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2024.06.12

読書教養講座を開催しました(6月6日開催)

 6月6日(木)、ノンフィクション作家の堀川惠子さんを講師に迎え、「悠遠の事実に迫る」というテーマで読書教養講座を開催しました。会場となった西南コミュニティーセンターには、約150人の教職員や学生、一般の聴講者が参加しました。
 堀川さんは、広島県に生まれ、広島テレビの記者を経て、ノンフィクション作品を執筆。「死刑の基準」で講談社ノンフィクション賞、「裁かれた命」で新潮ドキュメント賞、「原爆供養塔」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞されています。
 堀川さんは、記者から作家に転身したことについて、「テレビ番組の制作は1点に集中する仕事で、取材した記録を削除していかなければならない。一方、作家は取材したことをテレビのように切り捨てることなく、言葉を尽くして読者に伝えようとする。そのようにして正しく伝えようとすることが自分には向いていると思う。事実を並べるだけではなくその事実を心で感じてことばにする難しさや大切さをいつも感じている」と語りました。また、戦争に関する取材では、「事実を知った者の責任として、また作家としてそれを掘り起こさないといけないという使命感とその重荷があった」と振り返りました。
 講演後には本学国際文化学部の柿木教授及び学生とのトークセッションが行われ、学生からの「多くの苦労を伴う取材を続けながらここまで本にしようとした原動力は?」の問いに対して堀川さんは、「大事なことを戦後知らないことにして放置していた社会への怒りが大きな原動力になった」と答えていました。また、「取材にはきりがないが、粘り強く書き続けていくためにはあきらめない気持ちを持ち、心の中で『なぜ?』、『どうして?』という思いを持ち続けることが大切であり、これからも『生きるということはどれだけ尊いことか』をテーマに執筆活動を続けていきたい」と語り、参加者は堀川さんの言葉に熱心に聴き入っていました。