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2021.10.07

在福岡アメリカ領事館の政治経済担当領事とQ&Aセッションを行いました

 9月24日(金)、在福岡米国領事館政治経済担当のカサリン・ラファネロ領事をお招きし、本学法学部生とオンラインでQ&Aセッションを行いました。
 このセッションは、法学部国際関係法学科・高柴優貴子教授の授業やゼミの科目の垣根を越えたCulture of Integrityプログラム(国際的な実務家養成プログラム)の一環として、受講する学生有志が夏季休暇終盤より事前学習グループを結成して準備してきたものです。

 本イベントは、一般的な講演会とは異なり、国際社会の最前線で活躍する実務家に対し、学生が英語を用いて対等な対話を引き出せるようになることが目標でした。そこで参加メンバーは、ここ十数年の国際社会の動きの歴史的文脈を踏まえつつ、領事の米国国務省でのこれまでの経歴に即した問題に焦点を当てて調査し、踏み込んだ回答が得られるよう議論を重ね何度も質問を推敲しました。具体的には、ASEAN地域への防衛や環境問題での米国の関わりや、ベネズエラ危機、アフガン難民など国境を超える問題、さらにはグローバリゼーションがもたらす様々な課題に、国内世論の分断を抱えつつも国際社会としてどう多角的な協力枠組みを築いていくのか、またその中で国際社会と国内社会を繋ぐ外交官が果たす役割について質問をしました。そうしたメンバーの熱量に応えるように、ラファネロ氏からはチャタムハウスルールの下、本質を突く回答が休みなく寄せられ、各国の産業構造や利害関係の違いから協力の枠組み作りには多くのチャレンジがある中で、国や国際機関、NGOや地方自治体と連携しながら地道に問題解決に当たる国際的な実務の舞台裏を身近に垣間見ることができました。また、セッションの最後に領事より参加者に対し、分断深まる社会において問題解決のために努力し続けるために必要な資質として、直線的な進歩が得られなくても諦めない心と他者の視点を理解しようとする姿勢に加え、大学在学中のできるだけ早い時期からリーダーシップスキルを身に付けることの重要性について助言がありました。

 セッションに参加し実際に質問に立ったメンバーからは、「ニュースなどでは政府全体の動きがその国の動きとして取り上げられがちだが、自国の国内状況や政策の枠内で職員1人1人が果たす職務の重要性を感じた」(国際関係法学科3年迫大晴さん)、「自分とは違うバックグラウンドの人に適切な文脈で質問する力は、これからの人生で必ずどこかの場面で求められると思う。今回の経験は今後間違いなく活きるだろう」(同学科1年荒木優葵子さん)、「事前活動の大変さが吹き飛ぶほど、本物の最前線にいる方の声は感動的で心を揺さぶられる時間だった」(同学科2年笹月柚紀さん)、「このようなイベントを全面オンラインでやりきれたことへの達成感が大きい。大学生活を振り返ったときに、間違いなく思い出されるイベントになると思う」(同学科3年森山夏琳さん)といった感想が寄せられました。参加メンバーにとり、パンデミック下の困難な状況でも高いゴールを目指し協働しつつ、本質に迫る対話をするために相手の立場を想像し、今私達が生きている時代の文脈を意識しながら実践的に考える貴重な機会となりました。