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2024.01.23

イスラエル=ガザ紛争をケーススタディとしてメディアリテラシーを高めるワークショップ(WS)を開催しました

 本学と東京外国語大学(TUFS)の連携協定に基づき両学の学生に開講されている授業「Advanced International Law」で、イスラエル=ガザ紛争をケーススタディとしてメディアリテラシーを高めるワークショップ(WS)を開催しました。英語で開講されている本授業では、海外のロースクールでも参照される国際基準の教科書を用いながら、教員が実務的な背景や紛争の捉え方について説明を加え、両学の学生に加え、本学の留学生も履修し、協働学習を行っています。

 今回のワークショップは、「人道的危機の範囲を超え、人類の危機である(グテーレス国連事務総長)」と言われるパレスチナ・ガザ地区での現在進行形の紛争を取り上げ、英語の情報空間で発せられる情報から信頼し得る情報を取捨選択しつつ、授業で身につけた国際法の基礎知識を用いて分解し、揺るがない価値観(integrity)・倫理観に基づかせながら、その分析・解釈に必要なリテラシーを身につける試みが行われました。
 本講義を担当している法学部国際関係法学科・高柴優貴子教授は、「自分達の生活圏から離れた場所での紛争について、同時代人である自分達の問題でもあるという意識を共有できる様になりたい。背景が複雑だからとして議論を避けるのではなく、国際法の基礎知識を用い、歴史的な紛争の基本的理解に立ち返ることで、紛争の当事者から繰り返される主張の背景にある構造を理解できるようになる」とワークショップ開催の狙いを話します。

 参加した学生からは、「情報の切り取り方次第で印象が大きく変わることに驚いたとともに、正しい理解のためには、情報を比べ、精査していく必要があることを実感した。また、法を適用する中で事実関係はとても重要であることが分かり、今の国際社会の仕組み全体が不平等で理不尽であるということも強く感じた。戦争は、自然災害とは違い人間の手で止められるということをもう一度認識し、私たちは何か行動を起こしていかなければならないと思う」(国際関係法学科2年森山和奏さん)
「危機の直接的な影響を受けているわけではない人は、ともすれば当事者の発するプロパガンダに影響されやすい」(TUFS国際社会学部国際社会学科トルコ語専攻3年山口晴夏さん)  
「情報を鵜呑みにするのではなく情報の発信者がどのような立場の人間なのかを自分で判断する必要性を深く理解した。専門の分野や興味のある分野では、その問題に関してどういう立場があるのかがすでに分かっているが、深く知らない分野に関してはより情報の発信者に注目していきたい」(TUFS国際社会学部国際社会学科ビルマ語専攻3年森川葉名さん)
「ちょっとした言葉選びにも各国の立場が表れていることが分かり、批判的な視点で情報を受け取る重要性を実感した」(TUFS言語文化学部言語文化学科ヒンディー語専攻4年佐藤菜生花さん)
「報道に違和感を抱けるようになるためにも、普段から今世界で起こっていることに対して敏感になりたい」(国際関係法学科3年内藤梨花さん)
などの感想が寄せられました。
  本ワークショップを通して、学生たちはメディアリテラシーを高める重要性を強く認識しました。