイヤも作っている。ミシュランのタイヤは、時代の需要に従って進化してきた。クレモン=フェランの人々はミシュランのことを誇りに思っている。
ミシュランは国民的タイヤメーカーであり、その事業は昔からフランスの発展に役立ってきた。

参考文献

・ MICHELIN会社情報 日本のミシュラン
    https://www.michelin.co.jp/JP/ja/company/japan.html .....2019.1.25 アクセス 
・ミシュランガイド
    https://www.michelin.co.jp/JP/ja/guides-goods/michelin-guide.html .....2019.1.25 アクセス
・ミシュラングリーンガイド
    https://www.michelin.co.jp/JP/ja/guides-goods/green-guide.html .....2019.1.25 アクセス
・モータースポーツ
    https://www.michelin.co.jp/JP/ja/passion-for-driving/motorsports.html .....2019.1.25 アクセス
・『le guide MICHELIN 100年を超える歴史』
     Michelin, Propriétaires-éditeurs, 2007

アンスティチュフランセのコメント(ヨアン・ディオ先生)

ミシュラン社の多様性と歴史をたどり、準備された質問に対する有益な答えを提示している優れた調査です。 テーマは独創的ですが、学生によってよく理解されています。
ブランドイメージの違いを分析・確認し、提起された問題を裏付けるために同じアンケートを用いて日本人を対象としたサンプルも得ると興味深いでしょう。
よくフランス語を勉強しています。文法の間違いはほとんどなく、よく調べて選択された語彙が使われています。 とても良い出来栄えです。

P.コミュニコンを終えて

お褒めの言葉をいただけて嬉しく思います。
ヨアン先生が指摘しているように“ブランドイメージの違いを分析”するために、日本でもミシュランのような大企業に関する同じアンケートを行い結果を比較するべきでした。
フランス語と英語を使ってのコミュニケーションは大変でしたが、フランスに行って自分が興味を持ったことを調査するというとても良い経験ができました。
先生方やアンスティチュフランセの方々、私の活動をサポートしてくださった方々にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

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