コミュニケーション学って何?
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「コミュニケーション」という言葉は、今日本語で日常使われる言葉になりました。しかし、「コミュニケーション」とは「話すこと」程度にとらえられていて、本来の意味をご存知の方は少ないようです。まして、「誰でもある程度できるコミュニケーション」について学問があることは、殆ど知られていません。

コミュニケーション学の話に入る前に、「コミュニケーション」とは何かについてご説明しましょう。「コミュニケーション」を分かりやすく定義しますと、「人間が行うすべてのシンボル活動を通して、人々が意味を共有する過程」となります。「人間が行うすべてのシンボル活動」は「コミュニケーション・メッセージ」と呼ばれます。

シンボルとは、人間が意味を見出すすべてのものを指します。シンボルで一番分かりやすいものは、人間の使う言葉です。言葉は、人間がある特定の音や文字の組み合わせに、勝手に人間が意味を付与したもので、人間の間で長い間使われていくうちに「辞書」にあるような共有された意味を持つようになったものです。言葉以外にも、非言語と言われる、顔の表情、身振り・手振り、姿勢、人間の間にある空間、身体接触、時間、におい、色、洋服、アクセサリーなどもシンボルとして使われています。また、彫刻、絵画、写真、音楽、建築物、人が乗る車もシンボルとして使われています。家の前に堂々と新車のベンツを駐車しておくという人間の行為には、「自慢したい」といった意図があるのかもしれません。また、家の中に有名な画家の絵を掲げたりする行為も意図的なものとして、「コミュニケーション・メッセージ」の例と考えることができます。でも、車や絵は早々買い換えたりすることが出来ませんので、「コミュニケーション・メッセージ」として使うのには柔軟性に欠けています。しかし、アクセサリーや、洋服などは、時と場合に合わせて意図するイメージを相手に与えることが出来ます。

色もシンボル性を持つことがあります。例えば、私が教師として学生のレポートを採点をする時に、ペンの色に気を使うことがあります。真っ赤なペンで学生のレポートを訂正すると、まるで血しぶきを上げているように思えてしまい、がっかりしている学生を益々気落ちさせてしまいかねません。時には、緑、紫、青などのペンを使うことによって、「ショック」を和らげてあげることがあります。その他の非言語も、我々人間のコミュニケーションで大切な役割を占めています。

上記の例が示すように、「コミュニケーション・メッセージは」は「人間が行うすべてのシンボル活動」ですが、ある人が言葉や、非言語を意図的に使ったとしても、「コミュニケーションが起きる」とは限りません。コミュニケーションは2人以上の間で、「コミュニケーション・メッセージ」を通して意味を共有できるときに起こります。ここで「共有」とは、必ずしも完璧な相互理解ではなく、「アバウト」な理解でも「コミュニケーション」は起きていると考えます。しかし、一人で一生懸命話をしていても、相手が聴いていてくれなかったり、理解してくれていなかったら、「コミュニケーション」が起きたとは言えません。また聴き手が早合点して「分かった」と思っていても、「コミュニケーション」は起きたとは言えないのです。

さて、コミュニケーション学の話ですが、コミュニケーション学は古代ギリシャ時代から始まりました。プラトンによる弁論学、アリストテレスによるレトリック(修辞学)が世界最初のコミュニケーション学です。弁論や演説に関するコミュニケーション学は、近代になって対人コミュニケーションと言われる、人間関係に関わるコミュニケーションとして発展し、今では人間の行う様々なコミュニケーションについて専門分野があります。あくまでも例ですが、幾つかあげてみましょう。

  対人コミュニケーション: 主に2人の人間関係の中で起きるコミュニケーション。
  小集団のコミュニケーション: 会議での意思決定や小集団のリーダーシップのコミュニケーションなど。
  組織コミュニケーション: 企業やNGO・NPOなど、あらゆる組織内部で起きる上司と・部下のコミュニケーションや情報共有のコミュニケーションに加え、広報など、組織から外部に対するコミュニケーションなど。
  異文化コミュニケーション: 文化の背景が違う人達のコミュニケーション。
  公的コミュニケーション:演説やマス・コミュニケーションなど、多数の人に対するコミュニケーションを研究します。

今堀が特に専門にしているのが、異文化コミュニケーションです。異文化と一口に言っても、国文化だけでなく、地域文化、民族文化、世代の文化、男性・女性の文化(ジェンダー文化)、障害を持つ人の文化など、様々な文化を扱います。文化の違いによる差別や偏見をとどめて、コミュニケーションによって良い関係を作り上げることを目的にした「平和志向」の分野です。