1995年度(前期)裁判法 期末試験

 あなたの友人Pが経営する福岡にあるメーカーのX社は、ある商品を、アメリカ合衆国のY社に輸出していたが、その取引に関してトラブルが発生し、X社はY社から損害賠償の請求を受けている。社長Pは事態の推移を見守っていたところ、ある日突然、福岡地方裁判所から訴状なるものが届いた。
 その訴状を読んでみると、アメリカのある弁護士Qが、X社はY社に10万ドルの損害賠償を支払うべきことを命じる仲裁判断なるものを行い、それに基づいて、X社の財産の差押えをすることをY社が求めているとのことである。
 Pは、アメリカ支社長に調査を命じたが、そもそもY社の言い分には何らの正当性もないと思っていた上、Pの言い分を全く聴くことなく、さらに、弁護士とはいえ単なる民間人にすぎないQが損害賠償の支払いを命じてきていることにひどく立腹している。


1. X社はY社に10万ドルの損害賠償の支払いをしなければならないか。

2. Pは、福岡地方裁判所に出向くことすら馬鹿馬鹿しいと感じている。Pが訴状を無視して全く何の対策もとらないとすると、どうなるか。

3. Pは、この事件の処理を司法書士のRに依頼するつもりであると言っている。どのような問題があるか(民事訴訟法上の問題点のみならず、裁判法上の問題点についても言及せよ)。


注  上記の設問のすべてに答えること。
 根拠となる条文を示しつつ、制度の全体像を説明しながら、個々の論点に答えること。
 書き込みのない六法のみ持ち込みを許可する。

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