1997年度(前期)国際民事手続法 期末試験
1. 世界的有名人である美人女優Aが来日し、福岡を訪れたところ、有名人を追いかけ、その写真をマスコミに高額で売り込むことをなりわいとしているパパラッチである、福岡在住のYが、バイクに乗って、都市高速上で、Aの乗っている車を猛スピードで追いかけ、あげくの果てに、百道インター手前で、車もバイクも対向車と正面衝突した。Yは、全治三カ月の重傷。Aは、不幸にして、治療のかいなく死亡した。イギリスに住むAの遺族Xは、Yの責任を追及するため、ロンドンで裁判を起こした。マスコミ報道によりそのことを知ったYは、法的には、どのような行動に出ればよいか。
2. Yが退院して自宅療養を行っていたところ、ロンドンでは、YがXに対して、一千万ポンド(約19億円)の損害賠償の支払を命じる判決が下されたことを、Yはマスコミ報道によって知った。今後、どのような展開となることが予想されるか。
3. ロンドンでの判決を受けて、福岡地方裁判所でも裁判が開始された。Yとしては、泥酔状態の運転手に運転させたAにも、いくばくかの責任があるのではないか、と考えており、このようなことを、福岡地方裁判所で主張したいと思っている。Yの言い分は認められるか。
注 上記の設問のすべてに答えること(国際民事手続法の試験問題であることを忘れないように。なお、設例はすべてフィクションである)。
根拠となる条文を示しつつ、制度の全体像を説明しながら、個々の論点に答えること。
書き込みのない六法のみ持ち込みを許可する。
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