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2025.07.30

【法学部】駒井知会弁護士による入管収容訴訟に関する講演会が行われました

7月4日(金)、弁護士の駒井知会さん(マイルストーン総合法律事務所)を招いて、駒井さんが担当している「日本の入管収容は国際人権法違反」訴訟に関して講演会を開催しました。

本事件は、イラン出身のサファリさんらが、難民認定申請をしても難民として認められておらず、在留資格がないことを理由に長期間収容されたという事実にかかわります。この事件に対して、国連恣意的拘禁作業部会は2020年、サファリさんらの収容が国際人権法に違反するという意見を公表しました。今年の6月17日には東京地裁も判決を下し、入管収容の審査に国際法である自由権規約が適用されること、サファリさんらの収容が同規約に一部違反することを結論づけました。

駒井さんは、担当弁護士として原告サファリさんに寄り添うなかで、計4回にわたる先の見えない収容によって彼の心身の健康がいかに壊されていったかを如実に語られました。また、地裁判決が自由権規約を適用して入管収容を統制できるとした点を評価しながらも、収容の目的として「在留活動の禁止」を肯定したこと、またサファリさんの収容が違反と認定される3回目・4回目以前からすでに過大な痛苦を与えていたことを指摘しました。最後に、駒井さんが担当している別事件として、スリランカ出身のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管で亡くなられた悲劇が紹介され、入管収容の問題点を根本的に解決する必要性が示されました。

講演会中にはサファリさんが電話で参加してくださり、地裁判決が大事な部分を誤魔化してしまった点が残念であったこと、自分が戦い続けているのは自分のためだけでなく同じ境遇の他の人たちのためでもあることを語ってくださいました。

当日は40名ほどの参加者が熱心に耳を傾けました。参加者からは、「サファリさんに直接電話された時、サファリさんが他の入管で不当な扱いを受けてきた人たちのためにも裁判をしているとおっしゃっていて、サファリさんやウィシュマさんがよく取り上げられていますが、他にも多くの方が苦しんでいるという現状があるのが心苦しくなりました。」と言った感想が寄せられました。

※なお、このイベントは、法学部の国際法学習プログラムKARDIANOIA(https://www.seinan-kardianoia.com/)の一環として、学部教育推進プログラム(法学部)の支援を受けて実施しました。