フランスの旅 4

2005年の夏,フランス各地の観光地を訪ねました.そのときの写真を紹介します.

 4 マルセイユ(Marseille) とカランク

 マルセイユは6ヶ月滞在していたエクス・アン・プロヴァンスの隣町である.車かバスで20分くらいの距離であるから,完全に買い物や通学・通勤圏である.両都市間を結ぶ連絡バスは10分間隔で運転されていて便利がよかった.われわれも買い物や観光に何度か訪ねる機会があった.マルセイユは日本でも知らない人はいないくらい有名な南仏の大都市であるが,案外,観光ツアーからはずされているという.その理由は,ガイドブックに書いていたように,「南仏の町にしては珍しく観光スポットが少ない」ということらしい.だが,私には十分なほど見るところは多かったし,港町の雰囲気は魅力的であった.だが,多くの人からいわれたのは町の治安の悪さだ.現在,町はアルジェリア人を初め多くの外国人が住んでおり,特に裏どうりには犯罪が多いということだった.多くの日本人観光客が犠牲になっていると忠告されていた.幸いわれわれはそうしたことはなかったが.
 マルセイユの代表的な観光スポットの写真を載せている.マルセイユの町の全貌を見るには,ノートル・ダム・ド・ラ・ガルド寺院の丘に登るとよい.そこからの眺望はすばらしく,港,市街,地中海をすべて見渡すことができる.何度も行ったが見飽きることはなかった.また,古い港の旧跡を歩いていると古い歴史への関心がわいてくる.何しろここがフランスの最も古い都市というのだから.さらに,どこに行っても入場料を取られないので,旅行者にはありがたい.これもフランスの旅の魅力の1つだ.

-----------マルセイユ(Marseille)の概要
Wikipediaおよびマルセイユ観光局のホームページより抜粋)
 
  マルセイユはフランス南部にある都市.地中海最大の港湾都市であり、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏(PACA)にも属する.同地域圏の首府であり、ブーシュ=デュ=ローヌ県の県庁所在地でもある.1999年の人口は約80万人.マルセイユの名は古代の名マッサリア(マッシリアとも)が転じたものである.
  マルセイユはこの地域の都市共同体の中枢である.また、近郊には古い都市エクス=アン=プロヴァンスがあり、これとその近郊の小都市を併せた人口は約135万人に及ぶ.フランスおよび地中海では最大、ヨーロッパでは第三位の貿易港である.ヨーロッパの南の玄関として、110航路、120カ国の360以上の港と連絡している.現在、フランス第3の人口をもつ大都市であり、日本他各国が総領事館を設置している. 
  マルセイユの歴史は古く、古代ギリシアの一民族ポカイア人が紀元前600年頃に築いた植民市マッサリアにその端を発する.このためフランスにおいてマルセイユは cite phoceenne(ポカイア人の街)とも綽名されている.ユリウス・カエサルの『ガリア戦記』にもマッサリアへの言及が見られる.当時のマッサリアは、いまだローマ属州ガリア・トランサルピナ・プロウィンキアにおけるギリシア系人住民の拠点であったが、やがてローマ帝国の進展とともにこの都市もローマ化していった.
フランス最古の都市.
 紀元前以前から都市として栄えたマルセイユであったが、中世にはあまり振るわず、近代になって再び産業の要地となって現在の商工業を中心とする市街が発展した.
 
天然の良港に恵まれるマルセイユは貿易の中心地として発展し、現在も商都として繁栄する地中海の陽の光のまばゆい街だ.
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旧港 LE VIEUX PORT
 19世紀まで貿易の中心地として栄えていたマルセイユの旧港.港の入り口に北側のサン・ジャン要塞と南側のサン・ニコラ要塞があり,港を護っている.かつて船の時代には,日本からの訪問客はここからフランスに上陸していたのだ.新しい港が北側に作られているため,旧港はいまではヨットなどレジャーや観光用の船舶が停泊している.港ならではの活気を満喫するなら、旧港中央のベルジュ河岸 quai des Berges に毎朝たつ魚の市場に行って見るのもおすすめ.旧港周辺に軒を連ねるレストランでは名物のブイヤベースを味わうことができる.
 波止場はいつもにぎやかな人であふれている.魚の朝市,レストランのブイヤベース,遊覧バスなどの写真を載せた.

カヌビエールLA CANBIERE通りとその周辺
  旧港からレフォルメ教会まで一直線に続くマルセイユのメインストリート.この一帯はホテル、銀行、カフェ、デパートなどが軒を連ねる中心街だ.その周辺の町の活気は多くのマルシェや人ごみのなかに感じることができる.

ノートル・ダム・ド・ラ・ガルド寺院  BASILIQUE DE NOTRE-DAME-DE-LA-GARDE
 丘の上に建つローマ・ビザンチン様式の聖堂は、マルセイユのシンボル.鐘楼の上の黄金のマリア像が航海に出る船乗りたちを見守ってきた.18世紀中頃に建築家エスペランデューによって建てられたもので、テラスからは360度の大パノラマが楽しめる.教会の外壁には第2次大戦時の銃弾痕もある.
 
教会のテラスから西の海にはイフ城 CHATEAU D'IFが見える(写真の最後の2枚に写る海上の島).16世紀、イフ島につくられた堅牢な砦は、のちに政治犯や異教徒たちを幽閉する牢獄として使われた.デュマの有名な小説「モンテ・クリスト伯」(別名「巌窟王」)の舞台としても知られる.旧港から遊覧船で行くことができる.

旧施療院CENTRE DE LA VIEILLE CHARITE
 旧港から北へ20分くらい歩くと大きな古い建物に着く.1670年に病院として建てられた.豪華なバロック式の建物で、ローズピンクの石壁が南仏の光と青い空に映え、夕景ではさらにその姿を際立たせる.内部は、地中海考古学博物館、アフリカ・オセアニナ・アメリカ先住民族博物館となっている.地中海考古学博物館は、キプロス、ギリシャ、エトルリアなど地中海沿岸地域を対象とした考古学博物館で、エジプトコレクションはルーブルに次ぐ充実した規模.アフリカ・オセアニナ・アメリカ先住民族博物館は彫刻やお面などのコレクションがある.
 下の写真は,旧施療院の近くで,聖母被昇天祭(8月15日)の行列をとったもの.最後の写真は近くにある,マルセイユの凱旋門.

ロンシャン宮PALAIS LONGCHAMP
 干ばつと人口増加による水不足を解消するため、1839年、デュランス川から市内へ運河を建設し、運河の終点にロンシャン宮殿が建てられた.フランスでは,水道施設でもこうした芸術的で豪華な建物を作ったのだと感心する.

カシス(Cassis)とカランク

 マルセイユの東の海岸には,カランクといわれる断崖絶壁が続いている.マルセイユから1時間半くらいドライブする(エクサンプロバンスからだと2時間)と瀟洒なリゾート地のカシス(Cassis)に着く.小さい港町だが,美しく清潔で,高級なリゾートという感じ.ここには多くの有名人が住んでいるというのもうなずける.
上の2段は6月の写真.まだ町は静かであった.下の3段は7月の写真.「太陽がいっぱい」の町はバカンス客であふれ,にぎやかであった.
カシス

カランク LES CALANQUESの概要
  マルセイユとカシスの間、長さ20キロ、幅4キロにわたって続く海岸線がカランク.1975年より自然保護地域に指定されている.氷河に侵食された石灰質の岩が切り立つ風景は独特なもので、フランスでも最も乾燥したこの地域にはヨーロッパで最長の蛇やトカゲなど珍しい動植物が生息している.
  カシスから東のシオタ(Ciota)までがカランクの最高のドライブコースである.数百メートルもある断崖から下を見ると,足が震えるほどのスリルが味わえる.だが,たとえ危険なところでも柵や手すりなどの施設はほとんどない.自己責任で行けということらしい.上の4段の写真はドライブ,下の4段の写真は,カシスから遊覧船に乗って海から見たカランクの景観だ.地中海の夏の海は美しかった.