2024.11.26
読書教養講座を開催しました(11月15日開催)
11月15日(金)、翻訳家・文芸評論家の鴻巣友季子さんを講師に迎え、「翻訳の愉しみ、苦しみ」というテーマで読書教養講座を開催しました。会場となった西南コミュニティーセンターには、約150人の教職員や学生、一般の聴講者が参加しました。
鴻巣さんは、19歳の時に翻訳家になることを志し、23歳で翻訳家デビュー。これまでの訳書は100冊を超え、ノーベル文学賞作家など現代文学を翻訳紹介すると共に、若い読者にも読みやすい古典の新訳にも力を傾注。主訳書にブロンテ「嵐が丘」、ミッチェル「風と共に去りぬ」、ウルフ「灯台へ」、クッツェー「恥辱」他。「謎とき「風と共に去りぬ」」、「文学は予言する」の画期的論考が高い評価を得ています。
鴻巣さんは講演の中で、翻訳の醍醐味や名作の魅力を紹介すると共に、翻訳にあたっては、「英文をただ訳すだけでは英文和訳にしか過ぎず、そこにどんなことが書いてあるのかを読み取り、如何に、どのように訳すかが大事である」と述べました。また、「翻訳は終わりのない作業であり、色々な解釈がある中で、自分の感性を基に自分で決定していくという大きな責任を伴うところが醍醐味でもあり、苦しい部分でもある」と語られました。
講演後には本学外国語学部の一谷教授及び学生とのトークセッションが行われ、学生からの「今後、翻訳者とAIがどのように共存すると考えていますか?」の問いに対して鴻巣さんは、「AIは出来上がっているパターンの中から言葉を引っ張ってくるが、人間は言葉を有機的に理解し使いこなすことができる。まだまだAIにはできない領域はあるが、AIを活用していくことは将来的に必要になってくるだろう。」と語りました。終始、和やかな雰囲気の中で活発に話が交わされ、登壇した学生、会場の聴講者は鴻巣さんの話に聴き入っていました。