全九州大会参加報告書

 

 

     第48回全九州学生商経ゼミナール 九州産業大学大会 

 

     主催 九州産業大学経営学部ゼミナール連合会

 

                                                                 平成16年12月4・5日

                                                                        小川浩昭ゼミナール

                                                                          

 

 

 

 

 

                            


1.内容

 ()日時:平成16124日、5日 

()場所:九州産業大学 1号館

()参加部門・テーマ

   社会福祉部門

   テーマ:年金(年金制度と高齢化)

   助言講師:宮脇敏哉     

   参加パート:福岡大学 芹澤ゼミA  「社会保障制度と少子高齢化」

                               福岡大学 芹澤ゼミC  「社会保障制度と少子高齢化問題」

                               熊本学園大学 金融論研究会  「年金」

                               長崎県立大学 楊ゼミ  「公的年金制度の現状と問題点」 

                               西南学院大学 小川浩昭ゼミ 「若者が信頼できる年金制度を求めて」

                                       石川 柴田 武田 手嶋 中川 二分 原田

                                       牧野 森 山下  (全10名出席/50音順)

 

2.報告要旨

 ()芹澤ゼミA

 日本は、先進国の中でも例を見ないほどの超高齢化社会をむかえる。私たちが老後をむかえる時に安心して暮らしていけるかどうかについて、現在の世代間扶養の仕組みを十分に理解し、その維持が困難である理由、そして少子高齢化と今後の年金について考察した。

 

 ()芹澤ゼミC

 15章立て。1から3章では現在の社会保障制度の不安定査証し高齢化を通して見つめ、年金問題の現状を「とりあえず心配」してみるという内容。4から5章で将来構築していくべき年金モデルを「とりあえず提示」すると言う内容。

 

()金融論研究会

14章立て。2004年の年金改正について触れながら、国民年金の仕組み、国民年金の問題点。解決策、これからの年金について提案している。最後の結論の部分ではなんとなく年金問題は国民の理解の不足によって引き起こされているという不可思議な結末で締めくくられている。

 

()楊ゼミ

15章立て。第1章で公的年金の現状、問題点を取り上げ、第2章では年金問題と少子高齢化を結びつけ、少子高齢化を背景にしながら、年金問題に与える影響を考察した。第3章では年金未納問題を取り上げ年金未納問題年金制度の複雑性から生じてきていると捉えた。第4章では与野党の改革案をただ列挙するだけの内容となっており、また第5章も諸外国の対比となっているが実際には日本の現状を踏まえた上での対比ではなくスウェーデンとアメリカの制度を列挙するだけの内容となっている。結論としての年金問題解決の提言はない。

(5)小川ゼミ

 15章立て。第1章で年金不安の背景を考察して問題の所在を示し、年金不安を解消するためにはわれわれ若者に信頼される制度でなくてはならないとした。23章で年金不安について財政方式の問題、今年度の年金改革法案を取り上げて考察を深めた。4章で抜本的な改革を進めるにあたって参考となると思われるスウェーデンの年金改革について考察し、5章で結論として土台に税方式の基礎年金、上乗せに所得比例方式とするために社会保険方式による年金、また、国庫負担を増加させるべきとの改革の方向性を示した。

 

3.質疑応答

()芹澤ゼミAの論文について

 国民年金の財源を消費税に求めることもやむをえないかもしれないとあるが、これは税方式または年金目的消費税のいずれのかたちをとるのか。

   →回答:年金目的消費税のかたちをとる。

()芹澤ゼミCの論文について

   外国人労働者を受け入れるとどのような影響があるのか。

   →回答:少子高齢化社会になってくると労働者が減少するので、国力がおとろえてしまう。それを補うために外国人労働者を受け入れることが重要になってくる。

()金融論研究会の論文について

   現在多くの国々が賦課方式をとっているのに、なぜ積立方式を推しているのか。

   →回答:賦課方式に比べると積立方式のメリットは明確なうえ、現在の賦課方式は労働供給阻害効果をもっているので、このまま賦課方式をとり続けると国民の不満は大きくなるばかりである。

()楊ゼミの論文について

 子供から得られる便益に比べ、費用が高くなったと述べられているが、子供を損得で考えることは間違っているのではないのか。

   →回答:この考えを訂正し、同意。

()小川浩昭ゼミの論文について

   みなし掛け金建てとは何か。

   →回答:収めた保険料の記録をもとに、自分が将来年金を受け取る際に、その記録に基づいてその時点の現役世代の保険料から年金が支払われるという仕組み。

   社会保険方式のメリット・デメリットは何か。

   →回答:給付が保険料の額や支払った期間に応じて決められるため、拠出と給付の関係がより明確であり、保険料拠出について加入者の合意を得やすいというメリットがある。デメリットとしては未納・未加入の問題がある。

 

4.小論点・大論点に関する討論

 小論点

   @年金制度の持つ問題

               ●未納者が多い。

              →この問題に対し強制徴収を行うという意見がでたが、低所得者にとってこれは困難。

また、強制徴収はコストがかかる。この解決策として、民間企業が競争して徴収を行うという案がでた。

   A少子高齢化の持つ問題      

                  ●世代間格差

                      →保障を手厚くし、子供を産みやすくするという意見が出た。

           ●介護の問題、教育機関の統廃合    

                   ●労働者の減少

                       →外国人労働者の受け入れ。

                                     助言講師より:「現在多くの外国人が日本へ来ている。」

 

大論点

   今後の年金はどうあるべきか

     →これに対し、自分たちの意見として基本的には社会保険方式をとるべきであると主張。そして、景気が回復したら一部、年金目的消費税を導入し、現行の消費税5%を7%に引き上げそのうちの2%を年金目的にあてる形をとり、生活必需品については5%で据え置くことを提案。また、おもに賦課方式がよいと考え、スウェーデン方式にも賛成意見を持っているので、徐々に導入できればよいのではないかと提案した。

    

     そのほかこの大論点に対し、以下のような意見が出た。

                     ●若い世代に情報を提供

                        ・個人が自分のことを知る。

                                       ・義務教育の段階で学習しておく。

                     ●納税者番号制

                         ・プライバシーの問題がある。

 

5.感想

 この討論会のための長い準備期間には、相当な時間と体力が必要だった。しかし、予想していたことに反して活発な討論があまりできなかった。私たちのゼミが一方的に質問するということが多く、討論があったとしても楊ゼミと私たちのゼミとの一騎打ちという感じだった。全体的に段取りが悪く、論文に対する質疑応答の時間をほとんどとってくれなかったことが残念に思う。それぞれのゼミが論文を準備していたので、もっと論文に関する討論をやるべきだったと思う。

 しかし、この討論会はもちろん、それまでの準備期間はとても勉強になり、自信にもなったと思う。「年金」という1つの現実的な問題について、さまざまな考えを持った同世代の人たちで討論しあうという機会はほとんどないので、貴重な経験をすることができた。