2025.05.12
GLA科目開講記念講演会「現地から探る平和構築と日本の役割:ウクライナ、ガザ、南スーダン、アフガニスタン」を開催しました
5月8日(木)、1号館303教室にて、今年度後期から新たに開講する「Global Liberal Arts(GLA)」 科目を記念し、記念講演会「現地から探る平和構築と日本の役割:ウクライナ、ガザ、南スーダン、アフガニスタン」を開催しました。講師には、和平調停や平和構築を専門とする上智大学グローバル教育センター教授の東 大作氏をお招きしました。東氏は、元NHK報道局ディレクターとして国際紛争をテーマに番組制作に携わり、2004年にはNHKスペシャル「イラク復興 国連の苦闘」で世界国連記者協会銀賞を受賞されました。退職後は、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で修士号・博士号を取得し、国連アフガニスタン支援ミッションで和解・再統合チームリーダーを務めるなど、長年にわたり国際的に活躍されています。近年は外務省の公務派遣により中東やアフリカ諸国を訪問し、平和構築にも貢献されています。当日の講演会では、学生や教職員ら、約60名が受講しました。
講演は英語で行われ、東氏よりウクライナやガザにおける紛争、南スーダンやアフガニスタンでの平和構築への取り組みについて、これまでの歴史的背景と現在の国際的文脈を交えながら、分かりやすく解説されました。また、国際機関における日本の役割についてご自身の見解を示され、日本が国際社会において果たすべき役割についても論じられました。具体的には、日本は国際社会において「グローバル・ファシリテーター」、つまり、立場の異なる国や地域のあいだで対話を促し、調整を行う橋渡し役となり、武力紛争や地球温暖化、干ばつ、パンデミックといった地球規模の課題に貢献できる可能性があると主張されました。
さらに、発展途上国に対する「自立と安定の支援」は、日本の対外関与における重要な柱の一つであり、このアプローチは国際的にも高く評価されていることから、日本の信頼と友好関係の構築に寄与していると述べられました。
講演の最後には、東氏より本学のGLA科目を履修する学生たちに向けて、「皆さんが将来、こうした国際的な取り組みにおいて中核的な役割を担ってくれることを期待しています」とメッセージが送られました。
質疑応答では、学生から英語で「日本はパレスチナを国家として承認すべきか」「現在の交渉状況はロシアに有利にみえるが、どのように評価することができるか」などの質問が寄せられ、東氏との間で活発な議論が交わされました。終了後、参加した学生からは、「私たち若い世代が現在国際社会で何が起こっているのかを理解し、関心を深めていくことが必要と感じた」「日本がグローバル・ファシリテーターとしての役割を果たすことは重要だと思った」などの感想が寄せられ、学生たちにとって国際問題や国際社会における日本の役割について理解を深める有意義な機会となりました。