[おじいちゃんの知恵袋]交流はなぜ流れる?

8?歳になる私の祖父とのメールのやりとりをそのまま記録しています.

目次

  1. バカ孫の質問
  2. Short Answer
  3. 納得しないバカ孫
  4. おじいちゃんの知恵袋
  5. バカ孫,ついに納得

  1. バカ孫の質問
  2. 1998年10月28日(月)15:17

    またまた馬鹿な質問をさせてもらいます.基本的なところで分からないんだけ ど.

    きれいな正弦波の交流というのは,プラスとマイナスが均等に入れ替わって, 平均的な電圧はゼロなんだよねえ.それならば,交流はある一点を行ったり来 たりするだけで,流れていかないんじゃないの?

    例えば電圧源が100Vとするよねえ.そしたらまず,正弦波がプラスの方に行く にしたがって,アースへ向かってどっと電流が流れるよねえ.まあ,正弦波の 振幅の最大のところでアースと100Vの電位差ができるのかな.それでもって, 正弦波の電圧がゼロになったら電流の流れが止る.今度は,マイナス側に正弦 波が振幅を始めるとアースから電圧源に今流れた電流分が戻ってくるんじゃな い?

    どういうことなんだろう? おしえてくれー!


  3. Short Answer
  4. 1998年10月30日(金)21:26

    1) 交流の考え方は、お説の通りです。『定義』 交流100Vとは、直流100と同じenergyを発生させる電流で、我々が今接している家庭の電気は、波高値は141Vです。これを積分した値が100Vであり 、直流DC100Vと同一energyを発生する訳です。
      波高値とは読んで字のごとく波形の頂上の値。従って家庭の電気は+141vと −141vの間を1秒間に50回、君の地域では60回往復している訳だ。
    2) 今日は一つ宿題を出します。
       「君の部屋に今来ている電気は何処から来ていますか?」 暇のとき考えて置 いて下さい。                                                以 上


  5. 納得しないバカ孫
  6. 1998年10月31日(土)

    おじいちゃんへ

    khirano> 1) 交流の考え方は、お説の通りです。
    khirano>    『定義』 交流100Vとは、直流100と同じenergyを発生させる電流で、我々が
    khirano> 今接している家庭の電気は、波高値は141Vです。これを積分した値が100Vであり
    khirano> 直流DC100Vと同一energyを発生する訳です。
    khirano>    波高値とは読んで字のごとく波形の頂上の値。従って家庭の電気は+141vと
    khirano> −141vの間を1秒間に50回、君の地域では60回往復している訳だ。

    分からないなあ.+141Vと-141Vを規則正しく往復しているのなら,積分値はプ ラスマイナスゼロで,積分値は100Vにならないような気がするんだけど.

    今,本を見てみたんだけど,100Vというのは,1サイクルではなく正の波の最 大値のルート2倍だって書いてあるけど.だから,おじいちゃんの言う141Vの ルート2倍が100Vだね.これを実行値と呼ぶらしい.でも,この本を読んでも, 僕のこの間の疑問は全然解決しない.電流は行ったり来たりで,いっこうに進 まないような気がするんだけど.

    khirano> 2) 今日は一つ宿題を出します。
    khirano>    「君の部屋に今来ている電気は何処から来ていますか?」 暇のとき考えて置
    khirano> いて下さい。

    そりゃあ,もちろん電気屋さんからっしょ! うそだよーん.そりゃあ,発電 所じゃないの?まあ,もっと詳しく言えば,

    発電所 --> 変電所 --> 変圧器 --> 家のコンセント --> アース
    じゃないの?

    しかし,交流は0Vを中心に行ったり来たりしているとすると,上の矢印は正の 波の時だけで,負の波の時はその逆をたどっているということになるねえ.


  7. おじいちゃんの知恵袋
  8. 1998年11月1日(日)15:02:38

    10/31の返
    1) 交流の+−の実効値に付いては後で言及するとし、電流の本質に付いて論じた    後で考え直しましょう。
    一言で言えば、電流とは「自由電子の導体内の移動」である。 今まで初歩の電気学では、電気は導体内を「+」から「−」の向かって流れる、と されていたが、今の我々は、電流は負電子(自由電子)が陽極に吸引され負極から 陽極にながれることは、ご承知の事と思う。真空管の原理を見れば一目瞭然。

    2) さて、電気energyは電流(電子の移動)に依って発生する。電子が静止している時 何の現象も起こらない。しかもenergyは電流「i」の二乗に比例して発生する。 50cycleの1/100秒の+の半cycleで発生するenergy量は、次の−の半cycleでも 同一量発生する。成る程−の量で前のが打ち消される様に思われるが時間軸を考慮に 入れれば、最初の+の波より1/100秒遅れていて発生する。電流も逆流している。 しかし、発生するenergyは同一です。数学的にも電流に−符号がつくが二乗すれば +に変り、数学的にも何の不都合も生じない。こうして+波−波、次の+波−波と 次々とenergyを発生し続ける。

    3) 私の手元には電気に関する図書は今は全然有りませんが、君の本で、波高値、実効値 等良く読んで数値的なことは勉強してください。

    4) 話題はかわって、君の家に来ている電気は、発電所でも変電所でもない。君の家の直ぐ 近くの柱上変圧器からです。変圧器は一次coilと二次coilの間は完全に絶縁されています。 両者の間は磁力線で結合されenergyの授受が行われているだけです。 従って君の家への電気は、柱上変圧器から家の中の電気器具まで導線(電線)の中の 電子が50or60cycleで往復しているだけです。

    5) 前の項の事柄を分かって貰うため、関連づけて質問しただけ。
                          では又


  9. バカ孫,ついに納得
  10. 1998年11月4日(水)00:33

    おじいちゃんへ

    なるほど.電子が進んだ分元に戻ると,電流が流れないのではないかという私の 心配は,電子がどちらに流れようとエネルギーを発生させるということを無視 したものだったんだね.だから,電圧をプラスの半サイクルの波の高さだけで 定義してるのか.納得.

    khirano> 4) 話題はかわって、君の家に来ている電気は、発電所でも変電所
    khirano> でもない。君の家の直ぐ近くの柱上変圧器からです。

    おっと.これも一本取られた.そうか,発電所から来る電流は,末端まで来ず に発電所に戻るのか.結局,電流は電子の動きだから,トランスを間に入れる と,電流源からは直接電子はやってこないんだね.単に,コイルの電磁誘導に よって,2次側コイルの回路の電子が動き出すってことか.

    ふーむ.勉強になりました.