要約

 「日本の海外金融子会社による資金調達の効率性に関する実証分析ーグループ金融を中心としてー」

 80年代後半以降日本では企業の海外直接投資の急増にともない、グループ金融を主な業務とする海外金融子会社の設立が多く見られるようになった 。このタイプの金融子会社は一般的に親会社の保証を利用することによって調達された資金をグループ企業に提供することを主な業務とする。しかし、海外金融子会社によるグループ金融がグループ全体の資金調達コストの低減に貢献しているかどうかについての実証研究は筆者の知っている限りではまだなされていないのが現状である。

 本稿の主な目的は、バブル崩壊後の92年と93年の2年間の本体および連結の財務データを用いて日本企業の海外金融子会社によるグループ金融が企業グループ全体の資金調達コストにどのような影響を与えるのかを検証することにある。