1998年度(前期)裁判法 期末試験
1. A銀行は、バブルの時期に、必ずしも十分な担保をとらずに多額の貸し付けを行い、その不良債権のために営業停止に追い込まれた。結局、A銀行の優良資産はB銀行に買い取られることになったが、不良債権は、X機構に引き継がれた。そこで、X機構が債権回収に努めることになったが、債務者Y1は、一向に支払う気配もない。X機構が裁判所に訴えを提起しても、「裁判所などには出向かない」と豪語している。また、債務者Y2は、夜逃げをして、所在不明である。いずれも、財産がないわけではないようである。X機構としては、どうすればよいか。
2. X機構が裁判を提起し、無事、勝訴判決を得た。そこで、Y1やY2の財産を調べてみたところ、すべて、彼らの妻や子供の名義になっている。X機構の担当者は頭を抱えているが、あなたは、どのようなアドバイスをするか。
3. あなたのアドバイスもあり、ようやく債権回収のめどがたったが、しぶといY1は、「財産をすべてまきあげるのは、人権侵害だ。」と開き直っている。このY1の主張を論評せよ。
注 上記の設問のすべてに答えること(裁判法の試験問題であることを忘れないように。なお、設例はすべてフィクションである)。
根拠となる条文を示しつつ、制度の全体像を説明しながら、個々の論点に答えること。
書き込みのない六法のみ持ち込みを許可する。
奥 博司のホームページに戻る