1997年度(後期)破産法 期末試験
1. 原告XがYを被告として100万円の支払いを求めて提起した訴訟の繋属中に一方当事者が破産した。その場合、この訴訟はどのような扱いを受けるか。Xが破産した場合とYが破産した場合のそれぞれについて、説明せよ。その際、そのような扱いをうける理由等についても触れること。
2. Aは、Bに対して、多額の金銭を貸し付けていた。Bが、商品取引に手をだし、筋のよくない街金から高利の金を借りている、との噂を耳にしたときも、Bには、すでに住宅ローンも払ってしまって、銀行の抵当権も抹消されているB所有の土地・建物があることから、比較的安心していた。さらに、Bには、まとまった額の外貨預金があった。ところが、月々のBからの返済が滞るようになり、心配してBを訪ねたところ、Bは逃亡しており、家族の話も要領を得ない。B所有と思っていた土地・建物の登記簿を調べてみたところ、その登記名義は、すでに、Bの妻子に移転されていた。さらに、外貨預金についても、いつのまにか、街金が質権を取得していた。Bには、他にめぼしい財産もないようである。
Aは諦めなければならないか。
3. P社は、新規事業を計画しており、そのために必要な資金として、1億円が見積もられている。そこで、当面利用する予定のない不動産の売却を計画し、結局、Q社との間で、代金1億2,000万円で売買契約が成立した。Q社は、売買契約に従い、その内金として、P社に、6,000万円を支払ったが、そこで、倒産してしまった。Q社の取引先は、「売掛金は、せいぜい1割程度、それも、かなり先になって払ってもらえるにすぎないらしい。」と泣いている。P社の社長は、「6,000万円の資金では、どうにもならない。後々600万円程度払ってもらっても、意味がない。」と青い顔をしている。専務は、「Q社の仮登記を抹消させて、この不動産を、他の会社に買ってもらいましょう。」と言っている。
P社は、新規事業計画を諦めなければならないか。
注 根拠となる条文を示しつつ、制度の全体像を説明しながら、個々の論点に答えること。
書き込みのない六法のみ持ち込みを許可する。
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