手続法入門


講義のねらい:
 法学は、ある意味では、現実に紛争が生じた際に、それを、どのように処理するのが望ましいか、ということを学ぶことである。その場合、どのような解決結果になるべきかということ(実体法)の他に、どのような手続で処理されるべきか、ということが、理論的にも実務的にも重要である。この講義では後者を扱う。つまり、現実に紛争が発生した後、どのように処理されていくのか、ということを、主として、裁判手続に焦点をあてて解説し、そのイメージをつかんでもらうことを目標にする(その場合、いわゆる民事手続を中心にするが、刑事手続についても、適宜触れる。さらに、民事手続においても、いわゆる判決手続のみならず、執行・倒産手続にも言及する)。その際、裁判所でどのような処理がなされているのか、という実務の理解に加え、現行法上重視されている基本的理念(手続保障、といわれる)と、その理念を、限られたエネルギーの中で効率よく実現するための制度的工夫(これがなければ、どんな理念も画餅に帰する)について、理解してもらうよう、努めるつもりである。さらに、実体法の勉学の際に必要とされる、手続法上の基本概念の説明にも注意を払う。また、司法制度を担う組織についても、当然、言及することになろう。
 このように、この講義は、皆さんが今後勉強されることになるであろう、民事訴訟法、刑事訴訟法等の、より進んだ、手続法専門科目のイントロダクションとなることを予定しているが、それのみならず、民法、商法等の実体法科目の豊かな理解のためのイントロダクションとしての意味も持たせたいと思っている。その意味で、この講義は、「手続法からみた法学入門」といった内容になるであろう。
 ただし、かかる盛り沢山の内容を、2単位の講義の中で触れるには限界がある。それゆえ、教室で話す内容はおのずと概括的なものとならざるをえない。そこで、皆さんの自発的な勉学が求められるが、加えて、この講義を参考に、この後、種々の専門科目を履修されることを、当然の前提としている。それゆえ、皆さんから、そのための興味関心を引き出すことが、この講義の重要な目標でもあり、その意味でも、入門的講義である。

テキスト:
 講義案を準備することを計画している。掲示に注意されたい。

参考書等:
 講義の中で触れる。

成績評価の方法:
 基本的には試験によるが、授業に出席していることが前提である。何らかの方法で出席をとり、それを成績評価に加味したいと思っている。いずれにしても、出席していなければ、(事実上)単位の修得は難しいであろう。

履修上の注意:
 導入科目のひとつであり、04期生は、法律学科、国際関係法学科ともに履修を義務づけられている。また、他の導入科目と内容的に関連させるので、法律学入門その他の導入科目の勉学も、同時に、きっちり行うこと。
 なお、ほとんどの専門科目は、導入科目で勉強すべき知識、考え方を、充分身につけているという前提で講義される。言い換えれば、(手続法入門に限らないが)導入科目の勉学がおろそかであれば、2年次以上の専門科目の授業について行けず、結果として、卒業が難しくなろう。この点、充分注意されたい。


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