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2025.02.25

第172回芥川賞贈呈式 鈴木結生さんが芥川賞を受賞しました

 第172回芥川賞・直木賞の贈呈式が2月21日、東京都内で開かれ、本学外国語学部卒で本学大学院外国語学研究科在学中の鈴木結生さんに芥川賞が贈られました。鈴木さんは、贈呈式で「想像だにしなかった読者と、本を通じて出会えた」と喜びを語りました。
 受賞作「ゲーテはすべてを言った」は、ゲーテ研究者が名言の出典を探す旅をミステリーの要素も交えて描いた作品で、鈴木さんは21世紀生まれ初の芥川賞受賞者となりました。鈴木さんは贈呈式に先立ち、敬愛する作家・大江健三郎の直筆原稿が保管されている東京大学を訪問。「大江さんが原稿に斜線を引いて削除した形跡は、一度書いたことを自分の手で殺したと感じさせられました」と述べ、多くの言葉が斜線で消された推敲の跡を見て、小説を書くことの難しさを痛感したといいます。「小説を書くことは空想を現実に存在させることであり、そのために言葉を一つひとつ選ばないといけない。恐ろしい行為でもある」と自らの小説観を明かした鈴木さんは、「それでもなぜ小説を書くのかと考えると、最後にありえたかもしれない可能性すべてを肯定する瞬間が訪れることを目指して書いている」と創作への思いを語りました。
 なお、「DTOPIA(デートピア)」の安堂ホセさんに同じく芥川賞が、「藍を継ぐ海」の伊与原新さんに直木賞が贈られました。
 本学では、鈴木さんの今回の受賞をお祝いするとともに、今後のさらなるご活躍に期待しています。皆様の応援をよろしくお願いいたします。