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2025.12.24

「音楽と国際法 第2回 アジアから伝える平和」が開催されました

 12月22日(月)、法学部・根岸陽太教授、トランペット奏者の飯野千春氏(NPO法人Music Dream Creation理事長)、および西南ピアノ会によるイベント「音楽と国際法 第2回 アジアから伝える平和 〜戦争・抑圧からの解放〜」が開催されました 。
 本イベントは、学部横断プログラム「解放学(EMANCIOLOGY)」の一環として企画されたもので、ナチスドイツを扱った第1回に続き、今回は「アジア」に焦点を当てました。第二次世界大戦で抑圧されたアジア諸国の記憶や、現代の香港・台湾・ミャンマーにおける現状を取り上げ、平和を願う音楽に込められた「感性」と、人間の尊厳を守る国際法の「理性」を響き合わせることを目的として行われました 。
 当日は、飯野氏のトランペットと西南ピアノ会の演奏に合わせ、根岸教授が各曲の背景にある国際法的な課題を解説しました 。まず、朝鮮半島の民謡「アリラン」を取り上げ、植民地支配下における民族的アイデンティティの護持と文化的権利について考察がなされました。続いて、小澤征爾氏が問い続けた「東洋人が西洋音楽を奏でる意義」や、日中平和友好条約に基づく中国での活動を通じ、文化が政治的対立を越えていく可能性が示されました。また、香港の「香港に栄光あれ」や台湾の「島嶼天光」といった楽曲が、人権条約のもとで自由を求める市民の連帯の象徴として機能している現状が紹介されました。さらに、映画『ビルマの竪琴』で知られる「埴生の宿」、ミャンマーの抵抗歌「カバマチェブー」が演奏され、音楽が抑圧に抗する「人道の砦」となり得る点について深く掘り下げられました。
 会場には多くの参加者が訪れ、演奏と解説の相乗効果に熱心に耳を傾けました。参加者からは、「法は理性的なものだが、そのせいで人を救うためにある国際法から取り残されてしまう人がいる。法に欠けている感情の部分を補ってくれるのが音楽なのではないかと感じました」といった感想や、「一見関係なさそうな分野が繋がっていることに気づかされました」といった声が寄せられ、音楽と法という異なる視点から平和を考える貴重な機会となりました 。